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2011/12/15

「連合艦隊司令長官 山本五十六」


9月12日のブログで山本五十六の人物像を書いた。
今回12月23日に公開される映画「山本五十六」の試写会に行ってきた。
舞台挨拶に来られた吉田栄作さんは、高身長でジーンズの似合うとても素敵な役者さんであった。映画では作戦参謀役であった。吉田さんは「副題に太平洋戦争70年目の真実とあるように、この映画をきっかけに大震災などに対しても、我々がどう生きて行くべきかを考えるきっかけになってくれたら幸いです。」と熱く語った。
山本の人となりは、前回を参考にLink していただくとして、今回の映画のさわりを紹介したい。山本五十六役は、昨年の「最後の忠臣蔵」の主演であった役所広司。本当に適役であった。
昭和14年夏、日独伊三国軍事同盟締結をめぐり日本中が揺れていた。しかし海軍次官山本は異を唱えていた。日本がドイツと結べば、必ずやアメリカとの戦争になる。10倍の国力を持つアメリカとの戦いは何としても避けたかったのが山本の思いであった。しかしその後、ヒトラー率いるナチス国防軍がポーランドに進攻し、第2次世界大戦が勃発。快進撃を続けるドイツの力に幻惑され、日本国内で再び同盟締結の声が沸騰し、昭和15年9月27日、同盟が締結されてしまった。
連合艦隊司令長官になっていた山本は、対米戦回避を願う自らの信念と、それとは裏腹に戦争へ向かいつつある時代の流れのずれに苦悩し続ける。昭和16年夏、どうしても米国との戦争が避けられないと悟った時、山本は一つの作戦を立案した。
ハワイ真珠湾を航空機によって奇襲する。それは戦争に勝つためではなく、一刻も早く戦争を終わらせるための苦渋に満ちた作戦であった。
70年前の国難に対して、山本がリーダーとしていかに戦い続けたか、是非、御覧下さい。

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— posted by 越智邦明 at 05:51 pm  

2011/12/12

糖尿病性胃症


糖尿病についてさまざまの合併症の話をしてきました。今回は「胃」についてです。
糖尿病の方で「胃がもたれる、食欲がない、その結果やせてきた」等の症状を訴える方はこの病気を考える必要があります。3大合併症の中で「神経障害」は「腎症」「網膜症」より早く出ます。よく足の裏や爪先のシビレ、ジンジン感が有名ですが「胃症」もその一種で、糖尿病と診断されてから3年を経過すると起きやすい。
胃は、副交感神経の影響を強く受けます。そのため副交感神経障害が起きると、さっきのような症状が出るわけです。
患者のAさん(42才)は、HbAlC=8.2%でダイエットしてないのに胃がもたれ、食欲がなく体重が減少して来院。ガスモチンという胃の蠕動運動を改善する薬を投与した所、胃の不調は解消しました。ある大学病院の論文を読んでいますと、糖尿病性胃症の人にバリウムを飲んでもらって、それが胃から排出されるまでの時間を調べた所、バリウムが丸1日胃に残っていたケースの報告がありました。
糖尿病で胃の不調の方は是非、主治医に相談してください。
(追伸)
長男が12月1日~31日までの契約で、北海道は北見市の病院にアルバイトに行ってます。何でも外科医の欠員が出来たため応援部隊だそうです。その彼から何とお歳暮が届きました。写真のような「流氷DRAFT」と「網走プレミアムビール」です。製造元は、網走ビール株式会社となっています。早速飲んでみましたが、特に流氷DRAFTの透き通ったブルーには感動しました。説明には「網走オホーツク海の流水を仕込み水に使用し・・・オホーツクブルーと香りコクをご堪能ください」とありました。粋なお歳暮に感謝すると共に、だんだんと社会人になってきたんだなとほくそ笑んでいます。
さて北見行きは相談があった時に、「極寒の地での地域医療がどんなものかを体験できるのは一生に1回だよ。チャレンジしろ」と送り出しました。ちなみに今日の北見の最高気温は-1℃、最低気温は-9℃でした。

