話は変わって、井上陽水(61)は1977年、大麻所持容疑で逮捕されて急速に人気を失ったが、その頃に私も大好きな「麻雀放浪記」で知られる作家、阿佐田哲也氏と親交を深め、麻雀にのめり込んだ。そこから「世の中、真っ黒、真っ白はない」という価値観を見い出し、後に「リバーサイドホテル」「ワインレッドの心」に代表される抽象的な歌詞の世界観を作り出した。あの独特な「陽水ワールド」はバクチを通じて醸造されたのだ。
阿佐田氏はバクチについて「金稼ぎが目的ではない。人生観を深め男を磨く場でもある。時には他人に勝たせ楽しませながら、ほどほどに生きることが大事。だから9勝6敗を狙え」と言っている。また「下手なやつに限って、麻雀でも競馬でも全戦全勝を狙いたがるんだよ」という言葉は、麻雀をする私の心にぐさっと刺さった。「遊びをせんとや生まれけむ」と悩まずにバクチを楽しみたいと思う。