日本では病気と言えば「保険証」。これ1枚で全国どこに行っても同じ金額で治療を受けられる。いわゆる世界に冠たる「国民皆保険」である。
日本で国民健康保険が実施されたのは1938年(昭和13年)である。その前はと言うと、福岡県宗像郡に同様の医療互助制度があった。それは「定礼」(じょうれい)といわれる制度であった。村ごとに村民たちが互いに貧富に応じて米を出し合い、それを医師に対する謝礼に充てた。この米を「定礼米」といい、医者のことを「定礼医」と呼んだ。
1877年(明治10年)定礼医の高村登四郎は馬に乗って、2代目直嗣はロバに乗って往診を行った。今、高村家の屋敷跡には直嗣を顕彰する碑が建っている。そこには「先生の患者に対する態度は実に親切丁寧を極め、即ち昼夜遠近を問わず、風雨寒暑を厭わず、一切を投げうって患者のために尽くされた」とある。
こんな赤ひげ先生を私も見習いたいと思う。