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2011/11/24

医師の労働


日本の医師の過剰労働は現在、社会問題になっており、特に研修医等はこき使われ、寝る間もなく、過労死を起こして家族が病院を訴えるといった事態も今では珍しくない。私の長男(卒後3年)も、いつ電話しても病院に居る。土曜も日曜もである。私の時よりきつそうである。
米国では1980年代に発生した医療事故を契機に研修医の労働時間の規制が行われるようになった。日本と同じように遺族から「過労死」の訴えが出され、社会問題化した。そしてニューヨーク州では研修医の労働時間を週80時間以下とするよう州法が制定された。
全米でもACGMEが同じように週80時間以内とするよう勧告し、この規定を守れない医療施設は研修医の採用が困難となっている。
EUでは、2008年12月17日に3年の猶予をおいて「例外なく研修医の労働時間も平均週48時間の労働時間の上限を設ける」ことが決定されている。
確かに日本でも労働基準法に週40時間の法定労働時間の規定がある。しかし日本では労使でも時間外・休日労働に関する労使協定(36協定)を締結すると、事実上、労働時間の上限がなくなっている。
日本の勤務医は週平均で70.6時間働いている。ドイツ・フランスは40~50時間、全米は51時間である。日本の医師における最大の問題は労働時間として十分に把握されていない「当直」にある。
米国では当直は労働時間として算定され、当直時間も含めて週80時間の上限を設定している。日本の勤務医の労働時間に関しては、通常の勤務の長さだけでなく、当直と称する夜間・休日をはさむ30時間を超える連続労働の存在が問題である。さらにこうした長時間労働に対して適切な割増賃金の支払がなされていないことも加えて問題である。
医師の数を増やすだけでなく、こうした勤務実態にメスを入れるべきである。医師も1人の人間であるのだから。

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— posted by 越智邦明 at 01:03 pm  

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