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2010/11/18

骨粗鬆症


私の患者さんKさん(90才、女性)は、骨粗鬆症で悩んでいる。3年前に転倒し、左大腿骨頚部骨折を起こし、私の友人が院長をしているJ病院で手術をしてもらった。
その後、順調に当院でリハビリを続け、何事もなかったように回復した昨年、柱に腰をぶつけた時に腰痛がひどくなり、やはりJ病院に半年入院した。骨折はあるが手術するほどでもなく、安静による治療だった。そして先月、何をした覚えもないのに右大腿が痛くなり、レントゲンで異常がなかったが再びJ病院に診せた所、MRIでまたまたヒビが入っていて、3度目の入院中である。とに角、重度の骨粗鬆症だと言われている。この間お見舞に行った時、Kさんは「もうこんなに骨が弱くなったら、きっと私を焼いたら何も残ってないよ。先生。」と気弱な発言をした。
骨も皮膚と同じように“新陳代謝”をしている。古くなった骨が破壊されて新しい骨ができる。そのバランスが保たれていれば骨の強度は維持される。骨粗鬆症はそのバランスが崩れて破壊が進んだ状態。現在は骨の破壊を抑えるビスフォスフォネートと呼ばれる薬が使われている。これは骨折予防効果がありますが、Kさんのような重症の方の骨折予防効果が低いのがネックです。
ところが今年10月に登場した新薬テリパラチド(遺伝子組換え注射剤)を使ってから従来の薬を使うと、骨が飛躍的に強くなり、骨折を予防できるという。テリパラチドは骨の形成を促進する作用があるのです。産業医大整形の中村利孝教授によると、「テリパラチドの注射を18ヵ月間続けてからビスフォスフォネート製剤に切り替えると、骨の強度が長く維持される」そうです。テリパラチドは糖尿病のインスリン注射のように太ももや腹部などに自分で注射します。しかし1日1回いつでもよく、インスリンのようなわずらわしさがなく又、ほとんど痛くないと言う。今後、副作用を含め検討が必要だが、Kさんのような重症で骨折に脅える人には朗報であろう。
「テリパラチドとビスフォネートのW治療」。医学の進歩はめざましい。

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左は骨粗鬆症、右は正常人の足のレントゲンです。
コントラストが全く違うのがお分かりでしょうか?

— posted by 越智邦明 at 05:04 pm  

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