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越智クリニック
 
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2010/11/29

糖尿病と有名人


外来で診ていると糖尿病患者が非常に増えている。
そもそも血糖を降下させるインスリンは日本人は欧米人に比べて少ないと言われている。ところが戦後、食事の欧米化に伴い、肥満が急増し、インスリンが追いつかないで血糖が上昇してしまうというのが単純な構図である。当ブログでも何度かその合併症を取り上げて、注意を喚起してきた。最近の知見では食後高血糖が、心・血管病変をつくり、脳梗塞、心筋梗塞を引き起こすことが色々なstudyで判明してきた。今日は糖尿病を患った有名人を取り上げることで、皆様に更なる注意を促したい。
①ビル・ガリクソン・・・元読売Gのピッチャー。インスリンを打ちながらがんばった。
②柏戸・・・大鵬と共に柏鵬時代を築いた、47代横綱。インスリン80単位を欠かさなかった。
③藤原道長・・・平安時代に栄華を極めた。糖尿病合併症の皮下膿瘍で死亡。「第15回国際糖尿病会議」の記念切手(1994.11.4発刊)に日本の糖尿病の祖として登場。切手下の六角形はインスリンの結晶で後ろにいるのが藤原道長。
④小渕恵三・・・糖尿病による脳梗塞で死亡。
⑤田中角栄・・・糖尿病、脳梗塞で死亡。
⑥大平正芳・・・糖尿病、心筋梗塞で死亡。
⑦夏目漱石・・・胃潰瘍は有名だが、晩年は糖尿病で苦しんだ。
⑧ヘミングウェイ・・・「誰がために鐘は鳴る」で有名な米国作家。医者の父も糖尿病であった。
⑨セザンヌ・・・「水浴する女たち」で有名なフランス画家。糖尿病性昏睡で倒れ肺炎で死亡。
⑩北原白秋・・・糖尿病性腎症となった。晩年は糖尿病性網膜症で原稿も読めなくなった。

以上、数多くの方が亡くなられていますが、糖尿病はいかに早期に治療介入するかによって予後が全く異なります。「おしっこに糖」→すぐに医療機関にかかるようにして下さい。

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— posted by 越智邦明 at 01:25 pm  

2010/11/25

善玉コレステロール(HDL)


11月1日号で失明の原因となる加齢黄斑変性症(AMD)について書いた。いくつかの質問があったので答えたい。
この病気は20~30才台のみなさんも、初期のAMDを発症していて少しずつ悪化している人がいます。米国のウィスコンシン大学の研究者が21~84才の2180人を調査した所、21~34才の2.4%がAMDでした。
AMDのリスク要因としてハッキリしているのが年令、喫煙、男性であること、高コレステロールです。中でも初期のAMDは、喫煙とHDLの減少が関係していることが、米国の研究で明らかになりました。50才になって目の衰えを感じ、あわてて禁煙してもそれではAMDの発症は抑えることは難しい。予防したいのなら、30才までに禁煙することが重要です。
次に「HDLの減少」についてです。HDLは細胞から余分な脂肪を肝ぞうに運搬する働きがあるのですが、これが減ると血管内の動脈硬化が進み、AMDを発症しやすくなります。HDLを増やすには、野菜などの食物繊維の多い食事をゆっくりよくかんで食べることです。HDLを増やす食べ物はありませんが、薬剤の進歩はめざましく、HDLを増やしLDLを下げる薬が多く開発されていますので医師に御相談下さい。
またアジ、イワシ、サンマといった青魚は、HDLを下げずに中性脂肪を減らす働きがあります。これもオススメです。
「脂質異常症」に積極的に取り組むことは心、血管イベントの抑制につながり、ひいては長生きの秘訣となります。

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— posted by 越智邦明 at 05:30 pm  

