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2011/11/7

拡張期血圧


下の血圧、つまり拡張期血圧のみが高いのを純拡張期高血圧と言う。高齢者では上の血圧、つまり純収縮期高血圧が一般的であるが、これは若荘年者に多い。さて血圧の上と下、どう違うの?という外来での質問が多い。
人口の高齢化に伴い、収縮期高血圧(収)が注目されるが最初に来るのは拡張期高血圧(拡)であることに注目する必要がある。即ち若年時の純(拡)は、壮年以降の本態性高血圧にほぼ間違いなく進展するということです。従って我々は純拡張期高血圧に十分介入しなければならない。
(拡)は外来血圧は80mmHg以上を言うが、家庭では85mmHgを超えたら診断すべきである。その時に(収)がたとえ正常でも介入の対象です。
さて介入ではまず生活習慣の改善です。肥満の是正、運動負荷、アルコール制限、禁煙、食事(低脂肪、低食塩、野菜や果物の摂取など)の改善が大事です。
肥満は特に要注意です。くれぐれも下の血圧が上がってきたら若くても要注意です。薬は新薬がいくつもあります。

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(追伸)
10月のとある日よう日、すがすがしい秋風のもと、奥道後GCに行きました。写真はインの13番、ショートホールから瀬戸内海を見た次男とのツーショットです。
年に何回か、はるかかなたまでくっきり見える日がありますが、当日がまさにそうでした。次男の230ヤードショットに圧倒された1日でした。いつの間にか世代交代。悲しいかな。

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— posted by 越智邦明 at 04:14 pm  

2011/11/4

禿たん(はげたん)


禿たんと聞いてピンと来る人はかなりの食通である。松山は大街道2丁目のおでん屋「禿たん」。店主、土岐光生さん(73才)とは、もう20年のお付き合いである。義父の英二さんが1948年におでん屋を開店し、土岐さんは27才で後を継ぎ46年間、妻の和佳子さんとがんばってきた。その禿たんが10月31日で店を閉じるというニュースは、10月25日号の愛媛新聞でも顔写真入りで大きく取り上げられたので見た方は多いと思う。南海放送のもぎたてにもよく登場した。この店は県産のサトイモ、ジャガイモ、レンコン、イイダコなど30品以上の具をそろえて、とてもダシが染み込んでおいしかった。私は特製「手羽先ぎょうざ」が大好きであった。又、もう一つの特徴は店内に秋山好古・真之兄弟の書や正岡子規のはがきなど先代から集めた貴重な収集物が壁に所狭しと貼ってある。
この店で私は多くの方と出会い、今もつきあいは続いている。
さて、その最終日31日、満を持して訪れた。最後を見ようと大勢の客が入っていた。7時になると夫婦連れの人が入ってきたが、大将が「すみません、一杯で」というのに対し、周りの客が「何とか詰めて入ったら」と入れてあげ、本当にギュウギュウの満席となった。みんな口々に「寂しくなる」を繰り返し、数々の大将との想い出を語っていた。
おでんとビールを飲みながら、大将土岐さんそして奥様の最後の勇姿を写真に納めた私は、10時「これからはお二人共、健康に留意されて長生きして下さい」と握手して別れを告げた。
「いつか終わりは来るのだ」と自分に言い聞かせながら。
(追伸)
家内がどうしても最後のおでんを食べたいと言うのでタッパー持参で行きました。たくさんの具を入れていただいて持ち帰り、家内が大喜びだったのは言うまでもありません。土岐さんありがとう。


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— posted by 越智邦明 at 04:57 pm  

