「高気圧酸素療法」を皆さん御存知だろうか?この治療タンクを持ち1年に7970人もの国内トップの治療成績を上げているのが我が母校、東京医科歯科大の高気圧治療部だ。
講師の柳下和慶講師に聞いてみよう。肺で取り入れられる血液の酸素(O2)には2つのタイプがある。ヘモグロビンと結びついた結合型酸素と血漿に溶けこんだ溶解型酸素だ。ヘモグロビンはふつう98%以上がO2と結合していますから、もう上乗せわずか。しかし気圧を高くして吸えばより多くのO2が血漿中に溶け込んで溶解型酸素が増えるため、血液中のO2含有量を大きく増やすことができます。それが体の隅々に行き渡り組織の回復を促します。私が学生時代はダイバーの潜水病や一酸化中毒の治療ぐらいしかありませんでしたが、柳下先生によると今や糖尿病による足壊疽で切断を迫られている人もこのおかげで切断を逸れたとか。その他、重いやけど、凍傷、心筋梗塞、脳梗塞、難治性潰瘍、放射線治療後の出血性膀胱炎等その適応は拡大の一途です。酸素で治すーすばらしいことです。