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2010/12/20

ED


今日は男性特有の症状、ED(勃起障害)について論じます。
EDは中高年の方は「年のせいだから」と放置されることも多いですが、EDと生活習慣病のエキスパートである東京女子医大の高橋良当准教授は、「EDになったら心筋梗塞も警戒しろ」と警鐘を鳴らす。
結論から言うとEDに陥ってから心筋梗塞の発症まで、平均3.04年というドイツ・ザールラント大学の報告に注目である。最近「動脈硬化」が注目されているが、動脈硬化は細い血管から症状が出現する。ペニスの海綿体動脈の直径は1~2mm、心ぞうの冠動脈の直径は3~4mm。それ故、ペニスの方に先に症状が現われる。本人が前兆を自覚できる数少ない疾患がEDなのである。
EDになったら必ず血管内皮障害を疑い、心筋梗塞を予防するため禁煙や減量に努め、高血圧や糖尿病の検査を受ける必要があります。

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— posted by 越智邦明 at 09:38 am  

2010/12/16

禁煙肥満


10月のたばこ値上げを機に禁煙者が増えてきた。良いことである。ところが昔から「たばこやめたら太っていかんよ。どうしてかのう」という質問が多かった。今回、文献を調べてみた。禁煙で太るのは喫煙で弱っていた胃腸の働きが改善され食欲が増す上に、たばこを吸わない口さみしさから間食に走るためと従来、言われてきました。ところが実際は、たばこに含まれるニコチンのせいなのです。ニコチンは食欲を抑える作用がある上、エネルギー代謝を活発にする働きがある。それを突然取らなくなれば太るのは当然なのです。
喫煙は糖尿病の発症リスクを高めることも知られている。たばこを吸うとインスリン分泌量は正常でもインスリンの効きが悪く、ブドウ糖の処理能力が低くなるためです。そうこうしているうちに高インスリン血症となり、この状態で禁煙して食欲が増してブドウ糖がどんどん血中に流れてくると、インスリンがせっせと肥満細胞に取り込んでしまいより太りやすくなります。
禁煙後の体重増加は内臓脂肪より皮下脂肪が多いという研究がある。皮下脂肪は内臓脂肪に比べて落としにくいから禁煙で太った体はなかなか元に戻らないわけです。そこで「太らない禁煙」のノウハウが大事になってきます。まずは禁煙と同時にダイエットに励むことです。それも、走る、泳ぐといった循環器の能力を上げる運動より、基礎代謝の向上につながる「筋肉をつける」運動が大切です。定番のスクワットのほか、四つん這いの姿勢で上げた腕を前方に突き出し、その反対側の足を上げて背中の筋肉をつける運動なども良い。ウォーキングも良い。そして何といっても、カレーや丼物など血糖値が上がりやすい炭水化物の一気食いをしないことです。
最後に薬ですが、禁煙後の高インスリン血症状態を脱するしばらくの間、ボグリボースという糖尿病予防薬を使う方法がある。昨年から2型糖尿病予防の効能がある薬として認められています。
「禁煙肥満」はとても難しいことを理解して下さい。

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— posted by 越智邦明 at 06:25 pm  

2010/12/13

お賽銭


日本人は、初詣や観光などで神社や寺院に参拝のときに賽銭を投げ入れる。
私は毎日のオンプ君との散歩のときに、決まったお寺に必ず立ち寄って参拝をしている。ある時は5円から100円まで、その時の気分でまちまちである。願い事は病院の事、個人の事、家族の事などさまざまであるが、神の加護を期待する1人である。
さて賽銭について文献を読んでみた。新谷尚紀著「なぜ日本人は賽銭を投げるのか」(文芸春秋)を参考にすると、賽銭を「投げる」という行為が神仏に対して非礼ではないか、という質問に対してこう答えている。日本では金銭は汚れたものという感覚があり、汚れた金銭を神仏に喜捨することによって清めてもらうという意味で、投げ入れるのは可とするそうです。賽銭の投げ入れ行為は、日本人の神仏に対する敬虔な心情の表われだそうで、このような慣習は世界でもまれだそうです。キリスト教では「献金」、イスラム教では「寄付」が存在します。中国、香港などの東アジアでは、香油銭などの名目の金銭を入れる箱はあるそうです。
尚、イタリアのトレビの泉の金銭投げ入れは、信仰とは全く関係ない行為だそうです。

