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2013/5/23

ヒトのお産


ヒトは他の哺乳類と違って何故、難産なのか?
岩波書店発行の「ヒトはなぜ難産なのか」の著者である、奈良貴史先生の論文を読んでみた。大阪に明治35年創業の「犬印本舗」という企業が存在する。この会社は妊婦の出産用品を扱うメーカーである。安産と犬には密接な関係がある。太古以来、ヒトと一番長く共に暮らしてきたイヌの出産が安全なことにあやかり、安産を祈念した。東京の水天宮には、月に2度ある戌の日には大勢の妊婦でごったがえす。安産祈願である。
ヒトは地球上の哺乳類で一番難産だと奈良先生は説く。「産みの苦しみ」という言葉があるように、1900年では母体死亡は日本で出生10万に対して436.5で6200人が亡くなっていた。平家物語には「女は出産のとき、十に九つは必ず死ぬというものというから」という表現があったり、栄華物語では、登場する経産婦47人中11人(23.4%)がお産で亡くなったとある。死亡率は戦後急速に減り、お産は安全なものという認識が広まっているが、それでも毎年60~70人の妊婦が亡くなっており決して100%安全ではない。
それでは何故ヒトは難産なのか?それは直立二足歩行に適応した身体構造と脳の大きさが主な要因とある。哺乳類の産道は一言で表現すると一直線の円筒形のトンネルだが、ヒトはS字状の急カーブを伴い、入り口部が直方体で出口が円筒形という複雑な構造をしている。そして霊長類の多くは産道の直径よりも頭の大きさが小さいのに対し、脳が拡大したヒトはほぼ同じなのである。
大きな頭を持ったbabyが、途中で形の変化する曲線の筒を姿勢を変えながらやっとの思いで出口に到着するのがヒトのお産である。
男性諸氏は、どうかお産を祈りながら温かく見守ってあげて下さい。

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— posted by 越智邦明 at 04:59 pm  

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