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2013/8/12

大動脈弁狭窄症(AS)


ASは、高齢化に伴い増えている。今回、私の患者で98才のWさん(女性)。定期往診を行っていた。すたすた歩けない以外は、痴呆もなく歯も丈夫で楽しい会話が出来ていた。このWさんが先日、呼吸困難で緊急入院した。酸素吸入を直ちに行い、重症のため公立病院へ直ちに搬送した。一命を取りとめて当院に生還した。診断名は重症のASであった。ASは高齢化に伴い急増している。大動脈弁は心ぞうの大動脈への出口にある弁で、酸素を含む血液を全身へ送り出す役割を担っている。しかし動脈硬化で、この弁がイカれるとスムーズに開かなくなり、1日に10万回の収縮を続ける心筋に負担がかかり、やがて耐えられなくなり胸痛や失神更には心不全で息苦しくなる。家の階段も上れず寝たきりになる。何もしなければ50%の方が1年以内に死亡すると言われる。治療はオーソドックスには開心術で、大動脈弁置換術である。しかし80才を越えると術死が5~10%と成績が悪くなる。
さて今日は胸を切らずにカテーテル弁を植え込む画期的な治療法、「経カテーテル大動脈弁植え込み術」(TAVI=タビ)について説明します。太ももの付け根の血管を外科的に開き、鉛筆ほどの太さに折りたたんだ生体弁をカテーテルを使い、心ぞうの中まで運び硬くなった大動脈弁の位置に植え込みます。すると酸素十分の血液が全身に送られ症状が消えます。
TAVIは高齢者や併発疾患がある患者さんにと開発されました。今年6月、TAVIに用いる生体弁の製造販売が日本で承認されました。
TAVI治療を受けると、術後3~4日目から歩行練習、5日目くらいから自転車こぎなどのリハビリを開始するそうです。
10月から以下の3施設を中心に保険適用での治療が始まります。医学の進歩はすごいですね。
  ・榊原記念病院(東京)
  ・大阪大学病院(大阪)
  ・倉敷中央病院(岡山)

さて、前述のWさん。手術は嫌だとの事ですが、お薬で元気になっています。(本人の了解の上での写真です。)
長生きして100才を目指しています。

IMG4782

(追伸)
次回は8月19日(月)です。

— posted by 越智邦明 at 04:48 pm  

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