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2011/10/27

逆流性食道炎


何度も取り上げてきたこの病気。胃酸が食道に逆流して食道に炎症を起こし、胸焼けやゲップ、膨満感等の症状を起こす。統計ではこの20年で4倍に増えている。バリウムの時代から胃カメラの時代になってより早期に発見される。むしろバリウムでは分からないと言った方が当っている。
逆流性食道炎に処方する薬は、胃酸の分泌を強く抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)が第一選択です。この薬で胸焼けなどの症状が十分良くなる方は約7割。しかしあとの3割は良くならないことが分かってきた。
これまでPPIは「オメプラゾール」「ランソプラゾール」「ラベプラゾール」の3剤であったが、これに加えて今年7月に「エソメプラゾール」が新たに承認された。ある酵素の活性が高い方はPPIが効きにくいのですが、エソメプラゾールは従来の薬よりよく効く。胃酸分泌抑制テストで、オメプラゾールが43%に対しエソメプラゾール56%と高い。
私も早速、従来品が今1歩あるいは効かない方3名にエソメプラゾールを処方してみた。そのうち、2人は著効、1人は改善を認めた。かなりの実力があると思われる。
最後にもうひとつ大事なのは食事の改善である。肉を食べると胃酸の分泌が促進されるが魚は抑えられます。食事を魚中心に変えることも一つの手です。
とに角、薬の世界は日進月歩。常により良い薬を提供したいと思います。

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— posted by 越智邦明 at 05:20 pm  

2011/10/24

Kさんの死


Kさん(83才女性)とは長い付き合いであった。
御近所でもあり、よく犬の散歩で出会った。愛犬のコリー犬を連れていつも元気に歩いていた。所が平成19年頃からパーキンソン病がひどくなり当院に入院となった。やがて認知も進み、食事摂取が不能となった。当時、中心静脈栄養を行っていた。こういった方の場合、気をつけなければならないのが寝たきり肺炎である。ある時、ひどい肺炎となり、挿管をして一命をとりとめたが、長期化が予想された。そこで娘さんに「声は出なくなるが、気管切開をしたら肺炎から逃げられる」と説明をした。娘さんは直ちに「お願いします。長生きさせて下さい」と返答があった。そして気管切開を行い、栄養は鼻腔栄養を施し、長い長い入院生活が始まった。
この4年半の間に色々な事があった。重度の褥創に対して手術を行った。昨年は重症肺炎やMRSA肺炎でもうダメかと宣告した時に施したステロイドパルス療法が奏効し生き返った。何度も三途の川に足を踏み入れたKさん。よくがんばったが、18日の深夜、あばれることなくスーと息を引き取った。
何の処置も必要なかった。家族には「大往生でした」と説明をし、葬儀の車が来る間、この4年半の色々な話をした。認知がありながらも孫の結婚式の写真には特に笑みを浮かべていたこと等、思い出は尽きない。
御冥福をお祈りします。

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— posted by 越智邦明 at 09:08 am  

2011/10/22

ゆうちゃん2才へ


ゆうちゃんは10月18日で2才になりました。
私が滋賀の長濱オルゴール堂で買っておいたプレゼントにろうそくを灯し、フーをしています。
また3才へ向けてすくすくと育って欲しいものです。

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— posted by 越智邦明 at 09:24 am  