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— posted by 越智邦明 at 04:21 pm  

2011/12/8

抜歯


私は愛媛保険医協会の副会長を長らくやっている。保険医協会は医科と歯科の会員を合わせて全国10万人が入会している。というわけで私は医科であるが、歯科の種々の改善運動もお手伝いしている。「保険で良い入れ歯を」の運動もその一つである。今回は歯科の中でみなさん誰もが経験する「抜歯」についてのお話です。
歯の病気に伴う歯痛は、人類の歴史と同じだけ長い。歯痛の原因を悪魔に押し付けることが全世界、例えば中国やアステカ文明の文献に見つかっている。ヨーロッパでは歯痛は悪霊の「歯虫」のせいと考え、呪文を唱えて追い払おうとした。
「おいらの歯には3匹の虫が巣くっている。
  白い虫、黒い虫、赤い虫、
   3匹ともみんな明日には逝っちまえ。」

さてハイデルベルク大学のエッカート教授の論文により、ヨーロッパの「抜歯」の歴史を紹介しよう。
ヨーロッパでは17世紀以降、砂糖の消費が広がりいわゆるむし歯が多くなった。ひとりでに落ちる歯はともかく、それ以外は歯科医の手によって抜いてもらわなければならなかった。従って歯の治療の歴史も内科医と同じくらい古いのだが、内科医と違うのは歯科医や歯抜き師は地位が低かったことである。耐え難い口臭を発するむし歯を抜くのは名声を得た人物の仕事ではなかったのであろう。ヨーロッパでは中世の頃から抜歯というものは、床屋医師か外科医が行っていたことがわかっている。16世紀から18世紀は「フリーランス」の歯抜き師が町から町、村から村を渡り歩き、インチキ医者と同じように広場でその技を披露した。そこには多くの観衆が詰め掛け、そこで起こる痛い出来事を同情の念もしくは面白がって見ていた。
17世紀のネーデルランドの風俗画に今回紹介する「歯抜き」が見られる。
左の絵はフィクトルスの描いた「歯抜き師」(1635年頃)
右の絵はステーンの描いた「歯抜き師」
台の上には薬と硬貨、歯抜き師のライセンスが並ぶ。
右の子供は痛みで固く握られた拳。今にも逃げ出しそうだが、腕が椅子にくくりつけられています。

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(追伸)
ゆうちゃんはとても歯みがきが好きで「もう1回」と言って何回もやります。みなさんもゆうちゃんに負けないで歯みがきをして下さい。

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— posted by 越智邦明 at 11:41 am  

2011/12/5

低髄液圧性頭痛


最近注目されている頭痛で「脳脊髄液減少症」とも呼ぶ。最近、むち打ちがいつまでも治らず、頭痛が続く場合に硬膜の破綻による髄液漏出が原因であったケースがよくマスコミに取り上げられる。
しかし実際に多いのは脱水が原因になる髄液産生低下です。夏期に頭痛とめまいで受診され、点滴で改善するケースです。診断は簡単で臥位になったり力んで腹圧を上昇させたりして、髄液圧を上昇させると頭痛がその間は軽減するのです。
ただ点滴を続けても一向によくならない場合は髄液腔の狭少化等、より精査が必要になってきます。
脳神経外科で今、ホットな疾患です。

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— posted by 越智邦明 at 05:25 pm  