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— posted by 越智邦明 at 06:49 pm  

2010/12/9

宮島


12月4日~5日と広島出張があった。ホテルは海のそばで着いたときは暗がりであったが、朝の景色は絶景で朝食が進んだ。出張中は雲ひとつない晴天で3日の強風、欠航とは雲泥の差であった。
仕事はさておき、せっかく広島に来たのだからと、5日は宮島に足を運んだ。宮島は今から40年前、兄が広島YMCA予備校に通っていた時、夏休みに訪ね、ついでに立ち寄ったことがある。その時、鳥居の前で撮った1枚の写真が手元にあるだけだが、今回も昔と全く変わっていなかった。厳島神社の神は女性であり、1168年に平清盛が造営。平成8年にはユネスコの世界文化遺産に登録されている。多くの観光客と鹿の群れをかいくぐって本殿に参り、2人のお願い事をした。1人は当院職員で妊娠入院中のMさんの事、もう1人は、ゆうちゃんの無事、健康で、それぞれのお守りも買った。学会や研究会での出張は大変だが、旅の先々で名所を訪れるのも、また生き甲斐のひとつである。
(追伸) ゆうちゃんの笑顔は、百万ドルでしょうか?

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— posted by 越智邦明 at 04:07 pm  

2010/12/6

最後の忠臣蔵


11月29日、試写会に家内を連れて行ってきた。
赤穂浪士の討ち入りは、47名全員が切腹し事件は解決したかと思われたが、生き延びた男がいた。名は寺坂吉右衛門。(佐藤浩市)。寺坂は生き延びて、戦さの生き証人となるように大石内蔵助に命じられていたのだ。そして討ち入り浪士の遺族を援助する任務も無事果たした頃、何と討ち入りの前日に逃亡した、孫左衛門(役所広司)に偶然再会した。何故、前日に逃亡したのか、死を恐れて逃げたのか?ドラマは粛粛と進み、最後はとんでもない結末を迎える。これ以上は話さない方が皆様の楽しみだと思います。
舞台あいさつに見えた、佐藤浩市さんはさすがにオーラが漂っていましたし、今、売り出し中の18才、桜庭ななみさん(可音役)も、とても初々しいあいさつをしてくれました。きれいな方でした。
忠義という名の気高く美しい愛が時代を超えて、今も語り継がれている「忠臣蔵」。
12月18日より、日米同時公開となります。
是非足をお運び下さい。

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— posted by 越智邦明 at 04:39 pm  

2010/12/2

友遠方より来る


「一期一会」辞書によると「茶道で、どの茶の会でも一生にただ一度と考えて、常にまことをつくすべきだとする考え」とある。私は人との出会いは常に一期一会と考えて大切にしている。
さて11月26日にA製薬会社のMRのF君と5年ぶりに会食した。F君は今から10年前に当院を担当して約5年お付き合いをしてから東京転勤となった。その後、運良く郷里の札幌支社へ転勤となった。F君とはゴルフを始め、当院の保養所にも2回遊びに来るほど仲良く付き合った。卸やMRの方は、担当の時は年賀状を始め頻回にお付き合いするが、担当を外れるとそれっきりとなるのが普通である。これが常々私は寂しかった。確かに次の取引先との売上げを考えると、昔の病院なんかは構っておれないのも心理としてはよく分かる。その昔、仲良くしていたある卸の人が、担当替えとなってから1年経った時にデパートで偶然出会った。しかしこちらを見るなり目を逸らしてしまったのは、とても悲しかった。
さてF君に話を戻そう。F君は転勤となってからもずっと年賀状をくれていた。子煩悩で、夫婦で教育熱心であり、子供の教育の仕方などを私なりに話したりして、教育論議で盛り上がっていた。そんなF君が、私に会いたいと申し出てくれた。札幌からである。とても嬉しかった。5年ぶりに会ったF君はとても元気で少しも変わっていなかった。積もる話であっという間に3時間が経ったが、面白かった話を御紹介します。
一つは、北海道の高速道路は夜間は80km/時以上のスピードは出せないというのです。それは鹿が出て来て車に激突し、廃車になるのだそうです。私は「そんな馬鹿な。鹿は、はね飛んで車は大丈夫じゃないか」と詰め寄った所、F君は「先生は奈良の鹿のイメージじゃないですか?北海道の鹿(エゾシカ?)はとても大きくて、廃車になったのは1台や2台じゃないんですよ」と反論した。改めて日本は広いなあと実感した。
二つ目は、「北海道は広いので、例えば札幌→函館は飛行機で行くんですよ。それがとてもとても小さな飛行機で、生きた心地はしない。何回も乗るのでスチュワーデスさんと顔見知りになりました。それと霧なんかの悪天候では、全日空はすぐに着陸不能ということで引き返すのですが、JALはとても頑張って着陸してくれるんですよ」と。またまた、所変わればの話に驚いた。
最後にF君は次にどこかに転勤になる時は単身になるだろうが、松山なら又来てみたいと楽しそうに話していたのが印象的であった。特に12月5日から始まるNHK「坂の上の雲」(第2部)は、とても楽しみにしているとの事であった。又の再会を約束して御開きとなったが、「一期一会」-大切にしたいものである。

