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越智クリニック
 
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2008/12/8

牛さん


私に孫はいないが、孫ぐらいのかわいい患者の女の子M子ちゃん(3才)から質問を受けた。「先生、牛さんは肉を食べないで草ばかり食べているのにどうしてお肉屋さんで売っているの?」と。きっと彼女は草ばかり食べているのだから、もっとやせていないとおかしい、と思ったのでしょう。私も即答出来ず早速調べることにした。確かに牛やキリンは草食なのに体はデカい。文献を調べているうちに宮崎大学の森田准教授の論文に目が行った。内容はこうだ。「ウシには胃が4つあるというように反芻動物はヒトの胃に相当する第4胃の前に第1~第3の胃が存在する。第1胃はルーメンと呼ばれるがここに共生する微生物の働きで食べた植物の繊維質を分解して利用できる。その際、繊維質から産生される有機酸をルーメン壁から吸収しエネルギー源とするのです。このような消化方法を共生消化と呼ぶ。共生消化は栄養価の低い植物しか得られない高地、乾燥地、極地に反芻動物が進出することを可能にし、彼らを地球上で最も繁栄している分類群にした。」と。ウシ、スイギュウ、ヤギ、ラクダ、キリン、ヤク、リャマ、トナカイ等々。
というわけでM子ちゃんに胃の絵を描いて説明した。が、M子ちゃん曰く「先生のうしさんはかわいい」とだけ言って逃げて行ってしまった。内容はよく分からなかったようだ。残念!

— posted by 越智邦明 at 09:53 am  

2008/12/4

招かれざる客


10月17日に「診察室こぼれ話」を書いたが、もっと書いてくれという応援が多かったので、また書いてみたい。
今回は医療機関にとって有難くない患者の話である。


①受付で「いったいいつまで待たすんぞ~。1時間も待っとるぞ~」と大声。→実際は13分であった。
②診察後の受付精算で「5円しか持っていないので、あとで持ってきます」と。「では必ず今日持ってきて下さい」。その後、何日経っても現れないのでカルテに記された電話番号に電話すると「現在使われておりません」
③朝9時半に受付で「ものすごい急用があるので、一番で診て下さい」と。例外的に一番で診た中年女性。そのあと、待合で12時まで友人と談笑していた。
④40℃の発熱のある男子学生。ひどい扁桃炎で「解熱注射をしておきましょう」と言うと「まじかよ~」と返答。
⑤ものすごい悪臭を放ち座っていたざぶとんに丸いシミが。点滴部屋の周りの人からクレームが。
⑥のどが痛いと言ってきた男子学生。「口を開けて下さい」と言うと、あくびの連続のあと「もういいすよ」と。


不特定多数の訪れる病院ですから、色々な方が来られますが開業した21年前に比べ、人間の「質」が落ちています。「人に迷惑をかけない」という根本の徳育をもう1度、日本人はやらないといけないと思います。 

— posted by 越智邦明 at 01:47 pm  

2008/12/1

男と女(その2)


10月27日にブログに書きましたが好評のため第2弾を書きます。今回、草思社より「女は人生で三度、生まれ変わる」(ローアン・ブリゼンディーン 著、吉田利子 訳)が出ました。オトコにとってオンナは永遠の謎。いくつか紹介しましょう。
何しろ赤ん坊のときから女性はエストロゲン(女性ホルモン)の作用で他人と争わず他人の感情に敏感なのに対して、男性はテストステロン(男性ホルモン)の影響で「そっちへ行ったらダメ」という母親の警告などにも無関心なことが多い。オトコとオンナは、かくも幼いころから違うのである。オンナが1日に使う単語は2万語、オトコはたった7000語という。さらにオンナは思春期、母親期、熟年期でホルモンの作用が激変するため根底から人格が変わったようにさえ見えることがある。特に熟年期にはエストロゲンの分泌が急に下がるため人の世話を焼いたりする気持ちが下がることが多いという。
男と女の違いを脳の変化で説く興味深い一冊です。ぜひ御一読あれ。