2011/10/20

TPP


TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)についての議論が急速に高まっている。めったに政治の話はブログでしない私だが、TPPは私の属する全国保険医協会も反対の立場なので論じたい。色々な評論家の本を読んだが、日本が性急にTPPに参加するメリットはひとつもないようだ。今以上に米国の植民地化が進むだろうと言われている。
代表的なのが農業である。TPPに参加すれば世界最大の農産物輸出国である米・豪から関税ゼロの激安農産物が大量に入ってくる。農水省の試算では、自給率は現在の40%から14%へ落ちこみ、340万人が仕事を失うという。生産額は4兆1000億円も減る計算である。マスコミは安い農産物が出回れば消費者も喜ぶというが、遺伝子組み換え品などが当たり前に流通し、そうでない国産品は高くなり食糧が外国に支配される構図となる。
前例を見てみよう。米・カナダと90年代にNAFTA(北米自由貿易協定)を結んだメキシコはどうなったか?米国から大豆やトウモロコシ、牛肉などの輸入が急増。生産、販売など全ての農業分野で多国籍企業の支配が強まったと言う。
TPPは加盟国の国民がサービスを提供する際の入国審査の簡素化も掲げている。ベトナムやペルーなどから賃金の安い労働者が輸入されれば、まっ先にクビを切られるのは高コストの日本人。失業率は確実にアップする。
さて私の関係する医療界への影響について述べてみます。TPPに参加することで、日本が世界に誇るべき「いつでも どこでも 安心して」医療が受けられる国民皆保険が崩解しかねません。海外から「経営資源」や「人」が国内の医療分野に参入し、我が国の医療に市場原理が持ち込まれ、外国資本が経営に参画してきます。そして、お金が払えないと満足な医療が受けられなくなってしまう可能性が出てきます。そして、混合診療の全面解禁が狙われます。次にTPPは「人の移動の自由化」も求めてきますので、日本から医師がいなくなり、ますます医師不足になるかもしれません。日本医師会も「TPPに参加すると国民皆保険が『非関税障壁』とされかねない」として大いに危惧しています。
医師として、いのちとくらしを脅かしかねないTPP参加に断固反対をします。
来年の大統領選で再選をかけるオバマにプレッシャーをかけられている野田首相。真剣に国民のことを考えた方が良いと思うが。

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— posted by 越智邦明 at 04:04 pm  

2011/10/17

ゆうちゃんと温泉


以前に、ゆうちゃんはなかなかお風呂に入らないとブログで嘆いたことがある。ところが最近は「オンセン、オンセン」とすっかり温泉にはまっている。
10月8日~10日とゆうちゃんがやってきた。パパが東京へ学会出張したためだ。そこで誕生日前のごほうびとして、道後は大和屋に宿泊した。浴衣がとても似合うのでびっくりした。ちょこんと座ってお米をいただく姿はほほえましい。ゆうちゃん用の特別料理も堪能したようだ。近場であるが、道後温泉本館近辺を散策して、とても有意義な時間が持てた。夜、寝る前におもちゃで色々な料理を作って私に「どうぞ」と渡してくれた。どうやら料理は興味があるらしい。来るたびに色々な成長を見せてくれる、ゆうちゃん。
明日18日は2才の誕生日である。おめでとうー。

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— posted by 越智邦明 at 04:17 pm  

2011/10/13

クモの糸


「クモの巣が張った」等とクモにはあまりいい印象はない。嫌われ者で日陰の存在のクモ。1995年に毒グモのセアカゴケグモが大阪に上陸してから、クモ嫌いはますます加速されていた。ところが2002年に「スパイダーマン」が上映されてから、クモは表舞台に登場してきた。今回はクモ博士の大﨑茂芳さん(奈良県立医大教授)の論文から引用させていただいて、クモの糸の神秘に迫ろう。
クモの糸と言えば浮かぶのは、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」。原作はアメリカのポール・ケーラスの「カルマ」の中の“The Spider Web”であり、鈴木大拙によって翻訳され芥川が脚色した。小説の中で、お釈迦様が池から地獄に垂らしたクモの糸に伝って罪人のカンダタが登ろうとするシーンがある。最後は切れてしまうが、みなさんはきっとクモの糸は案外強いぞという印象をもたれていると思います。
さてここからが大﨑さんの出番です。大﨑さんの夢は「クモの糸に人間がぶら下がれるか?」でした。2004年に所ジョージのTV番組「所さんの目がテン!」に2回出て、クモの糸にぶら下がる実験をして2回とも失敗。ここからが氏のすごい所です。改良に改良を重ね、2006年に65㎏の氏が、クモの糸につるしたハンモックに乗って世界をあっと言わせたのでした。
さて大﨑さんの実験の途中で牽引糸の強さはクモの重さの2倍であることをつきとめた。だからクモは糸にぶら下がれる。クモの糸は電子顕微鏡で見ると円柱状の細い2本のフィラメントからなっている。たとえ1本のフィラメントが切れても、残りの1本でクモを支えることができるのである。いわゆる命綱である。ここからクモの命綱に関する“2”の安全則が得られ、1996年イギリスの「nature」に掲載された。
“2”の安全則は、危機管理を人間に教えてくれる。危機の分散観点から例えば、社長と会長は出張に際し、同じ飛行機に乗ってはいけない。防犯のために玄関ドアには2つの鍵をつけ、火災などには2カ所の出口を作る。医療面での事故を避けるには、最低2人が操作を十分に確認する。道路にしても震災を考えて、別の所にもう1本のルートを設ける等、色々なことを教えてくれる。人類の400万年と比べて桁違いに長い4億年を生き延びたクモには危機管理術が備わっているのである。
最後に大﨑さんはクモの糸でバイオリンを奏でようと日々努力をされているそうです。
下図は、氏の論文から引用しました。巣の中心部から外へ放射状に伸びている「縦糸」は巣の骨格を作り力学的にかなり強い。粘着球が付いている渦巻き状の「横糸」は巣に飛来した獲物を捕らえるのに適している。巣を取り囲んでいる「枠糸」や枠糸と木をつなぐ「繋留糸」がある。「牽引糸」はクモが危険に遭遇した時にすばやく逃げるための命綱としての役割を果たしている。

