現在でも日本酒生産量の3割近くを産出する最大の生産地が兵庫県灘地方である。下表で示す通り、上位10社の内の5社が灘地方に所在する。私が愛光受験に明け暮れていた頃、先生が「灘校は酒屋のお金持ちの子弟を教育するために出来たんや」と教えてくれたことを思い出します。何故、灘地方が最大なのか?それは六甲山の急流を利用した精米技術により淡麗な酒が造れたこと、良質な酒米の生産地を有したこと、六甲おろしという寒風の影響で酒造りに適した環境であったこと、大きな港を持ち敏速に大量に江戸へ運搬できたことなどが挙げられる。
さて歴史をみると、明治時代に政府は富国強兵策を進める中、酒税の徴収を強化する。日清、日露戦争時には国家歳入の30%を酒税が占めており「日清、日露は酒で勝て」というフレーズが誕生しました。
さて出雲地方に佐香(さか)神社という酒の神を祭った神社がある。10月10日の出雲大社に全国から集った八百万の神の労をねぎらうために酒を醸し振る舞ったといわれており、ここが日本酒発祥の地といわれるゆえんとなる。また奈良の三輪山にある大神(おおかみ)神社も酒神を祭る神社として知られている。三輪山の杉の葉で作った球体は「酒林」(さかばやし)と呼ばれ、今でも蔵元や酒屋の軒先に飾られていることが多い。
その昔、日本酒は米の豊作を祈願するために神々や天皇に捧げられる「聖なる液体」でありました。
明日は是非、日本酒を1杯、たしなんで下さい。