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越智クリニック
 
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2010/11/8

突然の死


11月1日に患者のTさん(女性)が亡くなった。80才であった。Tさんは御夫婦共、もう10年来の患者である。1日の朝、7時に御主人から緊急の連絡があった。「朝、家内を起こしに行ったら冷たくなっていた」と。原因は急性心不全と思われた。
Tさん御夫婦は本当におしどり夫婦の見本であり、お互いに体をいたわりあっていた。3日の葬儀に出席した時に、御主人は弔辞で次のように述べた。「私達は結婚してちょうど50年。今年は金婚式に当たり、家内に何か欲しいものを買ってやろうと言った。しかし家内は何もいらない、と答えた。どうしてあの時に買ってやらなかったんだろうと、自責の念にかられて涙も出ない」。ここで御主人は言葉を詰まらせた。私も感極まった。以前にブログで「生前遺言」のことを書いた。何百人の人を見送ってきた私だが、臨終に当り、家族に自分の想いを伝えられる人はまだいい。今回のTさんのように急死の場合はそれが叶わない。私は考えさせられた。やはりいつ死が訪れても後悔のないように、普段から色々の仲間と思いの丈を語り合って置くべきだなと痛感した。遺言状もそのひとつかもしれない。御主人は更に続けた。
「家内は結婚した時に私に連れ子が1人いたのですが、その子を我が子同然に大事に育ててくれました。本当に良くしてくれました。」と。私はTさんが生前、診察室で向かい合った時に私に「先生、ゆうちゃんは本当にかわいいですね。ずい分、大きくなりましたね」といつも写真が変わるたび話しかけてくれたのを思い出していた。本当にTさんは優しい人であった。Tさんの冥福を祈ると共に、御主人の健康管理にも今まで以上に注力しなければと、身を引き締めたのであった。

— posted by 越智邦明 at 08:27 am  

2010/11/4

カボチャ


お盆のお供え物のひとつとしてカボチャがあります。10月31日のハロウィーン、英米ではカボチャの提灯を飾っています。ウリ科の1年生の植物で、日本カボチャと西洋カボチャの2種類があります。
日本カボチャは南メキシコが原産で400年前、ポルトガル人がカンボジアから伝えたのでこの名があります。
もうひとつの西洋カボチャは南米ペルーが原産で、明治初期に入りました。質が硬いのでクリカボチャとも呼ばれています。
カボチャには黄色色素のキサンチン、ルチンと共にビタミンA系統のカロテンがたっぷり含まれ、その他ビタミンC、B1、B2、カルシウム、鉄、リン、などを多量に含みます。
カボチャは保存が利くので昔から「冬至カボチャ」と称して冬の寒いときに食べる習慣もあります。これは寒さに対する抵抗力をつけてくれる、ビタミンAやCを補給するには最適です。
(追伸)
ゆうちゃんは、お手手つないで歩けるようになり、嬉しそうです。階段もとても大好きで、宇和島のマンションにはないので昇ったり降りたり忙しいです。
 

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— posted by 越智邦明 at 04:06 pm  

2010/11/1

目の病気


私はブログを通して何度も目の病気について触れてきた。何故か?人が入手する情報の7~8割は「目から」です。だから五感の中でも視覚を奪われるのが最もつらいと思う。光を失った人達が患者の中でも多く存在する。失明を招く病気として、緑内障や糖尿病を取り上げてきたが今回は「加齢黄斑変性症」を取り上げる。欧米では成人の失明原因の第1位です。日本でも急増して第4位となっています。
黄斑とは網膜の中心にある直径1.5mm~2mm程度の小さな部分の名称で、見ている所からの光が当たる部位です。黄斑では、大変良い視力が得られますが、それ以外の網膜では十分な視力は得られません。即ち黄斑が障害されると視力は著しく低下し、運転免許の更新や字を読むことが出来なくなります。
この病気の最初は黄斑の障害で、物の中心部はゆがんで見えますが周辺部は正しく見えます。(図左)更に障害が進むと、真ん中が見えなくなり(中心暗点)、視力は0.1以下になります。(図右)
近年、視力改善が期待できる注射薬が発売されましたが、発見が遅いとその保証はありません。
時々、片目を閉じて、物がゆがんで見えないかチャックする必要があります。両目を開けていると異常に気が付きません。そして、少しでもおかしければ眼科を受診して下さい。

