現代社会の我々は昔と違って素敵な服を着、良い車に乗り、おいしい物を食べるようになりました。物に恵まれた時代です。しかし反面、若者を見ていると物をぞんざいに扱っている人が多いのも事実です。
物を大切にする人は物からも大切にされます。
愛知県日間賀島(ひまかじま)に伝わる「かしき長者」という昔話を紹介しましょう。
昔あるところに、一人の信心深い「かしき」(漁船の炊事係)がいました。かしきは「どんな食べ物でも、神様から授かったものだから粗末にしてはならない」と母親から教えられていた為、食べ残しも無駄にせず、魚に与えていました。
そんなある日のこと、かしきがいつものように魚に食べ残しをあげていると、突然、海が見渡す限りの砂浜に変わりました。かしきはそれを見て「これは良い鍋の磨き砂が手に入った」と、大喜びで桶一杯に砂をつめ、船へと持ち帰ったのです。そして翌朝、桶を見ると、その砂が金に変わっていました。
こうしてそのかしきは立派な長者となり、島の人たちは「これまでの善行のごほうびに海の神様が与えたものだ」といって、「かしき長者」と呼び親しんだそうです。
この昔話のように、日本には神の助けにより長者になった話がたくさんあります。幸運に恵まれた主人公に共通しているのは、私利私欲にとらわれず物を大切にしているという点です。
事業が行き詰まった時にはまずは感謝の心で物を大切にし、職場を朗らかな心で清掃してみてはいかがでしょうか?