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— posted by 越智邦明 at 08:26 am  

2010/11/29

糖尿病と有名人


外来で診ていると糖尿病患者が非常に増えている。
そもそも血糖を降下させるインスリンは日本人は欧米人に比べて少ないと言われている。ところが戦後、食事の欧米化に伴い、肥満が急増し、インスリンが追いつかないで血糖が上昇してしまうというのが単純な構図である。当ブログでも何度かその合併症を取り上げて、注意を喚起してきた。最近の知見では食後高血糖が、心・血管病変をつくり、脳梗塞、心筋梗塞を引き起こすことが色々なstudyで判明してきた。今日は糖尿病を患った有名人を取り上げることで、皆様に更なる注意を促したい。
①ビル・ガリクソン・・・元読売Gのピッチャー。インスリンを打ちながらがんばった。
②柏戸・・・大鵬と共に柏鵬時代を築いた、47代横綱。インスリン80単位を欠かさなかった。
③藤原道長・・・平安時代に栄華を極めた。糖尿病合併症の皮下膿瘍で死亡。「第15回国際糖尿病会議」の記念切手(1994.11.4発刊)に日本の糖尿病の祖として登場。切手下の六角形はインスリンの結晶で後ろにいるのが藤原道長。
④小渕恵三・・・糖尿病による脳梗塞で死亡。
⑤田中角栄・・・糖尿病、脳梗塞で死亡。
⑥大平正芳・・・糖尿病、心筋梗塞で死亡。
⑦夏目漱石・・・胃潰瘍は有名だが、晩年は糖尿病で苦しんだ。
⑧ヘミングウェイ・・・「誰がために鐘は鳴る」で有名な米国作家。医者の父も糖尿病であった。
⑨セザンヌ・・・「水浴する女たち」で有名なフランス画家。糖尿病性昏睡で倒れ肺炎で死亡。
⑩北原白秋・・・糖尿病性腎症となった。晩年は糖尿病性網膜症で原稿も読めなくなった。

以上、数多くの方が亡くなられていますが、糖尿病はいかに早期に治療介入するかによって予後が全く異なります。「おしっこに糖」→すぐに医療機関にかかるようにして下さい。

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— posted by 越智邦明 at 01:25 pm  

2010/11/25

善玉コレステロール(HDL)


11月1日号で失明の原因となる加齢黄斑変性症(AMD)について書いた。いくつかの質問があったので答えたい。
この病気は20~30才台のみなさんも、初期のAMDを発症していて少しずつ悪化している人がいます。米国のウィスコンシン大学の研究者が21~84才の2180人を調査した所、21~34才の2.4%がAMDでした。
AMDのリスク要因としてハッキリしているのが年令、喫煙、男性であること、高コレステロールです。中でも初期のAMDは、喫煙とHDLの減少が関係していることが、米国の研究で明らかになりました。50才になって目の衰えを感じ、あわてて禁煙してもそれではAMDの発症は抑えることは難しい。予防したいのなら、30才までに禁煙することが重要です。
次に「HDLの減少」についてです。HDLは細胞から余分な脂肪を肝ぞうに運搬する働きがあるのですが、これが減ると血管内の動脈硬化が進み、AMDを発症しやすくなります。HDLを増やすには、野菜などの食物繊維の多い食事をゆっくりよくかんで食べることです。HDLを増やす食べ物はありませんが、薬剤の進歩はめざましく、HDLを増やしLDLを下げる薬が多く開発されていますので医師に御相談下さい。
またアジ、イワシ、サンマといった青魚は、HDLを下げずに中性脂肪を減らす働きがあります。これもオススメです。
「脂質異常症」に積極的に取り組むことは心、血管イベントの抑制につながり、ひいては長生きの秘訣となります。