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— posted by 越智邦明 at 05:04 pm  

2010/10/28

肝ぞう疲労


秋の検診でGOT、γ-GTPが高く、酒の飲みすぎと言われたが、どうしたら良いか?と、よく質問を受けます。
今年のように猛暑が続いた年は、肝臓の疲労もピークです。肝ぞうはエネルギーを生成したり有毒物質を分解したりしますが、この機能が低下した状態が肝ぞう疲労です。これを放置すると全身的な疲労が取れなくなり、黄疸や微熱が出たり、ひいては肝硬変になります。ではどうすれば肝ぞう疲労を回復できるのか?
①十分な睡眠をとること。・・・肝ぞうは非常に大きな臓器で大量の血液を必要とする。全身の血液の約半分が肝ぞう内を出入りします。睡眠時は筋肉や胃腸に血液をとられないため、肝ぞうに血液が十分にめぐり、同時に成長ホルモンが分泌されるので、肝ぞうの疲労回復につながります。いい薬のなかった時代に肝ぞう病は入院して治せ、と言われたのは理屈があり、安静臥床で大量の血液が肝ぞうに戻るからです。
②適度な運動をすること。・・・ウォーキングなどの軽い運動は肝ぞうへの血液循環を促進すると共にエネルギーを消費することで、肝ぞうの脂肪蓄積を防ぎます。
③アルコール飲用時に水を飲む。・・・飲酒時に水分を多くとると、肝ぞうで生成される有毒物質アセトアルデヒドを薄め分解しやすくなる。アセトアルデヒドの蓄積が飲んだ翌日の疲労感の原因物質なのです。
④シジミ、ウコンを摂る。・・・飲酒時にオルニチンというアミノ酸が豊富なシジミを食べると肝ぞうのアンモニア分解を助け、肝ぞう疲労を予防できます。また最近はやりのウコンも胆汁の分泌を促進して毒素の排出を促すため肝ぞうを助けてくれます。
その他、精神的ストレスも肝機能を低下させます。
肝ぞう病の人は暴飲暴食をせず、リラックスして適度な運動をしてグッスリ眠ることが肝要だと思います。

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— posted by 越智邦明 at 03:42 pm  

2010/10/25

ボケないために


老親の健康はとても大事だが、認知症になると、これまた厄介である。介護のために精神的にも経済的にも大きな負担になる。親をボケさせないように今から工夫が必要である。
(その1)
いちばん手軽なのが、歩くことである。人間は歩くと脳の血液が増え、脳が活性化される。PHP研究所の久恒辰博著「なぜ歩くと脳は老いにくいのか」を読むと、運動を行うと運動神経などの末端からアセチルコリンが分泌され、神経幹細胞を刺激して、記憶や認知機能の向上につながるとある。歩くことによって、セロトニンも分泌される。セロトニンは心と体をリラックスさせる脳内物質で、何かと落ち込みやすい高齢者を前向きな気持ちにさせる効果がある。老親に歩きやすいウォーキングシューズをプレゼントしてはいかがでしょうか。
(その2)
赤ワインに含まれるポリフェノールが、記憶などをつかさどる脳の海馬を活性化することが分かった。ポリフェノールは、細胞や遺伝子に影響する過酸化物質を抑え込む抗酸化作用がある。赤ワインを贈り、一緒に晩酌を楽しもう。1日にグラス2杯までです。来月にはボジョレ・ヌーボーも解禁です。
(その3)
高齢者向けの携帯電話を贈る。指を使って文字を打つ経験がない老親にとっては、脳に新たな回路をつくることになり、前頭葉にある運動野への刺激になる。
(その4)
家庭菜園を贈る。野菜の種や苗、土、プランターなどがそろった栽培セット一式がはやりで、脳と体の活性化に効果抜群である。野菜を育てていくうちに自分がいなければ枯れてしまうという使命感を感じ、自分が役に立っているという達成感や生きがいを感じる。
(その5)
金魚や熱帯魚の飼育セットを贈る。周囲に生きて動き回るものがあることは重要です。生命力を感じて気持ちが前向きになり、認知症のリスクが減ります。