— posted by 越智邦明 at 01:44 am  

2008/11/27

ミツバチ


「クレオパトラはハチミツパックをしていた」「ローヤルゼリーを愛飲していた」等、エジプトとミツバチには深い縁がある。ミツバチの誕生はおよそ6600万年前といわれる。人類の誕生が400万年前だから、どれだけ地上に生き永らえているかがわかる。スペインのアラニア洞窟の壁画(1万年前)に蜂の巣から蜜を採る女性の姿が描かれている。エジプトでも紀元前600年の壁画に養蜂の様子が描かれている。エジプトの古王国時代からハチミツは神々への供物、儀式で欠かせない物として珍重され養蜂が行われるようになった。そして養蜂が盛んになると王家はこれに課税して大量のハチミツが税として徴収された。
さて「ハチミツ」は、かのシーボルトの処方せんにもhoneyとして登場する。効用は次のようである。①優れたエネルギー源 ②強い殺菌力 ③腸内のビフィズス菌を増やす ④アルコールの分解を促進する。その他医療パピルスには皮膚病や傷の手当にハチミツを使うことが書かれている。
ミツバチは太陽神ラーの涙が変化(へんげ)したものであり、そのミツバチが集めたハチミツは神からの贈り物であったと信じられているそうです。ハチミツを見直してみませんか?

— posted by 越智邦明 at 03:34 pm  

2008/11/25

色彩パワー


引き続いて色彩パワーのお話を2つ。

1.黒
黒は頑固とか抑圧の意味を持つ一方、忍耐力を高め我慢強さをもたらしてくれる色です。
我慢しづらい時こそ「忍耐強く目標を達成させる」黒の効果を利用して下さい。
ただし、黒をあまり使いすぎると否定的な気持ちが強まり心が閉鎖的になるので、インテリアや服装といった面積の多いものではなくてカバンや手帳、ブックカバーなどの小物や文具に取り入れて下さい。

2.ワインレッド
ワインレッドは今年の流行色のひとつですが、創造性を豊かにしてくれる色です。気高い精神性を表し、太古の昔には高貴な色として貴ばれていました。個性や独創性を導いてくれる性質もあります。こうした特性を取り入れ、何かアイデアが必要なとき、筆記具や名刺入れなどの小物に使うといいです。
ワインレッドはお助けパワーがあります。

— posted by 越智邦明 at 04:41 pm  

2008/11/21

白菊会


白菊会は各大学の医学部などに事務局がある篤志献体協会に属する組織である。「自分の死後、遺体を医学・歯学の教育と研究のために役立てたい」と志した人が生前から献体したい大学に名前を登録しておき亡くなられた時、遺体を大学に提供するのである。現在その登録者数は20万人を超えている。当院にも数名存在する。私も学生時代解剖をさせていただいたおかげで、現在の解剖知識が頭にたたきこまれている。感謝のひと言である。
さて解剖は明和8年、杉田玄白らが「ターヘル・アナトミア」を携えて腑分けを観察したのだが、それ以後、明治に入っても解剖の重要性は認識はされていたものの解剖の機会は得られなかった。解剖第一号は遊女である美幾女(みき)であった。明治2年であった。当時、医学校は死を目前にしたみきに、「厚く弔うから」と説得した。遊女は死ぬと投込寺の穴に遺棄されるのが習いであって、その霊はむなしくさ迷うと言われていた。医師は解剖後、丁重に葬儀をとりおこない戒名もつけて墓を建ててやると説き、ついに、みきは医師の説得を受け容れたのである。
美幾女の話は渡辺淳一の「白き旅立ち」にも見事に物語れている。「解剖」にもこんな歴史があったのである。

— posted by 越智邦明 at 12:47 pm  

2008/11/19

麻生首相


非常に困った人である。当コラムではあまり政治の話をしてこなかったが、この人はタチが悪い。最近のあだ名がKY首相。「空気」だけでなく「漢字」(K)も「読めない」(Y)からついたそうだ。「踏襲」を「フシュウ」、「未曾有」を「ミゾユウ」、「頻繁」を「ハンザツ」。現役学生からも「あり得ない」「マンガじゃなくて本を読んだ方がいい」と失笑を買っている。当初はほほえましい趣味だと思っていたマンガ読みもここまで来ると笑って済ませられない。知識のなさ以上に人望、経験、判断力どれをとっても首相の「器」じゃない。
給付金問題のドタドタも無策ぶりをさらけ出した。今や自民党には首相に反論を翻すエネルギーも人材も残っていないようだ。
迫る大不況を目前にして、この人に経済のカジ取りが出来るのかどうか?日本はどうなるのか?
本当に不安な毎日を送っています。