2011/10/31

避妊


内科雑誌に緊急避妊薬のことが書いてあった。そのころに患者の女性から「当院にないか?」と質問を受け、もちろん扱いはないが、この際に勉強してみた。
ゆうちゃんのパパがこの間遊びに来たときに詳しく聞いてみた。今まで日本には緊急避妊の適応を有する薬剤がなく、そのため、本来は機能性子宮出血や月経周期異常に対して用いられていたホルモン剤を緊急避妊薬として使っていた。それが、今年5月に日本初の緊急避妊薬「ノルレボ錠」が発売された。副作用が少なく妊娠阻止率が高い。望まない妊娠は、男女共不幸になる。しかし認知度は低く、女性ですら知っている人は3人に1人。男ならなおさらである。性問題に取り組む第1人者の「日本家族計画協会クリニック」の北村邦夫所長の言葉をいくつか拾ってみる。ノルレボ錠とは「避妊しなかった、避妊できなかった女性が性交後に避妊目的で服用するホルモン剤です。性交後、72時間以内に1回1.5mg服用すると排卵が抑制されたり遅れたりして妊娠が阻止される。性交からどれくらい経って服用したかで阻止率は変わるが、72時間以内だと84%以上だと言う。72時間超120時間以内は63%に下がる。」
パパが話してくれた注意点は、このクスリを飲んだあとが問題であくまで排卵を遅らせているので、妊娠が否定されるまで(次の生理が来るまで)の間に性交渉をもつ場合は避妊する必要があること。できればそれまでは性交渉をもたない方がいいそうです。
さてノルレボは当院にはありません。婦人科か産科のみです。ノルレボは今年5月に発売されたばかりの新薬なので置いていない医療機関もまだ多いのが現状です。
それと値段は保険適用外でまちまちですが、1万円~2万円だそうです。
男性の受診はだめで、当事者の女性が受診しなければなりません。
また従来の緊急避妊薬でももちろん避妊効果はありますので、そちらを選択されても問題はありません。
少しでも参考になれば幸いです。

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— posted by 越智邦明 at 05:20 pm  

2011/10/27

逆流性食道炎


何度も取り上げてきたこの病気。胃酸が食道に逆流して食道に炎症を起こし、胸焼けやゲップ、膨満感等の症状を起こす。統計ではこの20年で4倍に増えている。バリウムの時代から胃カメラの時代になってより早期に発見される。むしろバリウムでは分からないと言った方が当っている。
逆流性食道炎に処方する薬は、胃酸の分泌を強く抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)が第一選択です。この薬で胸焼けなどの症状が十分良くなる方は約7割。しかしあとの3割は良くならないことが分かってきた。
これまでPPIは「オメプラゾール」「ランソプラゾール」「ラベプラゾール」の3剤であったが、これに加えて今年7月に「エソメプラゾール」が新たに承認された。ある酵素の活性が高い方はPPIが効きにくいのですが、エソメプラゾールは従来の薬よりよく効く。胃酸分泌抑制テストで、オメプラゾールが43%に対しエソメプラゾール56%と高い。
私も早速、従来品が今1歩あるいは効かない方3名にエソメプラゾールを処方してみた。そのうち、2人は著効、1人は改善を認めた。かなりの実力があると思われる。
最後にもうひとつ大事なのは食事の改善である。肉を食べると胃酸の分泌が促進されるが魚は抑えられます。食事を魚中心に変えることも一つの手です。
とに角、薬の世界は日進月歩。常により良い薬を提供したいと思います。

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— posted by 越智邦明 at 05:20 pm  

2011/10/24

Kさんの死


Kさん(83才女性)とは長い付き合いであった。
御近所でもあり、よく犬の散歩で出会った。愛犬のコリー犬を連れていつも元気に歩いていた。所が平成19年頃からパーキンソン病がひどくなり当院に入院となった。やがて認知も進み、食事摂取が不能となった。当時、中心静脈栄養を行っていた。こういった方の場合、気をつけなければならないのが寝たきり肺炎である。ある時、ひどい肺炎となり、挿管をして一命をとりとめたが、長期化が予想された。そこで娘さんに「声は出なくなるが、気管切開をしたら肺炎から逃げられる」と説明をした。娘さんは直ちに「お願いします。長生きさせて下さい」と返答があった。そして気管切開を行い、栄養は鼻腔栄養を施し、長い長い入院生活が始まった。
この4年半の間に色々な事があった。重度の褥創に対して手術を行った。昨年は重症肺炎やMRSA肺炎でもうダメかと宣告した時に施したステロイドパルス療法が奏効し生き返った。何度も三途の川に足を踏み入れたKさん。よくがんばったが、18日の深夜、あばれることなくスーと息を引き取った。
何の処置も必要なかった。家族には「大往生でした」と説明をし、葬儀の車が来る間、この4年半の色々な話をした。認知がありながらも孫の結婚式の写真には特に笑みを浮かべていたこと等、思い出は尽きない。
御冥福をお祈りします。

