さてこの「血管が詰まる」という病態に対する考え方が最近変わってきたので紹介する。
従来の考え方は冠動脈が徐々に徐々に狭くなっていって、とうとう閉塞してしまうといったものであった。ところが急性心筋梗塞の多くは冠動脈が突然閉塞されるということが分かってきた。道路でたとえると交通渋滞が徐々にひどくなって、一台も通れなくなるのが前者、そして後者は突然の土砂くずれで道がふさがれて通行不能になる状態と考えたら分かりやすいと思う。
病態的にはじわじわ詰まる原因因子としては、悪玉コレステロール、中性脂肪、糖尿病があげられる。突然詰まる原因因子は高血圧、喫煙、交感神経の緊張があげられる。とくに急激な血圧の上昇で血管の内皮に傷が出来、それをふさごうと血小板が集まり血栓が出来て血管内腔にフタをする恰好になる。これが今、最も注目されている「急性冠症候群」というものである。
さて、高脂血症で悪玉コレステロールはよく下がっていても、食後の中性脂肪値が高いのも要注意といわれる。数値が500なんていう人も結構居る。
さて最後に心筋梗塞の性差について論じたい。男性は発症リスクは60才くらいで頭打ちになり、その後は横ばいになる。その60才くらいから上昇するのが女性である。女性は女性ホルモンによって血圧の上昇や動脈硬化が抑えられていますが、閉経になると動脈硬化が進行します。70才になると動脈硬化の程度が男性と変わらなくなります。
増え続ける心筋梗塞。注意したいものです。