— posted by 越智邦明 at 09:59 am  

2008/11/17

食医


高齢化社会を迎え、食べ物をスムーズに飲み込む、いわゆる「嚥下」に関心が高まっている。嚥下機能が低下したため自力で食べることが出来ず、経管栄養で生きながらえている人が当院でも数名入院している。嚥下がうまく行かず誤嚥をすると、いわゆる誤嚥性肺炎になる危険性が高まる。日本人の死因別死亡率の4位が肺炎(8.5%)であり、この半分以上(4~5%)は誤嚥によるものと考えられている。肺炎のうち65才以上が占める割合が95%と高値を示し、90才以上になると肺炎が死因の1位になります。誤嚥性肺炎の予防として口腔ケアが重要になっています。不潔な唾液には細菌が有意に多く口腔ケアをして口の中を清潔にすることが肺炎予防につながるため当院でも積極的に行っています。
昔の中国には外科医と内科医と獣医、そして「食医」という4種の医師がいたそうです。食医は食べることを全般に診る医師で他の3つの医師より重要とされていたそうです。
いつまでも「自力で」食べ物を摂取したいものです。

— posted by 越智邦明 at 04:15 pm  

2008/11/14

夜寝る子は育つ


日本は世界で唯一、週の労働時間が50時間を超える労働者の割合が25%を超える残業立国である。総務省は日本人の睡眠不足の減少を「寝不足で懸命に働く日本人」とまとめた。しかし2004年の世界銀行の調べでは日本の労働生産性は先進7ヵ国で最下位、OECDの平均をも下回っている。日本人は睡眠時間を削って残業をし、きわめて効率の悪い仕事をし、子どもたちと接する時間を放棄している。
さて入眠に一致する成長ホルモン分泌は古来の格言「寝る子は育つ」の根拠としてよく知られているが、実際は夜更かしや徹夜をしても、1日の成長ホルモン分泌総量は影響を受けないことが分かってきた。では寝ないとどうなるのか?近年、夜の光がヒトに与える悪影響が次の4つにまとめられた。①時差ぼけ・・・食欲や意欲、作業効率の低下をもたらす。②明るい夜・・・生体時計の機能停止をもたらす。③睡眠不足・・・睡眠時間が4~6時間に減ると耐糖能の低下、交感神経の緊張の亢進、肥満をもたらす。④運動不足・・・肥満、アルツハイマー病、慢性疲労症候群をもたらす。
朝の光を浴び昼間に活動し、夜の光を浴びないことでヒトはその潜在能力を最大限に活用できるようプログラムされています。生体時計を考慮した生き方をしましょう。

— posted by 越智邦明 at 04:57 pm  

2008/11/11

診察室(その2)


65才のその男性はある夜、緊急で診てくれ、とその家人から言われてやってきた。腹が苦しいと言う。エコーを行った所、肝臓に癌が多発し大きいものは直径4cmある。近医でC型肝炎と言われて3年間注射していたと言う。OPEの適応はないが入院していただいた。すでに肝硬変になっていた。
食道静脈瘤の破裂、腹水、黄疸、肝性脳症、肝癌破裂等教科書的な合併症の可能性を家人に説明しておいた。それから10日後。回診の後、突然、意識がなくなり心停止した。駆けつけた所、これ以上は膨らまないというぐらい、おなかが膨隆していた。肝癌の破裂による失血死。私も遭遇したのは初めてである。穿刺排液した血液の量は6ℓにも及んだ。ぺちゃんこになったおなかを見て、改めて癌は恐いと思った。そう言えば俳優の緒方拳さんが同じく肝臓癌の破裂で急死したことも記憶に新しい。

— posted by 越智邦明 at 04:49 pm  

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