いくつか述べてきましたが、ただ物を贈るだけでなく、それをきっかけにコミュニケーションを図るのが一番大切です。
「元気か?」と顔を出すことです。

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— posted by 越智邦明 at 03:11 pm  

2010/10/21

雑学


雑学面白本の中でいくつか面白い雑学を読んだ。
①なぜビールは水よりたくさん飲めるのか?
ビールには利尿を促す成分が含まれているうえに、吸収力アップのアルカリイオンが多いため、水に比べ胃腸にとどまる時間が短いから
②デザートを食べるときの「別腹」は本当か?
おいしそうと思うと、脳から指令が出て(脳相)、胃から腸に送る蠕動運動が活発になり、実際に胃の中に空いたスペースができる。
デザートのケーキしかり、酒の後のラーメンしかりです。
③苺(いちご)という字に何故「母」が入っているか?
日本には古くから現在の大きな苺とは違う、野生の小さな木苺や草苺が生えていた。苺の文字ができた当時の小粒で丸い実が、母の乳首に見立てられたからである。
 

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— posted by 越智邦明 at 03:46 pm  

2010/10/18

たばこ


たばこは、ナス科の植物で中南米、キューバで喫煙の習慣があったものを1492年にコロンブスがキューバから「香り高き乾燥した葉」として持ち帰った。瞬く間にヨーロッパ中に広まり、日本へは1570年、ポルトガル人によって長崎の出島に伝来され、やはり瞬く間に日本国中に広まった。
徳川時代に8代将軍の吉宗は、殖産のためにたばこ栽培を奨励したが、家代は「たばこは毒である」として禁煙令を出した。これは禁煙の歴史の第1歩であった。貝原益軒も「養生訓」の中で、たばこの中毒性について述べている。
さて世界を見渡すと、各国でさまざまな禁煙措置が施行されているにもかかわらず、喫煙者は特に途上国では増加傾向にある。WHOは、世界の喫煙人口を13億人とし、年間500万人が喫煙を原因とする疾病で死亡していると推定している。日本は年間10万人との事。日本で禁煙条例が最初に打ち出されたのは、2002年、東京都千代田区での「路上歩きたばこ禁止条令」である。その後、さまざまな地域で「受動喫煙禁止条令」が打ち出されている。
料理屋、特にカウンターでは完全禁煙にすべきだと思うが、やはり経営がネックになって「完全」は難しいと言う。
ここ最近、10月のタバコ大幅値上げで、禁煙補助剤の問い合わせが殺到してきた。これはいい流れだと思う。
国民の意識改革を望みたい。
さて話は変わって、今日はゆうちゃんの誕生日。満一才となった。昨日はお祝いにと家内、次男を連れて宇和島へ出かけた。みんなで料理屋の一室でお祝い会をした。思えばちょうど一年前、ゆうちゃんが産まれて駆けつけて一服したあと、やはりこの料理屋で昼食を食べた。今回は多くの方のプレゼントで、すっかり満足気のゆうちゃん。ますます元気に育ちますように。

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— posted by 越智邦明 at 03:38 pm  

2010/10/15

ブドウ


今年のブドウは猛暑のおかげで糖度が高いと言う。
ブドウに含まれる糖分は、ブドウ糖で体内の吸収効率が高い。即効性のエネルギー補給として、夏バテで低下した体力を回復させることができる。またブドウに含まれるクエン酸は熱中症予防にも効果的である。
果肉に含まれるアミノ酸化合物ペンタペプチドは、脳機能を改善し記憶力低下などを防ぎます。果肉を冷凍してから食べると、これを効率的に体内に吸収しやすくなります。というのはブドウの果肉には繊維が多く、これがペプチドの吸収を阻害しますが、冷凍することで繊維を壊すことができるのです。受験生やモノ忘れの多い60才以上にオススメです。
次にデラウエアや巨峰などの色の濃いブドウに多く含まれるポリフェノールの一種、レスベラトロールはがん予防効果があります。また脳梗塞や心筋梗塞の予防、血圧降下作用もわかってきました。またマスカットなど酸味の強い品種の皮に含まれる酒石酸は、腸内の善玉菌を活性化させます。
ブドウは皮ごと煮込んでジャムにしたり、ジューサーでジュースにしてもよいです。是非召し上がって下さい。
(追伸)
ゆうちゃんは、自転車に乗ったり階段を昇ったりと活発です。
前歯が2本あるので、なんとかナシもかじっています。

