では糖尿病による下肢(壊疽による)切断はどれくらいと思いますか。なんと世界で30秒に1回といわれています。
当院の約200人の患者さんに、いつも口すっぱく合併症の話をします。開業以来、26年間に数例の方は下肢切断→義足となっています。下肢にならずとも、足指切断は実に多い。あまりにも多くの方が高血糖の持続の真の恐さを知らない。最近いい薬(DPPⅣ製剤)が出たから大丈夫とタカをくくっている人も多い。とんでもない。DPPⅣでは切断は防げません。
さて糖尿病の下肢切断は壊死からスタートします。糖尿病は高血糖になると末梢神経がやられて痛みを感じなくなり、ささいな傷口(例えば水虫)から細菌が侵入し化膿して皮下組織や骨まで腐らせてしまうのです。更に放置すると敗血症になって死に至ります。それを防ぐために壊疽を起こした部分を切除、つまり切断するわけです。
神経障害は最初に起きる合併症ですから、糖尿病の人はいつ下肢切断があってもおかしくないのです。最後は医者や最新のクスリが何とかしてくれるだろうと放置しておくと、とんでもないことになります。
注意して下さい。
(追伸)
憲法学者の樋口陽一さんが書いていることばが印象的である。
「当たり前のことを誰も言わなくなったときに、そのことを語り続けることもモラルの試金石だ」。今、日本はオリンピック決定でマスコミをはじめ国民も浮かれている。そうこうしているうちに消費税8%もほぼ決定され、生活保護支給費の減額もスタートした。どさくさに紛れて国民不在の法律が次々と成立する可能性がある。微力ながら是々非々の問題提起をして行きたいと思う。