2011/12/1

自転車事故


来年1月から警視庁管内の自転車レーンが大きく変わる。車道にペイントされる青色レーンでの走行が徹底されるのだ。全国で発生した自転車と歩行者の事故のうち、都内は約4割に上った。
さて日常診療の中で自転車による事故が実に多い。特に老人が後ろから来た自転車にはねられて、そのまま過ぎ去ってしまったという例。高齢者は倒れると全身打撲となり治療に数ヶ月を要する例は珍しくない。自転車のマナーも非常に悪い。並走は当たり前で、更に危険なメールをしながらの走行。これは全く前を向いていないのも同然で、こういった事故には厳罰に処するべきだと思う。
実際に発生した法廷での例をあげよう。2002年9月、横浜市で看護師(54才)が路上で背後から女子高生(16才)に衝突された。無灯火の上、ケータイをいじっていた。看護師は首をケガし、手足にしびれが残り、職を失い生活保護になってしまった。女性は女子高生と自転車を与えた父親を相手取り5,700万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。横浜地裁は5,000万円の支払いを認めた。ほぼ全面勝訴であった。
また今年6月にも世田谷区の81才の男性が自転車に乗った男子高校生にはねられ、頭を強く打って死亡した。
ここで提案です。自転車事故は甘く見られがちですが、歩行者に大ケガをさせてしまえば高額の賠償請求は避けられません。何らかの形で自転車保険に入っておくべきです。最低でも個人賠償責任保険は加入して下さい。
保険に関しては自動車保険や火災保険の特約として付いている場合がありますので、よく確認を営業員としてみて下さい。
最後に自転車の現行ルール。
①車道の左側走行が原則
 違反は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
②無灯火
 5万円以下の罰金
③2人乗り
 2万円以下の罰金(6才未満1人を乗せるケースを除く)
④並走
 2万円以下の罰金
⑤ブレーキなし走行(→現在問題になっています)。
 5万円以下の罰金

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— posted by 越智邦明 at 05:02 pm  

2011/11/28

リアル・スティール(映画)


11月21日(月)に「リアル・スティール」の試写会に行ってきた。12月9日(金)全国公開予定である。
全編の内容をバラすと申し訳ないので、概要を説明します。
スティーブン・スピルバーグ率いるドリームワークスが11年の構想の末、完成させた巨編です。
2020年、ボクシングは生身の人間ではなく高性能のロボットたちが闘う競技になっていた。元ボクサーのチャーリーは、ロボットの賭け試合などで生計を立てていた。ある日、かつての恋人が亡くなりその息子、マックスがチャーリーの元にやってくる。マックスはゴミ捨て場でATOMという旧型ロボットを見つけ、それをチューンナップし試合に出場する事を決意する。
破天荒に生きてきた一匹狼のチャーリーが、はからずも真の“父親”として目覚めていく姿を人生の再起のドラマに重ねて演じ切る。息子とのかけがえのない絆に気づいていく男の姿は、私たちの心を揺さぶり、とりわけ世の父親たちの心を直撃すると思います。
撮影は2010年6月より、デトロイトで行われた。ロボットが闘う場面のために、モーションキャプチャ技術が使用されています。
是非、年末、親子連れで見に行って下さい。

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— posted by 越智邦明 at 02:37 pm  

2011/11/24

医師の労働


日本の医師の過剰労働は現在、社会問題になっており、特に研修医等はこき使われ、寝る間もなく、過労死を起こして家族が病院を訴えるといった事態も今では珍しくない。私の長男(卒後3年)も、いつ電話しても病院に居る。土曜も日曜もである。私の時よりきつそうである。
米国では1980年代に発生した医療事故を契機に研修医の労働時間の規制が行われるようになった。日本と同じように遺族から「過労死」の訴えが出され、社会問題化した。そしてニューヨーク州では研修医の労働時間を週80時間以下とするよう州法が制定された。
全米でもACGMEが同じように週80時間以内とするよう勧告し、この規定を守れない医療施設は研修医の採用が困難となっている。
EUでは、2008年12月17日に3年の猶予をおいて「例外なく研修医の労働時間も平均週48時間の労働時間の上限を設ける」ことが決定されている。
確かに日本でも労働基準法に週40時間の法定労働時間の規定がある。しかし日本では労使でも時間外・休日労働に関する労使協定(36協定)を締結すると、事実上、労働時間の上限がなくなっている。
日本の勤務医は週平均で70.6時間働いている。ドイツ・フランスは40~50時間、全米は51時間である。日本の医師における最大の問題は労働時間として十分に把握されていない「当直」にある。
米国では当直は労働時間として算定され、当直時間も含めて週80時間の上限を設定している。日本の勤務医の労働時間に関しては、通常の勤務の長さだけでなく、当直と称する夜間・休日をはさむ30時間を超える連続労働の存在が問題である。さらにこうした長時間労働に対して適切な割増賃金の支払がなされていないことも加えて問題である。
医師の数を増やすだけでなく、こうした勤務実態にメスを入れるべきである。医師も1人の人間であるのだから。

