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越智クリニック
 
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2011/6/30

アレルギー


最近注目されている「遅発性食物アレルギー」。聞き慣れない名前なので説明します。
アレルギーは、食べて短時間に反応する「即時型」と今回の「遅発性」があります。この数年、蕁麻疹等で当院を訪れる人に、原因とくに直前の食事を尋ねても全く思い当たることがないという人が増えています。従来のIgE検査は「即時型」を調べるので、これで「異常なし」と出ると「よく分からない」となります。ところで「遅発性」はこの最近注目される病態で、欧米では食べて2~3時間から半日以上経ってから出る食物アレルギーの存在が指摘されるようになりました。
「遅発性」に関係している抗体はIgEでなくてIgGです。IgG検査で遅発性食物アレルギー反応を起こす食品が分かれば、それを避けるだけでアレルギー反応が起こりにくくなります。「遅発性」の代表的な症状は蕁麻疹や湿疹だが、その他に過敏性腸症候群、頭痛、鼻炎、喘息などもあるのではといわれています。専門家に聞くと、半年ほど食べる量や頻度を減らせばひどいアレルギー症状が出にくくなり、食べられるようになると言います。また子供のアレルギーが気になる妊婦や妊娠前の女性も受けておくと良いです。
IgEは胎盤に移行しないが、IgGは胎盤移行性があり母親から胎児の体内へ渡ります。
もし母親に特定の食品のアレルギーがあっても妊娠期間中に避けるなどすれば、子供のアレルギーを回避できる可能性があります。
ただひとつ問題は、IgG検査は健康保険が適用されないのと、愛媛ではまだ試薬がないようです。

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(追伸)
オンプ君の息子、ケン君が我が家にやってきました。
宇和島のゆうちゃんの所へ行く前のならし運転です。今、2匹の親子の散歩に大変です。ケン君は父親にじゃれ合ってオンプ君は迷惑気味です。母親ほどはかまってくれないのかも。でも元気なケン君の笑顔を見ると勇気が出ます。(前がケン)

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— posted by 越智邦明 at 04:03 pm  

2011/6/27

種子骨炎


ダンスの練習に通いつめているOLのBさん。右足の裏から足先まで痛みが走って来院。これは「種子骨炎」です。
種子骨とは足の親指の付け根にある、小豆くらいの大きさの骨です。走ったり跳んだりする時の蹴り足の衝撃を吸収してくれる役割があります。ここの炎症はダンサーやジョギングをしている人、スポーツでは跳躍種目やバスケットボールの他、空手や剣道のように踏み込みの多い競技にも多いです。更にハイヒールをよく履く人に多発します。
レントゲンで骨折がなければ可能性が大です。治療は靴の内側にダンサーパットと呼ばれる特殊なパッドを入れ、種子骨に体重がかからないようにする。その他、非ステロイド系抗炎症薬の経口投与やステロイドの注射も有効です。
でも何と言っても原因の除去、休憩、理学療法が有効であるのは言うまでもありません。

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— posted by 越智邦明 at 01:59 pm  

2011/6/23


開業してポピュラーな訴えのひとつに「咳」がある。「咳が1カ月も続く」「夜、咳で眠れない」「明日スピーチをするので、すぐに止めて欲しい」等である。
さて41才の女性Aさんもそんな1人であった。1カ月前に来院し、「いつもの咳止めを下さい」と診察を拒否し、水薬を持って帰った。その後、2回程薬を取りに来たが、咳が止まらず、終に観念して診察となった。1カ月も続く咳の場合に注意するのは「マイコプラズマ肺炎」「咳喘息」と何と言っても「肺癌」である。(まれに結核もあります)。
すぐにレントゲンを撮ってみた。すると両肺に多発性小結節を認め、わずかであるが胸水も貯まっている。タバコ歴を聞くと、1日40本で20年吸っている。直ちに、専門病院にCTを撮りに行かせた。返事は肺癌。かなり厳しいと言われた。肺癌については以前(2010年10月7日)に書いたので詳しくはそちらを再度見て下さい。
皆様も是非、注意を払って下さい。

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— posted by 越智邦明 at 11:36 am  

2011/6/20

検診


4月~5月の会社検診が終わり、結果を持って続々と医院を訪れるのが6月です。一番多いのは「脂質異常症」、次に「高血圧」、「境界型糖尿病」と続きます。どれもさしたる症状がないので放置されがちですが、共通して言えるのは、脳・心血管合併症即ち、脳梗塞、心筋梗塞の重要な原因となります。コレステロールも今は総コレステロール値ではなくLDL、HDLで評価するようになったのは、かなりの方が御存知です。共通して指導するのは減量、節酒、運動、野菜の摂取、禁煙です。これらが全て実行されれば、かなりの方が「薬要らず」になります。
さて検診は小学校も当然あります。下の写真は先日、私が学校医をしている小学校の保健室での1コマです。小学生も喘息、アトピー等のアレルギー疾患が環境汚染と相まって増えています。
みなさん検診の結果を是非活かして下さい。