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— posted by 越智邦明 at 05:30 pm  

2010/11/22

楽観主義


愛読書「ゴルゴ13」を読んでいて、ゴルゴ解説者の杉森昌武氏が、ゴルゴははたして楽観主義者なのかそれとも悲観主義者なのかという話題を展開していた。
その中で「楽観主義」について次のように解説している。
「楽観主義は健康にいい。アメリカの有名な心理学者セリグマン博士は、楽観主義について長年研究した結果、例えばスポーツなどにおいて同じ程度の力量の者がいたとすれば、悲観的な考え方をする人よりも楽観的な考え方をする人の方が良い成績を残している。これはスポーツに限らず、学問でも仕事でも人間関係でもありとあらゆる局面で、楽観主義的に生きていくことが良い結果につながっていくということである。楽観主義者とは原則的に、良いことが起きるのは自分の能力とか人柄のせいであり、悪いことが起きるのは、他人とか環境とか運とか、つまり自分のせいではないと考える人のことである。しかも良いことの起きる原因は、いつでもどこでも起きると考え、悪いことの起きる原因は、限定的で一時的、つまり特定の条件でたまたま起きるに過ぎないと考えるのである。ただ楽観主義が万能かというと唯一、悪い結果につながるケースが例外的にある。それはギャンブルである。」と。
さて結論だが、ゴルゴ本人に聞いてみると「俺には悲観も楽観もない。あるのは事実だけだ」。どこまでもクールなゴルゴです。
(追伸)
 最近のゆうちゃん。ハイハイがとても早く、音に合わせて手をパチパチが得意です。月や星を見つけて指をさして、あーと教えてくれます。



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— posted by 越智邦明 at 12:46 pm  

2010/11/18

骨粗鬆症


私の患者さんKさん(90才、女性)は、骨粗鬆症で悩んでいる。3年前に転倒し、左大腿骨頚部骨折を起こし、私の友人が院長をしているJ病院で手術をしてもらった。
その後、順調に当院でリハビリを続け、何事もなかったように回復した昨年、柱に腰をぶつけた時に腰痛がひどくなり、やはりJ病院に半年入院した。骨折はあるが手術するほどでもなく、安静による治療だった。そして先月、何をした覚えもないのに右大腿が痛くなり、レントゲンで異常がなかったが再びJ病院に診せた所、MRIでまたまたヒビが入っていて、3度目の入院中である。とに角、重度の骨粗鬆症だと言われている。この間お見舞に行った時、Kさんは「もうこんなに骨が弱くなったら、きっと私を焼いたら何も残ってないよ。先生。」と気弱な発言をした。
骨も皮膚と同じように“新陳代謝”をしている。古くなった骨が破壊されて新しい骨ができる。そのバランスが保たれていれば骨の強度は維持される。骨粗鬆症はそのバランスが崩れて破壊が進んだ状態。現在は骨の破壊を抑えるビスフォスフォネートと呼ばれる薬が使われている。これは骨折予防効果がありますが、Kさんのような重症の方の骨折予防効果が低いのがネックです。
ところが今年10月に登場した新薬テリパラチド(遺伝子組換え注射剤)を使ってから従来の薬を使うと、骨が飛躍的に強くなり、骨折を予防できるという。テリパラチドは骨の形成を促進する作用があるのです。産業医大整形の中村利孝教授によると、「テリパラチドの注射を18ヵ月間続けてからビスフォスフォネート製剤に切り替えると、骨の強度が長く維持される」そうです。テリパラチドは糖尿病のインスリン注射のように太ももや腹部などに自分で注射します。しかし1日1回いつでもよく、インスリンのようなわずらわしさがなく又、ほとんど痛くないと言う。今後、副作用を含め検討が必要だが、Kさんのような重症で骨折に脅える人には朗報であろう。
「テリパラチドとビスフォネートのW治療」。医学の進歩はめざましい。

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左は骨粗鬆症、右は正常人の足のレントゲンです。
コントラストが全く違うのがお分かりでしょうか?

— posted by 越智邦明 at 05:04 pm  

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