2010/11/22

楽観主義


愛読書「ゴルゴ13」を読んでいて、ゴルゴ解説者の杉森昌武氏が、ゴルゴははたして楽観主義者なのかそれとも悲観主義者なのかという話題を展開していた。
その中で「楽観主義」について次のように解説している。
「楽観主義は健康にいい。アメリカの有名な心理学者セリグマン博士は、楽観主義について長年研究した結果、例えばスポーツなどにおいて同じ程度の力量の者がいたとすれば、悲観的な考え方をする人よりも楽観的な考え方をする人の方が良い成績を残している。これはスポーツに限らず、学問でも仕事でも人間関係でもありとあらゆる局面で、楽観主義的に生きていくことが良い結果につながっていくということである。楽観主義者とは原則的に、良いことが起きるのは自分の能力とか人柄のせいであり、悪いことが起きるのは、他人とか環境とか運とか、つまり自分のせいではないと考える人のことである。しかも良いことの起きる原因は、いつでもどこでも起きると考え、悪いことの起きる原因は、限定的で一時的、つまり特定の条件でたまたま起きるに過ぎないと考えるのである。ただ楽観主義が万能かというと唯一、悪い結果につながるケースが例外的にある。それはギャンブルである。」と。
さて結論だが、ゴルゴ本人に聞いてみると「俺には悲観も楽観もない。あるのは事実だけだ」。どこまでもクールなゴルゴです。
(追伸)
 最近のゆうちゃん。ハイハイがとても早く、音に合わせて手をパチパチが得意です。月や星を見つけて指をさして、あーと教えてくれます。



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— posted by 越智邦明 at 12:46 pm  

2010/11/18

骨粗鬆症


私の患者さんKさん(90才、女性)は、骨粗鬆症で悩んでいる。3年前に転倒し、左大腿骨頚部骨折を起こし、私の友人が院長をしているJ病院で手術をしてもらった。
その後、順調に当院でリハビリを続け、何事もなかったように回復した昨年、柱に腰をぶつけた時に腰痛がひどくなり、やはりJ病院に半年入院した。骨折はあるが手術するほどでもなく、安静による治療だった。そして先月、何をした覚えもないのに右大腿が痛くなり、レントゲンで異常がなかったが再びJ病院に診せた所、MRIでまたまたヒビが入っていて、3度目の入院中である。とに角、重度の骨粗鬆症だと言われている。この間お見舞に行った時、Kさんは「もうこんなに骨が弱くなったら、きっと私を焼いたら何も残ってないよ。先生。」と気弱な発言をした。
骨も皮膚と同じように“新陳代謝”をしている。古くなった骨が破壊されて新しい骨ができる。そのバランスが保たれていれば骨の強度は維持される。骨粗鬆症はそのバランスが崩れて破壊が進んだ状態。現在は骨の破壊を抑えるビスフォスフォネートと呼ばれる薬が使われている。これは骨折予防効果がありますが、Kさんのような重症の方の骨折予防効果が低いのがネックです。
ところが今年10月に登場した新薬テリパラチド(遺伝子組換え注射剤)を使ってから従来の薬を使うと、骨が飛躍的に強くなり、骨折を予防できるという。テリパラチドは骨の形成を促進する作用があるのです。産業医大整形の中村利孝教授によると、「テリパラチドの注射を18ヵ月間続けてからビスフォスフォネート製剤に切り替えると、骨の強度が長く維持される」そうです。テリパラチドは糖尿病のインスリン注射のように太ももや腹部などに自分で注射します。しかし1日1回いつでもよく、インスリンのようなわずらわしさがなく又、ほとんど痛くないと言う。今後、副作用を含め検討が必要だが、Kさんのような重症で骨折に脅える人には朗報であろう。
「テリパラチドとビスフォネートのW治療」。医学の進歩はめざましい。

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左は骨粗鬆症、右は正常人の足のレントゲンです。
コントラストが全く違うのがお分かりでしょうか?

— posted by 越智邦明 at 05:04 pm  

2010/11/15

ニンニク


病気知らずの食材として、ニンニクを取り上げます。
ニンニクは紀元前3000年頃のエジプトの壁画にタマネギとともに描かれており、ピラミッドを築いた労働者にも元気のつく食物として与えられたと言われています。ニンニクにはビタミン類、ミネラルが多量に含まれ、アリシンという硫黄を含んだ悪臭成分があって臭いますが、これがビタミンB1とくっついて疲労回復作用をもつB1の吸収を増大してくれます。
また強い殺菌力を有し、食中毒を防ぎ健胃整腸作用をもたらし、胃腸を整えます。血中の過剰なコレステロールも取り除くので、肉食とよく合うわけです。
外来でも「疲れた~。ニンニク1本打ってくれや」と注射に来る人は多いです。清原選手は現役のときに、プラセンタ+ニンニクの注射をよく打っていたそうです。