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— posted by 越智邦明 at 04:28 pm  

2011/6/16

15年ぶりの再会


6月11日(土)に、横浜の伊藤御夫婦に15年ぶりに会った。奥様は、くに~ず新聞2003年冬号(Vol 9)に「回復力を下さった先生」で投稿してくれているが、簡単に説明すると30年前に、私が母校東医歯大に勤めていた頃に、胆石の手術の執刀を行なった。医師と患者の関係であるが、ウマが合ったのかそれ以来、賀状は欠かさない。今から15年前に私の家族全員と御夫婦で東京は恵比寿のウェステンホテルの22F、鉄板焼「恵比寿」の一室を貸り切って食事会をした。次男は小学2年の坊主で御主人と腕相撲をして勝った写真が残っている(勝たせてもらった)。
月日は流れ一昨年、御主人が血管系の大病をした。数ヶ月の手術を含めた療養が続き、何度も奥様からコメントを求められた。その甲斐あって、今年になってほぼ全快に近い回復をした。それを聞いた私は、年初から15年ぶりに全く同じウェステンホテルのこれまた同じく恵比寿の一室を貸りて再会を計画した。この半年間、両家のみんなは、毎日6月11日を楽しみにした。唯一、違うのは新しいメンバーとして、ゆうちゃんとそのパパが加わったことだ。
長男は病院に急変患者が居なくて参加出来た。隣同士で積もる話を私は御主人と、家内は奥様とした。特に御主人が現役でマレーシアはペナンヘ海外出張した今から16年前に、是非にと呼ばれてやはり家族で遊びに行った話も懐かしく出た。バナナボートも楽しかったし、ドリアンに驚いたのも懐かしい。ドリアンは特有のにおいで好き嫌いがあるが、果物の王と言われている。お互いに年を取ったが、元気なうちに、しまなみ街道、道後温泉に来るようにと約束をして別れた。
ゆうちゃんも将来、この写真を見て色んな事を感じ取ってくれると思う。皆様もー生に1人か2人はこのような出会いの仲間が居ると思う。衆生の縁を大事にしたい。
翌日は恵比寿ガーデンプレイスで散策をして、大喜びのゆうちゃんでした。

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— posted by 越智邦明 at 05:31 pm  

2011/6/13

生卵


ユッケ騒動で忘れ去られているのが生卵。
以前、2009年6月22日のブログで詳しく卵の効能については書きました。さて日本人は生で食べる卵ですが、欧米や中国ではその習慣はありません。欧米の学者曰く、「欧米では生の卵は衛生上悪いと考えられているので、まず口にすることはありません。まれに80度のラム酒やブランデーに入れたり、“エッグノッグ”と言って牛乳ベースの飲み物にクリームや砂糖といっしょに溶き卵を入れて飲むことがありますが、お祭りなどの日に限られる」との事。
ではいつから日本人は卵を生で食べるようになったのか?食文化研究家の永山久夫氏によると江戸時代だそうです。同じ頃に白米が登場したのも大きい。甘味のある生卵は白米との相性がよく、職人が多かった江戸の人たちは塩気のあるしょう油をぶっかけて食べたそうです。しかしこの背景には、日本人の清潔好きな性格があったからこそ“生もの文化”が生まれたと言えます。まな板もきちんと洗うからこそ、刺し身など生ものを扱う日本料理も口にできたのです。
江戸時代に流行った川柳をひとつ。
「生たまご しょうゆの雲に きみの月」
最後に寄生虫学の教授が言ってました。「一応卵は水で洗ってから割るように」と。雑菌付着の恐れがあるそうです。

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— posted by 越智邦明 at 04:04 pm  

