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2011/10/20

TPP


TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)についての議論が急速に高まっている。めったに政治の話はブログでしない私だが、TPPは私の属する全国保険医協会も反対の立場なので論じたい。色々な評論家の本を読んだが、日本が性急にTPPに参加するメリットはひとつもないようだ。今以上に米国の植民地化が進むだろうと言われている。
代表的なのが農業である。TPPに参加すれば世界最大の農産物輸出国である米・豪から関税ゼロの激安農産物が大量に入ってくる。農水省の試算では、自給率は現在の40%から14%へ落ちこみ、340万人が仕事を失うという。生産額は4兆1000億円も減る計算である。マスコミは安い農産物が出回れば消費者も喜ぶというが、遺伝子組み換え品などが当たり前に流通し、そうでない国産品は高くなり食糧が外国に支配される構図となる。
前例を見てみよう。米・カナダと90年代にNAFTA(北米自由貿易協定)を結んだメキシコはどうなったか?米国から大豆やトウモロコシ、牛肉などの輸入が急増。生産、販売など全ての農業分野で多国籍企業の支配が強まったと言う。
TPPは加盟国の国民がサービスを提供する際の入国審査の簡素化も掲げている。ベトナムやペルーなどから賃金の安い労働者が輸入されれば、まっ先にクビを切られるのは高コストの日本人。失業率は確実にアップする。
さて私の関係する医療界への影響について述べてみます。TPPに参加することで、日本が世界に誇るべき「いつでも どこでも 安心して」医療が受けられる国民皆保険が崩解しかねません。海外から「経営資源」や「人」が国内の医療分野に参入し、我が国の医療に市場原理が持ち込まれ、外国資本が経営に参画してきます。そして、お金が払えないと満足な医療が受けられなくなってしまう可能性が出てきます。そして、混合診療の全面解禁が狙われます。次にTPPは「人の移動の自由化」も求めてきますので、日本から医師がいなくなり、ますます医師不足になるかもしれません。日本医師会も「TPPに参加すると国民皆保険が『非関税障壁』とされかねない」として大いに危惧しています。
医師として、いのちとくらしを脅かしかねないTPP参加に断固反対をします。
来年の大統領選で再選をかけるオバマにプレッシャーをかけられている野田首相。真剣に国民のことを考えた方が良いと思うが。

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— posted by 越智邦明 at 04:04 pm  

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