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— posted by 越智邦明 at 05:38 pm  

2010/11/11

学会


11月6日(土)に、糖尿病学会が東京であった。もう行くことはないとあきらめていた、赤プリで行われた。今、「糖尿病」が熱いーこれは私の持論である。糖尿病ほど多岐にわたる合併症を有する病気は他にないし、新患にしても「食事、運動療法で可」の人から「即、インスリン注射」の人までさまざまな人がやって来る。また糖尿病の治療がこの20年で全く変わってしまった。いや、この5年でもかなり変わった。勉強をしてついていかないと、患者さんに一昔前の治療を施してしまうことになる。
さて学会は今や大御所になった、順天堂大の河盛先生、東大の門脇先生が座長をつとめられ、「糖尿病のさまざまの病態を改善するベストアプローチとは」というタイトルで講演があった。名古屋の洪先生もいつもながらの「低血糖をとに角、起こしてはダメだ」の持論を展開されていた。
大阪大の小室教授からは、血管の動脈硬化についてとに角、糖尿病は心血管イベントを起こしやすく、血管のplaqueの安定化をはかるチアゾリジン系の薬剤が大いに治療に有用であると話された。
今回はDPP-4阻害薬の有用性が臨床例をふまえて多く発表された。その使い方、注意点などと従来薬といかに組み合わせるのがベストなのかという踏み込んだ講演となっていて大変、有意義であった。
さて、恒例となったが、学会の後は長男を呼び出し、今回はホテルニューオータニの「THE BAR」で雑談した。窓からは東京タワーが一望できるすばらしいところであった。会うたびに(実技はいざ知らず)話の内容は、消化器外科医らしくなってきたな、と実感した。最近はS状結腸癌の執刀をしたと、嬉しそうに話していた。
ニューオータニから見た赤プリはライトアップされてとても美しく、来春に姿を消すことが残念でならない。東京からまたひとつ名所が消えるのである。玄関で「元気でやれよ」と背中を押して別れたのであった。

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— posted by 越智邦明 at 10:11 am  

2010/11/8

突然の死


11月1日に患者のTさん(女性)が亡くなった。80才であった。Tさんは御夫婦共、もう10年来の患者である。1日の朝、7時に御主人から緊急の連絡があった。「朝、家内を起こしに行ったら冷たくなっていた」と。原因は急性心不全と思われた。
Tさん御夫婦は本当におしどり夫婦の見本であり、お互いに体をいたわりあっていた。3日の葬儀に出席した時に、御主人は弔辞で次のように述べた。「私達は結婚してちょうど50年。今年は金婚式に当たり、家内に何か欲しいものを買ってやろうと言った。しかし家内は何もいらない、と答えた。どうしてあの時に買ってやらなかったんだろうと、自責の念にかられて涙も出ない」。ここで御主人は言葉を詰まらせた。私も感極まった。以前にブログで「生前遺言」のことを書いた。何百人の人を見送ってきた私だが、臨終に当り、家族に自分の想いを伝えられる人はまだいい。今回のTさんのように急死の場合はそれが叶わない。私は考えさせられた。やはりいつ死が訪れても後悔のないように、普段から色々の仲間と思いの丈を語り合って置くべきだなと痛感した。遺言状もそのひとつかもしれない。御主人は更に続けた。
「家内は結婚した時に私に連れ子が1人いたのですが、その子を我が子同然に大事に育ててくれました。本当に良くしてくれました。」と。私はTさんが生前、診察室で向かい合った時に私に「先生、ゆうちゃんは本当にかわいいですね。ずい分、大きくなりましたね」といつも写真が変わるたび話しかけてくれたのを思い出していた。本当にTさんは優しい人であった。Tさんの冥福を祈ると共に、御主人の健康管理にも今まで以上に注力しなければと、身を引き締めたのであった。

