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2010/11/8

突然の死


11月1日に患者のTさん(女性)が亡くなった。80才であった。Tさんは御夫婦共、もう10年来の患者である。1日の朝、7時に御主人から緊急の連絡があった。「朝、家内を起こしに行ったら冷たくなっていた」と。原因は急性心不全と思われた。
Tさん御夫婦は本当におしどり夫婦の見本であり、お互いに体をいたわりあっていた。3日の葬儀に出席した時に、御主人は弔辞で次のように述べた。「私達は結婚してちょうど50年。今年は金婚式に当たり、家内に何か欲しいものを買ってやろうと言った。しかし家内は何もいらない、と答えた。どうしてあの時に買ってやらなかったんだろうと、自責の念にかられて涙も出ない」。ここで御主人は言葉を詰まらせた。私も感極まった。以前にブログで「生前遺言」のことを書いた。何百人の人を見送ってきた私だが、臨終に当り、家族に自分の想いを伝えられる人はまだいい。今回のTさんのように急死の場合はそれが叶わない。私は考えさせられた。やはりいつ死が訪れても後悔のないように、普段から色々の仲間と思いの丈を語り合って置くべきだなと痛感した。遺言状もそのひとつかもしれない。御主人は更に続けた。
「家内は結婚した時に私に連れ子が1人いたのですが、その子を我が子同然に大事に育ててくれました。本当に良くしてくれました。」と。私はTさんが生前、診察室で向かい合った時に私に「先生、ゆうちゃんは本当にかわいいですね。ずい分、大きくなりましたね」といつも写真が変わるたび話しかけてくれたのを思い出していた。本当にTさんは優しい人であった。Tさんの冥福を祈ると共に、御主人の健康管理にも今まで以上に注力しなければと、身を引き締めたのであった。

— posted by 越智邦明 at 08:27 am  

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