食中毒や感染性腸炎で何故、下痢を起こすのでしょう?私がいつも患者さんに説明する手順を紹介します。菌が産生した毒素を体としては必死に上に下に出そうと防衛反応を起こしているのです。上には嘔吐、下には下痢といった形で。
その防衛反応を無理に止めるとますます毒素が体内に貯まって具合が悪くなります。だから安易な下痢止めは絶対にダメですよ、と。
結論的にはその毒素や細菌がなくなれば下痢は治まります。その間は点滴をしたり、必要な場合は抗菌剤を使って治すのが基本中の基本です。時々、下痢で体力が消耗しているからと言って栄養のあるものをたくさん食べようとする方もいますが、これも良くありません。腸の中の細菌に栄養を与えるようなものですし、場合によっては嘔吐します。
余談ですが、下痢止めとして昔からある「正露丸」。旧名は「征露丸」と言い、その名の通り日露戦争の時、衛生面からもロシアを征服するという意味合いが込められています。
〈余談〉
正露丸は強力な殺菌力を持つクレオソートが成分で、作用は「神経毒」であり腸の神経をまひさせて腸の動きを止め下痢をさせないことで、ロシアの寒さからの下痢対策をした訳です。戦後、ロシアを倒した万能薬として多くのメーカーが競い合うように製造された日本独自の国民薬です。
私自身は内服の経験がないのでノーコメントですが、年配の方は今でも「正露丸飲んでも治らんけん、来た」と人気があるようです。