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— posted by 越智邦明 at 09:08 am  

2011/10/22

ゆうちゃん2才へ


ゆうちゃんは10月18日で2才になりました。
私が滋賀の長濱オルゴール堂で買っておいたプレゼントにろうそくを灯し、フーをしています。
また3才へ向けてすくすくと育って欲しいものです。

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— posted by 越智邦明 at 09:24 am  

2011/10/20

TPP


TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)についての議論が急速に高まっている。めったに政治の話はブログでしない私だが、TPPは私の属する全国保険医協会も反対の立場なので論じたい。色々な評論家の本を読んだが、日本が性急にTPPに参加するメリットはひとつもないようだ。今以上に米国の植民地化が進むだろうと言われている。
代表的なのが農業である。TPPに参加すれば世界最大の農産物輸出国である米・豪から関税ゼロの激安農産物が大量に入ってくる。農水省の試算では、自給率は現在の40%から14%へ落ちこみ、340万人が仕事を失うという。生産額は4兆1000億円も減る計算である。マスコミは安い農産物が出回れば消費者も喜ぶというが、遺伝子組み換え品などが当たり前に流通し、そうでない国産品は高くなり食糧が外国に支配される構図となる。
前例を見てみよう。米・カナダと90年代にNAFTA(北米自由貿易協定)を結んだメキシコはどうなったか?米国から大豆やトウモロコシ、牛肉などの輸入が急増。生産、販売など全ての農業分野で多国籍企業の支配が強まったと言う。
TPPは加盟国の国民がサービスを提供する際の入国審査の簡素化も掲げている。ベトナムやペルーなどから賃金の安い労働者が輸入されれば、まっ先にクビを切られるのは高コストの日本人。失業率は確実にアップする。
さて私の関係する医療界への影響について述べてみます。TPPに参加することで、日本が世界に誇るべき「いつでも どこでも 安心して」医療が受けられる国民皆保険が崩解しかねません。海外から「経営資源」や「人」が国内の医療分野に参入し、我が国の医療に市場原理が持ち込まれ、外国資本が経営に参画してきます。そして、お金が払えないと満足な医療が受けられなくなってしまう可能性が出てきます。そして、混合診療の全面解禁が狙われます。次にTPPは「人の移動の自由化」も求めてきますので、日本から医師がいなくなり、ますます医師不足になるかもしれません。日本医師会も「TPPに参加すると国民皆保険が『非関税障壁』とされかねない」として大いに危惧しています。
医師として、いのちとくらしを脅かしかねないTPP参加に断固反対をします。
来年の大統領選で再選をかけるオバマにプレッシャーをかけられている野田首相。真剣に国民のことを考えた方が良いと思うが。

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— posted by 越智邦明 at 04:04 pm  

2011/10/17

ゆうちゃんと温泉


以前に、ゆうちゃんはなかなかお風呂に入らないとブログで嘆いたことがある。ところが最近は「オンセン、オンセン」とすっかり温泉にはまっている。
10月8日~10日とゆうちゃんがやってきた。パパが東京へ学会出張したためだ。そこで誕生日前のごほうびとして、道後は大和屋に宿泊した。浴衣がとても似合うのでびっくりした。ちょこんと座ってお米をいただく姿はほほえましい。ゆうちゃん用の特別料理も堪能したようだ。近場であるが、道後温泉本館近辺を散策して、とても有意義な時間が持てた。夜、寝る前におもちゃで色々な料理を作って私に「どうぞ」と渡してくれた。どうやら料理は興味があるらしい。来るたびに色々な成長を見せてくれる、ゆうちゃん。
明日18日は2才の誕生日である。おめでとうー。

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— posted by 越智邦明 at 04:17 pm  