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— posted by 越智邦明 at 03:26 pm  

2010/10/12

C型肝炎


放置すると肝硬変や肝がんにつながるC型肝炎は、21世紀の国民病といわれている感染症である。(ただし母子感染や性行為感染は、ごくわずかである。)
現在国内にキャリアを含めると150~200万人居ると推定されている。C型肝炎の恐いのは(疫学調査だが)、放置すると2人に1人は肝がんを発症するということである。また、現在のわが国のがん死亡は、1位が肺がん、2位が胃がんで3位が肝がん。肝がんの原因の80%がC型肝炎である。
国も手をこまねいている訳ではない。「肝炎治療医療費助成制度」を設け、インターフェロン治療を行った場合、本人負担額が月に1万円(上位所得階層は2万円)で済む。約1年通院しても12万円。これで肝炎とおさらば出来たら本当に安いものであり、ありがたい制度である。当院でも数多くの方が奮闘中であり、次々と完治例が登場して、患者と抱き合って喜びます。
芸能界でも多くの方が闘っています。2005年、森進一さん、2006年、渡辺謙さん、2007年、吉幾三さん、2010年、伍代夏子さん。
しかし、実際に医療機関で何らかの治療を受けている人は50万人に過ぎず、残りの100~150万人はどうしているのでしょう?自分が感染していることに気づいていない可能性が大です。この間、大阪で開かれたトークショー「C型肝炎いま治そう!」にゲスト出演した漫才師のオール巨人さん(58)は(今年2月よりインターフェロン治療を受けているが)壇上で「40才を過ぎたら検査を受けてください」と強調しました。
1992年以前に輸血を受けたことがある人、大きな手術を受けたことがある人、出産時に大量出血があった人、長期間血液透析を受けている人、血液製剤を投与されたことがある人、ボディピアスをしている人は感染の可能性があるので、1度検査を受けて下さい。そして陽性なら積極的にインターフェロン治療を受けることをお勧めします。入院しないで継続治療されている人も当院には多く居ます。

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— posted by 越智邦明 at 03:55 pm  

2010/10/7

肺癌


102才のSさんが肺癌で亡くなった事を書きましたが、今日は肺癌について考察してみます。
わが国で肺癌が1998年に癌死亡原因の第1位となってからすでに10年以上経ったが、未だ1位の座を譲っていない。肺癌は細胞学的に小細胞癌、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌の4つに分類される。現在の日本では腺癌が最も多い。小細胞癌はその他の肺癌に比べて増殖が速く転移もしやすい。そのため臨床的には肺癌を小細胞癌とそれ以外の3つを非小細胞癌として取り扱っている。
さて「喫煙していなければ肺癌にならない」と勘違いしている人が多い。特に女性の肺癌は75~85%がタバコと無関係です。今までは、タバコと関係のある扁平上皮癌の割合が大きかったのですが、最近では欧米も含めて腺癌が増えてきています。腺癌はタバコと無縁の方でも生じる肺癌です。先月9月に、女優 池内淳子さんが亡くなりましたが腺癌でした。
当院23年間の診療の中で3例、肺癌の嫌な想い出がある。どれも1年前はレントゲンでは大丈夫と思われていたのに、その年のレントゲンで異常が見つかり日赤へ紹介したが、手術することも叶わず多発転移でみんな半年以内に亡くなった。3人とも小細胞癌であった。外科治療が不能な場合、化学療法(抗癌剤)と放射線治療の併用になりますが、どれも辛いです。日赤からベテル病院へ転院して、モルヒネ漬けになったSさん(男性)の最期は無残なものでした。
全国の肺癌検診受診率は25%に満たない状況です。国をあげての取り組みが必要であり「一度は受けましょう」から「毎年受けましょう」に変更すべきだと思います。

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— posted by 越智邦明 at 01:05 pm  

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