今回、東京都健康長寿医療センターの新開省二先生の論文から、その現状と回答を記したい。
新開先生は長期追跡研究の指標として、体格指数(BMI)、血清アルブミン、総コレステロール、血中ヘモグロビンの4項目を使った。BMIはエネルギーバランス、アルブミンは蛋白質、総コレステロールは脂質、ヘモグロビンは鉄・蛋白質の摂取と関連が深い指標である。
結論であるが、下の表のように低栄養の人は余命が短いことが分かった。がんや心血管病において、特に心血管病においては高栄養群の死亡率が5.1%であったのに対し、低栄養群のそれは12.9%と差が大きかった。栄養状態が悪いことは余命を短くするが、その主な原因は心血管病による死亡が増えることにあるとも言い換えることができる。
最近のマスコミ報道では「粗食」「少食」が、あたかも長寿につながるような論調のものが多いが、高齢者の栄養代謝の特徴を踏まえると、一般高齢者が粗食やカロリー制限に励むと低栄養になることは目に見えている。平均的な高齢者にとって、粗食やカロリー制限は「百害あって一利なし」と結んでありました。