2011/6/9

2万5千年の荒野


ゴルゴファンなら知っている、1984年7月に描かれた「2万5千年の荒野」。
何故取り上げたかと言うと、この作品は当時、既に原発問題を取り上げた社会派の問題作としてきわめて評価が高く「THEゴルゴ学」(小学館)の読者アンケートで第2位となった人気作品である。
話はロサンゼルスから北方80kmのヤーマス原子力発電所(G&E社)が舞台。作業中にクレーンが加熱器の逃がし弁に当たり、それを主人公バリー技師が所長に報告する。
「はずしてレントゲンチェックをしましょう」と。それに対して所長は「安全弁が5つもあり、しかもE・C・C・S(緊急冷却装置)があるじゃないか。心配するな。」と却下する。
しかも「ロス五輪開会まであと2週間なので余計なことはするな。技術屋が完璧を目指す必要はない」と言い放った。それから事故が起こる。復水ポンプに異常が発生。
バリーは会長に2日後の通常運転の延期を申し出る。しかし会長はバリーを出入り禁止とする。
さて政府要人を招いての通常運転開始の日。出力80%まで行った所で突然の停電。しかし自家発電が入らない。圧力、温度共急上昇。とたんに構内にいた見学の一般人が一斉に逃げ出した。
緊急冷却装置も始動スイッチを入れるが作動しない。ここは逃がし弁だと作動するも反応がない。
「原子炉建物内に放射能」と作業員が叫ぶ。
排気口から外部に放射能が漏れ出した。風の計算をすると、3時間でロスに到達する。
「スリーマイルの時でさえ逃がし弁は開いていたぞ」とパニックに陥る。専門家が集まる。プルトニウム239の毒性について語られ、その半減期は「2万5千年」にみんな腰を抜かす。
最後はバリー達が決死隊となり、ゴルゴ13の手を借りて、サージ管を狙撃することに成功し、冷却水が入り成功となる。しかし主人公バリーは高い放射能を浴びて死んでしまう。
さて、ほとんどの用語が、毎日TVで耳にしている福島原発と一緒で驚いた。事故収束へ向けてのパニックは今と一緒だ。福島では多くの“バリー”が今なお命がけで作業をしている。さて原発と政治利権の絡み、原発メーカーと原発規制組織が表裏一体であることの弊害、エネルギー政策の在り方など、今日もなお解決されていない問題が本作では提示されている。この本の発表後2年経った1986年4月にチェルノブイリ原発事故が発生した。作者、さいとうたかお氏の先見の明に脱帽である。
(写真左はチェルノブイリ原子力発電所)

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— posted by 越智邦明 at 03:27 pm  

2011/6/5

誕生日


今日、6月5日は私の58才の誕生日である。幼少の頃に母から幾度も聞かされた話を一つ。生まれた日も梅雨の日であったが、夕方いよいよ産まれるというので(当時は自宅出産が当たり前だった。)産婆さんが父に向かって「早くお湯を沸かして」と命じた。そわそわした父は「はいよっ」と言ったまでは良かったが、それから5分して焦げ臭い匂いが充満した。何と空焚きだったのだ。この話が出るたびに今は亡き親父は頭をかいていた。
さて職員、知人や患者さんから多くのお祝いをいただき感謝に耐えない。還暦まであと2年。
先輩に言わせると「男が一番充実している時期だ」と。取り組んでいる「糖尿病」学への造詣を益々深め、患者さんへその知識をフィードバックしなければならない。やることは多い。「城北1の病院」になりたいと、開院時に抱負を職員に述べたことがある。いつの日か「城北1」になれるよう頑張りますので、応援よろしくお願いします。

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— posted by 越智邦明 at 03:55 pm  

2011/6/2

老医のつぶやき


聖路加国際病院の寺田秀夫先生が投稿されていた論文を引用してみる。
「最近の研究医はじめ若手医師は、コンピューターの画面ばかりに張りついている。もっと患者を(視診問診触診等)直接診察することに時間を割かねばならない。医療に携わる者には昔から心(heart)、技術(hand)、知識(head)の3Hが必要と言われているが、何よりも心(heart)だと思う。病める人を真に救い得るものは五感で感ずる医療、即ち心(heart)ではなかろうか。
カナダのモントリオール出身の世界的名医William Osler(1849~1919)内科教授の次の言葉がすばらしい。
“Listen to the patient.He is telling you the diagnosis”(患者に耳を傾けなさい。そうすると患者は貴方に診断を教えてくれますよ)。
「どんなに医療が進んでも温かい心、優しい笑顔、そして謙虚さこそが医療従事者にとって最も大切である」と述べている。
最後に寺田先生は「自身の入院生活の中で、最も慰められたのは頻回にベッドサイドに来てくれた礼儀正しく優しい女性の看護師の方々である」と結んでいます。
寺田先生の言葉の一つ一つを胸に刻みながら、私もがんばりたいと思います。

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(追伸)
梅雨になって毎日お気に入りの赤い長靴のゆうちゃんです。

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— posted by 越智邦明 at 08:01 pm  

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