— posted by 越智邦明 at 08:27 am  

2010/11/4

カボチャ


お盆のお供え物のひとつとしてカボチャがあります。10月31日のハロウィーン、英米ではカボチャの提灯を飾っています。ウリ科の1年生の植物で、日本カボチャと西洋カボチャの2種類があります。
日本カボチャは南メキシコが原産で400年前、ポルトガル人がカンボジアから伝えたのでこの名があります。
もうひとつの西洋カボチャは南米ペルーが原産で、明治初期に入りました。質が硬いのでクリカボチャとも呼ばれています。
カボチャには黄色色素のキサンチン、ルチンと共にビタミンA系統のカロテンがたっぷり含まれ、その他ビタミンC、B1、B2、カルシウム、鉄、リン、などを多量に含みます。
カボチャは保存が利くので昔から「冬至カボチャ」と称して冬の寒いときに食べる習慣もあります。これは寒さに対する抵抗力をつけてくれる、ビタミンAやCを補給するには最適です。
(追伸)
ゆうちゃんは、お手手つないで歩けるようになり、嬉しそうです。階段もとても大好きで、宇和島のマンションにはないので昇ったり降りたり忙しいです。
 

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— posted by 越智邦明 at 04:06 pm  

2010/11/1

目の病気


私はブログを通して何度も目の病気について触れてきた。何故か?人が入手する情報の7~8割は「目から」です。だから五感の中でも視覚を奪われるのが最もつらいと思う。光を失った人達が患者の中でも多く存在する。失明を招く病気として、緑内障や糖尿病を取り上げてきたが今回は「加齢黄斑変性症」を取り上げる。欧米では成人の失明原因の第1位です。日本でも急増して第4位となっています。
黄斑とは網膜の中心にある直径1.5mm~2mm程度の小さな部分の名称で、見ている所からの光が当たる部位です。黄斑では、大変良い視力が得られますが、それ以外の網膜では十分な視力は得られません。即ち黄斑が障害されると視力は著しく低下し、運転免許の更新や字を読むことが出来なくなります。
この病気の最初は黄斑の障害で、物の中心部はゆがんで見えますが周辺部は正しく見えます。(図左)更に障害が進むと、真ん中が見えなくなり(中心暗点)、視力は0.1以下になります。(図右)
近年、視力改善が期待できる注射薬が発売されましたが、発見が遅いとその保証はありません。
時々、片目を閉じて、物がゆがんで見えないかチャックする必要があります。両目を開けていると異常に気が付きません。そして、少しでもおかしければ眼科を受診して下さい。

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— posted by 越智邦明 at 05:04 pm  

2010/10/28

肝ぞう疲労


秋の検診でGOT、γ-GTPが高く、酒の飲みすぎと言われたが、どうしたら良いか?と、よく質問を受けます。
今年のように猛暑が続いた年は、肝臓の疲労もピークです。肝ぞうはエネルギーを生成したり有毒物質を分解したりしますが、この機能が低下した状態が肝ぞう疲労です。これを放置すると全身的な疲労が取れなくなり、黄疸や微熱が出たり、ひいては肝硬変になります。ではどうすれば肝ぞう疲労を回復できるのか?
①十分な睡眠をとること。・・・肝ぞうは非常に大きな臓器で大量の血液を必要とする。全身の血液の約半分が肝ぞう内を出入りします。睡眠時は筋肉や胃腸に血液をとられないため、肝ぞうに血液が十分にめぐり、同時に成長ホルモンが分泌されるので、肝ぞうの疲労回復につながります。いい薬のなかった時代に肝ぞう病は入院して治せ、と言われたのは理屈があり、安静臥床で大量の血液が肝ぞうに戻るからです。
②適度な運動をすること。・・・ウォーキングなどの軽い運動は肝ぞうへの血液循環を促進すると共にエネルギーを消費することで、肝ぞうの脂肪蓄積を防ぎます。
③アルコール飲用時に水を飲む。・・・飲酒時に水分を多くとると、肝ぞうで生成される有毒物質アセトアルデヒドを薄め分解しやすくなる。アセトアルデヒドの蓄積が飲んだ翌日の疲労感の原因物質なのです。
④シジミ、ウコンを摂る。・・・飲酒時にオルニチンというアミノ酸が豊富なシジミを食べると肝ぞうのアンモニア分解を助け、肝ぞう疲労を予防できます。また最近はやりのウコンも胆汁の分泌を促進して毒素の排出を促すため肝ぞうを助けてくれます。
その他、精神的ストレスも肝機能を低下させます。
肝ぞう病の人は暴飲暴食をせず、リラックスして適度な運動をしてグッスリ眠ることが肝要だと思います。

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— posted by 越智邦明 at 03:42 pm  

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