2011/10/13

クモの糸


「クモの巣が張った」等とクモにはあまりいい印象はない。嫌われ者で日陰の存在のクモ。1995年に毒グモのセアカゴケグモが大阪に上陸してから、クモ嫌いはますます加速されていた。ところが2002年に「スパイダーマン」が上映されてから、クモは表舞台に登場してきた。今回はクモ博士の大﨑茂芳さん(奈良県立医大教授)の論文から引用させていただいて、クモの糸の神秘に迫ろう。
クモの糸と言えば浮かぶのは、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」。原作はアメリカのポール・ケーラスの「カルマ」の中の“The Spider Web”であり、鈴木大拙によって翻訳され芥川が脚色した。小説の中で、お釈迦様が池から地獄に垂らしたクモの糸に伝って罪人のカンダタが登ろうとするシーンがある。最後は切れてしまうが、みなさんはきっとクモの糸は案外強いぞという印象をもたれていると思います。
さてここからが大﨑さんの出番です。大﨑さんの夢は「クモの糸に人間がぶら下がれるか?」でした。2004年に所ジョージのTV番組「所さんの目がテン!」に2回出て、クモの糸にぶら下がる実験をして2回とも失敗。ここからが氏のすごい所です。改良に改良を重ね、2006年に65㎏の氏が、クモの糸につるしたハンモックに乗って世界をあっと言わせたのでした。
さて大﨑さんの実験の途中で牽引糸の強さはクモの重さの2倍であることをつきとめた。だからクモは糸にぶら下がれる。クモの糸は電子顕微鏡で見ると円柱状の細い2本のフィラメントからなっている。たとえ1本のフィラメントが切れても、残りの1本でクモを支えることができるのである。いわゆる命綱である。ここからクモの命綱に関する“2”の安全則が得られ、1996年イギリスの「nature」に掲載された。
“2”の安全則は、危機管理を人間に教えてくれる。危機の分散観点から例えば、社長と会長は出張に際し、同じ飛行機に乗ってはいけない。防犯のために玄関ドアには2つの鍵をつけ、火災などには2カ所の出口を作る。医療面での事故を避けるには、最低2人が操作を十分に確認する。道路にしても震災を考えて、別の所にもう1本のルートを設ける等、色々なことを教えてくれる。人類の400万年と比べて桁違いに長い4億年を生き延びたクモには危機管理術が備わっているのである。
最後に大﨑さんはクモの糸でバイオリンを奏でようと日々努力をされているそうです。
下図は、氏の論文から引用しました。巣の中心部から外へ放射状に伸びている「縦糸」は巣の骨格を作り力学的にかなり強い。粘着球が付いている渦巻き状の「横糸」は巣に飛来した獲物を捕らえるのに適している。巣を取り囲んでいる「枠糸」や枠糸と木をつなぐ「繋留糸」がある。「牽引糸」はクモが危険に遭遇した時にすばやく逃げるための命綱としての役割を果たしている。

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— posted by 越智邦明 at 03:02 pm  

2011/10/11

口呼吸


ポカンと口を開けたままの人、よく見かけます。この人は間違いなく口呼吸です。
「口呼吸」研究の第一人者と言えば、西原研究所所長の西原克成氏。免疫学のエキスパートでもある。日本人の50%以上、子供の80%以上が口呼吸と言われていますが、西原先生は口呼吸は免疫学的にもやめた方がいいと警告している。
口はもともと食べ物の通り道で消化器の入り口。鼻は呼吸器官として空気中の化学物質やほこりなどの異物の侵入を、鼻毛や鼻汁によって防ぎ、吸い込んだ空気を浄化したり加湿する役割を持つ。寝ても覚めても鼻呼吸が正しいと言う。
子供の頃から口呼吸を続けていると、アトピー性皮膚炎・花粉症・ぜんそくなどアレルギー性疾患にかかりやすくなる。その他リウマチ・膠原病・糖尿病ひいてはがん・心臓病・脳卒中をはじめとする慢性病にかかるリスクが高まるそうです。
ではどうしたら口呼吸をやめられるのか。まず鼻での呼吸を意識すること。口が半開きになっていないか常にチェックする。ガムをいつもかんでいるのと反対側でかむことも効果的と言う。最後に、免疫力をつけるためにも暑くても42度前後の白湯を飲むことを勧めています。しょうが湯等が飲みやすいと思います。

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— posted by 越智邦明 at 05:53 pm  

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