Created in 0.0348 sec.
 
越智クリニック
 
T:1557 Y:0632 Total:2884928 Online:72
カレンダー
<< 2012.4 >>
SMTWTFS
12 345 67
89 101112 1314
1516 171819 2021
2223 242526 2728
2930     
 
2012/4/26

有床診療所


当院は有床診である。つまり入院ベットを19床有している。ところが有床診は年々減少の一途をたどっている。ひとつには高齢医師がベットを閉鎖すること。もうひとつは若手開業医がベットを持つことで24時間拘束されるのを嫌うからである。新規開業医のほとんどはベットを持たないのが今や流行である。
しかし私はベットがあるおかげで真の医療、完結型の医療が出来ると考える。例えば腹痛がひどい患者が来院したとする。鎮痛剤の注射をして帰して夜中にひどくなる可能性がありそうな方は一泊入院してもらう。肺炎等は酸素吸入等も必要であるから無床では無理である。
政府も無策ではない。4月4日に民主党は「有床診療所を応援する議員連盟」(会長、櫻井充)を立ち上げた。櫻井氏は我が母校、医歯大の卒業生であり応援している。彼は「自民党政権下、有床診は廃止の方向で動いていたが、我々は地域医療の中核を担っていく大事な医療機関という認識だ。大きく方向転換したい。」と強調している。
設立総会にも仙谷氏や足立信也氏も出席している。
大病院は今や入院日数の短縮化を競っている。我々が例えば癌を発見して大病院で手術をしてもらう。術後、落ちついた時点でまた私の所へ帰って療養してもらう。他にも大病院で癌が再発して積極的な治療の方法がない方を我々が受け入れる。つまり国の言う「病診連携」である。
体力の続く限り、地域医療に貢献したいと思っている。

img118

img119


— posted by 越智邦明 at 05:14 pm  

2012/4/23

危機一髪


25年も開業医をやっていると、危機一髪の症例がいくつもあった。それを述べることで皆様の参考にしていただいたらと思う。
①腹痛(その1)
腹痛の上に背中が痛いと来院した60才の男性。検査の結果は「急性膵炎」。直ちに入院させ中心静脈栄養(IVH)管理下に治療を行い約3週間で治ゆした。来院時には血圧80/60とショック前状態であった。もちろん開腹手術が必要な場合もある。
②腹痛(その2)
68才の男性。腹痛と共に激しい嘔吐。便は出ない。他院で感染性腸炎と言われたが治らず来院。診断は「腸閉塞」。開腹手術を行い、既に腹水が多量たまっていたが腸切除で一命を取り留めた。
③見え方がおかしい
眼科をすぐ紹介したら「網膜剥離」であった。52才の女性だが、あと1日遅れたら失明していたと言われた。
④胸痛
64才の男性。昼休みに来院し心電図で「狭心症。」すぐに日赤へ送り、冠動脈造影が行われ、いくつかの冠動脈が閉塞していて内科的治療(PCI)で一命をとりとめた。
天皇陛下の手術で有名になった「狭心症」。珍しくはないが急を要する。
⑤耳がきこえにくい
一番怖いのが「突発性難聴。」2~3日以内に副腎皮質ホルモンの治療が必須。何人も助けて来たが、放置したため一生、難聴になった人をたくさん見てきた。
⑥体の左右どちらかがしびれる
一過性脳虚血発作(TIA)であるが、半年以内に「脳梗塞」を起こすことが多い。ろれつが回りにくい等も早期の脳梗塞の可能性が高く急を要します。

以上、いくつかを述べてみましたが、病気にはこの期間を過ぎたら手遅れというリミットがあります。「ちょっと様子を」が命取りになることがあります。だからこそ、かかりつけ医を持ちましょう。

img115


— posted by 越智邦明 at 05:27 pm  

2012/4/19

誕生会


4月15日(日)、1年ぶりにナースの子供達の誕生会を保養所で行った。前回に続き4才になったひゅうが君と新顔で2才になったゆうと君が主役である。ひゅうが君は2才からだから3回目のお祝いである。当日は晴天に恵まれ、散り際とは言え、桜の花も見事であった。保養所の周囲に5年前に植えた6本の桜もずい分大きくなって花をつけていた。二人のママもこの子達の発育を毎日楽しみにしながらナースという仕事に精を出している。
ゆうと君は寝足りなかったのか食事が進まなかったが、バースディケーキやプレゼントタイムになると突如元気になって笑顔満面になった。
海岸で砂遊びをしたり、来島海峡を行き交う多くの船を見ながら楽しい1日を過ごすことが出来た。日本の将来はこの子達が担っている。
今は小さくてもすぐにこの子達の世代になる。
日本の将来を託したいと思う。