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— posted by 越智邦明 at 03:02 pm  

2011/10/11

口呼吸


ポカンと口を開けたままの人、よく見かけます。この人は間違いなく口呼吸です。
「口呼吸」研究の第一人者と言えば、西原研究所所長の西原克成氏。免疫学のエキスパートでもある。日本人の50%以上、子供の80%以上が口呼吸と言われていますが、西原先生は口呼吸は免疫学的にもやめた方がいいと警告している。
口はもともと食べ物の通り道で消化器の入り口。鼻は呼吸器官として空気中の化学物質やほこりなどの異物の侵入を、鼻毛や鼻汁によって防ぎ、吸い込んだ空気を浄化したり加湿する役割を持つ。寝ても覚めても鼻呼吸が正しいと言う。
子供の頃から口呼吸を続けていると、アトピー性皮膚炎・花粉症・ぜんそくなどアレルギー性疾患にかかりやすくなる。その他リウマチ・膠原病・糖尿病ひいてはがん・心臓病・脳卒中をはじめとする慢性病にかかるリスクが高まるそうです。
ではどうしたら口呼吸をやめられるのか。まず鼻での呼吸を意識すること。口が半開きになっていないか常にチェックする。ガムをいつもかんでいるのと反対側でかむことも効果的と言う。最後に、免疫力をつけるためにも暑くても42度前後の白湯を飲むことを勧めています。しょうが湯等が飲みやすいと思います。

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— posted by 越智邦明 at 05:53 pm  

2011/10/8

松山まつり


古町大神輿は四角さん、八角さんの鉢合わせで知られている。
四角さんは町方、八角さんは村方・町人・お百姓さんの代表。今は都会化して町方、村方の分かれがあまりなくなりました。
鉢合わせは、四角さんが勝つと「商売繁盛」、八角さんが勝つと「豊年万作」。
さて10月7日、いつものように正午過ぎ、四角さんが病院到着。例外ではあるが昨年に続き私を神輿に上げてくれた。かき手には何人か当院の患者さんも居て、声援を送ってくれた。登っていると何とも言えぬ爽快感がある。
写メールを見たKさんが次の句を送ってくれました。

 秋祭り 天まで届く 笑顔かな

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— posted by 越智邦明 at 04:30 pm  

2011/10/7

くに〜ず新聞


くに~ず新聞Link  2011年 秋号 Vol.37 を掲載しました。
 
左のメニューの くに~ず新聞 をクリックするか、ここLink をクリックして御覧ください。

— posted by 管理人 at 01:00 am   commentComment [1]  pingTrackBack [0]

2011/10/6

間質性膀胱炎


外来で膀胱炎を診る機会はすごく多い。
排尿のおわりに痛むのが膀胱炎。
ところが膀胱に尿がたまると痛いのが、今回の間質性膀胱炎。いわゆる蓄尿痛である。たまると痛いので何回も排泄するため頻尿になる。間質性膀胱炎は粘膜下層を中心に起こる炎症で、粘膜層がはがれ落ちて再生されず、膀胱にたまった尿が粘膜下層に染み込むため炎症が起こると考えられている。
私の患者さんで昼だけで20回以上もトイレに行く人がいる。1回尿量はふつうより少ないです。「頻尿」は前立腺肥大にも見られますが「尿がすぐ出ない」「出始めてから時間がかかる」等で、すぐ鑑別できます。
蓄尿時に下腹部や会陰部が痛いといった症状のときは是非一度、専門医を受診して下さい。
尚、膀胱炎は女性が圧倒的ですが間質性膀胱炎は男性にも見られます。

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— posted by 越智邦明 at 03:06 pm  

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