西洋による医学の歴史をさかのぼると医学の父「ヒポクラテス」の時代よりさらに2000年前までさかのぼる。長く巻かれたパピルスに書かれた世界最古の医学書は「エドウィン・スミス・パピルス」。著者は史上初のピラミッドを建設したイムホテプである。
その古文書の中からいくつか紹介しよう。外傷を負った場合は「初日は新鮮な肉で覆い、それ以降は毎日油か蜂蜜に浸した包帯を用いる。重症の場合は包帯をせずに油に浸して冷やしながら乾燥させる」とある。他に呪術的な治療も施された。そのほか神聖なる池での沐浴やマッサージ、芳香療法も治療に加えられていた。現代医療の原型がエジプトの遺跡には数多く見られるのである。
こう考えてみると、太古から人間は「病」をなんとか正常に戻そうと努力してきたのである。我々は現代に生まれて最高の医療に接する幸せに感謝せねばならない。