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— posted by 越智邦明 at 01:03 pm  

2011/11/21

沖縄クライシス(危機)


その昔、沖縄と言えば「長寿」の代名詞と言われた。そのためゴーヤはじめ沖縄県民の長寿にあやかろうと、さまざまな飲食物が紹介された。
しかし今はと言うと、女性の平均寿命はまだ一位をキープしているが、男性は1980~85年は1位、90~95年は4位、そして2000年には26位へと急落した。
この背景には、沖縄の食生活が急激に本土並みに変化しメタボ人口も増え、糖尿病や心血管疾患が急増したことがあげられている。そしてこの沖縄クライシスは、15~20年後の日本クライシスの前兆と考えられている。
沖縄県民の食生活が米軍の統率下、無批判に西欧化を受け入れ短時間のうちに様変りしたからだと指摘する学者もいる。又、失業率が日本で最悪で、若年~中年の自殺者が多いことも要因と指摘する学者もいます。

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— posted by 越智邦明 at 02:40 pm  

2011/11/17

このごろ思うこと


超一流のスナイパー「ゴルゴ13」を読んでいて、ふと思ったことがある。
第218話「ロックフォードの野望 謀略の死角」の中で、ローゼン・ザメックがゴルゴに次のような質問をした。「一流のプロ」になるための条件とは?
これに対するゴルゴの答えは「10%の才能、20%の努力、30%の臆病さ、40%の運」であった。私が注目したのは「臆病さ」である。人間はどんな仕事にも慣れてくると臆病でなくなる。そのころに失敗が多い。外科医もそうである。卒後3~4年してくると、虫垂炎いわゆる盲腸のオペも簡単だとうぬぼれてくる。実際にあった話だが、私の先輩(卒後4年目)がバイト先で盲腸のオペを1人で行った。所が虫垂先端が後腹膜に埋没していて取り切れなくなった。そうこうしているうちに麻酔が切れて患者があばれ出し、その際に虫垂動脈を損傷し、腹腔内が血だらけになって救急車で総合病院に運ばれた。今から30年も前の話で、治癒したので訴訟にはならずに済んだ。
もし先輩がいくばくかの臆病さを持っていたらどうだっただろう。きっとオーベン(上の先輩)を連れて行って、安全な手術をしたことだろう。
「臆病さ」はゴルゴの作家「さいとうたかを」氏の人生観だと思う。「臆病さ」は「謙虚さ」とも言い換えられると思う。いつもいつも事に当るときに、新米の時のような謙虚さを持つこと、まさに世阿弥の言う「初心忘るべからず」の境地を大事にしたいと感じているこの頃である。

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— posted by 越智邦明 at 05:40 pm  

2011/11/14

うつと食事


うつ病に対してはカウセリング・内服治療が主体であるが、食事を変えることで、うつの程度を減らそうとしているDr.が居る。日本初の栄養療法専門クリニックの溝口徹院長である。ポイントは「糖質を減らし、タンパク質を増やす」ことである。糖質とはご飯・パン・果物・菓子類など。タンパク質は肉・魚・豆類など。うつ症状に陥らないようにする一番重要なことは、血糖値の変動を小さくすることです。糖質の多い食品を食べると、血糖の上昇につれてインスリンが大量に出る。このときドーパミンやノルアドレナリンといった興奮系の神経伝達物質が過剰に分泌されたり、幸福感などに関するセロトニンの分泌が抑制されたりします。それによってイライラ・不安・眠気といった、うつ症状が出る。タンパク質の場合は血糖上昇が緩やかで、インスリンも急激に出ません。
どうしても糖質をやめられない人には、健康食品のプロテインを食事前に取ると糖質への欲求が抑えられます。それと糖質の前に、タンパク質・食物繊維を取るのが良いと思います。
賢く食べて下さい。

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— posted by 越智邦明 at 05:29 pm  

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