本来、就寝前と起床後では、後者が低くなるのが通例である。しかし、眠っている夜間に血圧が下がらない或いは上昇する病態があることが分かった。こういった例では午前中に心筋梗塞や脳梗塞の発生率が有意に高くなることが証明された。
1月19日に自治医大の苅尾教授の講演を聴いたが、収縮期血圧が夜間に15㎜Hg以上、上昇するケースを「夜間高血圧」と定義していた。背景因子として糖尿病、心不全、CKD、起立性低血圧、さらには睡眠障害があげられる。有名な睡眠時無呼吸症候群(SAS)や不眠症、抑うつ症等、睡眠の質を確保できないと、非常に血圧に悪影響を及ぼす。苅尾先生は睡眠の「量」も大事で、ナポレオンの「3時間睡眠」には否定的で、その理由は3時間では、本来、血圧が夜間下がるだけの時間的スペースが確保されないためとした。
今後、従来の睡眠薬とは違った睡眠の質を確保する「メラトニン関連薬」が開発されるとも論じた。
家庭血圧計で是非、寝る前と起床後に血圧を測定するようお勧めします。異常があれば是非、診察を受けて下さい。