IMG3618

IMG3620

IMG3626

P1000525

IMG3629

IMG3632

IMG3637

IMG3642


— posted by 越智邦明 at 10:08 am  

2012/4/16

糖尿病 脚編


62才の男性患者Aさん。ゴルフが趣味だったが「最近カートなしでは坂道が登れない」と訴えた。
この方は糖尿病の持病があったが放置状態で当院へやって来た。早速調べると食後血糖値323mg/dl、HbA1c=9.2%、更に足の血行不良があり、ブログで何回も取り上げた糖尿病合併症の一つである「閉塞性動脈硬化症」(ASO)を起こしていた。ASOは糖尿病や高血圧などの生活習慣病が原因で4つの段階がある。①脚が冷たい・しびれる ②脚が痛くて休み休みの歩行になる ③安静にしても脚が痛い ④足の壊疽を起こし切断になる。
Aさんはすぐに公立病院を紹介し血行再建術を受けて事なきを得たが、執刀医にこっぴどく怒られたそうです。「越智先生に発見してもらわなかったら、来月には切断になっていた」と。そして今後の服薬管理、生活指導を含め、入念に注意されたようです。
さて合併症臓器のうち脳、心臓、脚のどの血管が最も早く障害されると思いますか?それは脚の血管です。脚の血管が詰まる人は放置すると近いうちに脳や心臓がやられて脳卒中や心筋梗塞を起こします。ASOの人は約5割が5年以内に心筋梗塞か脳梗塞を起こし、5年生存率は6割と報告されています。
脚がだるいと思ったら放置せず主治医の所へ行きましょう。

img107


(追伸)
春になって屋外に飛び出したゆうちゃん。春を満喫しているようです。

CIMG3169

IMG5067


IMG5083

IMG5055


— posted by 越智邦明 at 05:25 pm  

2012/4/12

ゴマ


ゴマはゴマ科の一年草です。果実が熟すとはじけ、中から多数の種子がこぼれます。この種子のことをゴマと言い、色によって黒ゴマ、白ゴマ、金ゴマ、黄ゴマなどと呼ばれています。ゴマの原産地はアフリカ大陸ですが、インドをはじめアジア諸国で多く生産されてきました。
さて日本で使用されるゴマは99.9%を輸入に頼っています。2006年のゴマの輸入量が16万トン。一方、国内生産量は200トンですから悲しいです。国産のほとんどは鹿児島県喜界島で生産され、8~9月の収穫時期にはセサミストリート(ゴマ道路)が出現することで有名です。
歴史的には室町時代に日明貿易で茶と共に日本全国の庶民に広まりました。
食材としては「すりごま」「ごまダレ」「練りごま」「ふりかけ」「ごま油」があります。
ゴマには脂肪とタンパク質が多く含まれているため油、薬用、食用に多く用いられていました。特にゴマ油は食用、薬用の他に灯火用としても暮らしになくてはならない存在でした。
最後にゴマに関する言葉を拾ってみました。
「開けゴマ」(アラビアンナイトの中でのopen sesame)、「へそのゴマ」「ごま塩頭」「ゴマフアザラシ」「ごま塩ノイズ」「ゴマをする」-英語では「He is good for an apple-polisher.」(リンゴ磨きがうまい=ごますり上手)これはイギリスで生徒が先生にリンゴを磨いてあげる習慣があったことからこう言います。
最後に、子供を中心にゴマアレルギーが急増していることも注意して下さい。

img091

img092

img093


(追伸)
すっかり春らしくなりました。当院の屋上もチューリップはじめ満開です。心もウキウキですね。

DSC00031

DSC00033


— posted by 越智邦明 at 04:59 pm  

2012/4/9

同窓会と花火


12月のとある日、1通のメールが届いた。それは母校、東医歯大の先輩T先生よりであった。事の内容は、私の属していた研究班(胃班=マーゲン班)の新年会の誘いであった。
新年会だから本来1月なのだが、自分がちょうど熱海に勤務しているので3月31日(土)に熱海の由緒ある宿で花火を見ながら歓談しないか、というものであった。私は毎年、お誘いを受けているものの大学を去ってから26年行ったことはなかった。しかし今回は、当院も25周年という区切りの年であること、班長の星先生も高齢になられているので是非お元気なうちにお会いしたいこと、そして春に花火が見れるのか?という色々な観点からすぐに参加のメールを送った。
T先生は熱海の、ある病院の院長をされている。
宿は横山大観ゆかりの宿である「大観荘」であった。
花火は気になって検索してみた。熱海海上花火大会は昭和27年から開催していて、もう60年続いている。「熱海湾は花火業者も絶賛する日本一の花火打上会場で3面を山に囲まれた『すり鉢』状の地形のため海で上げる花火の音が反響し大きなスタジアムのような音響効果がある。特にフィナーレ『大空中ナイアガラ』は体にまで音が伝わってくる」との説明が書いてあった。春、夏、秋、冬と打ち上げるそうである。
さて3月31日当日は、強風のため松山空港では「羽田に着陸できずに引き返すことがあります」と何度もアナウンスされ、出発も30分遅れた。本当に引き返す事態になったらすべてがパーとずい分やきもきしたが、熱海の会場には開催6時の20分遅れで着くことができた。
総勢11名のうち、2名以外は実に26年ぶりの再会であった。私以外はみんな東京周辺に居るので同期会と同じく遠方の私を本当に歓待してくれ、食べずに待っていてくれた。みんな先輩たちは院長クラスで成功している人ばかりである。おいしい食事に酒が進み、順に近況報告をしたが、私の番では10分割いて26年間の色々な事を聞いてもらった。そして25周年をみんなが本当に喜んでくれた。同窓生、特に同じ研究班は結束が固い。大学に居た頃の何枚かの写真を用意していったが回覧してみんな本当に懐かしがった。
そして8時20分になって花火の見える部屋に移動した。これは本当にすごかった。花火の音がやまびこのように何度も繰り返し、最後のナイアガラは思わず瞬を忘れる美しさがあった。生まれて春花火は初めてであり大いに感動した。25分間という短い間に打ち上げられた3000発の花火。いまでも耳の奥に鳴り響いている。
さて花火を画像に収めようとカメラ並びにビデオ更に三脚を持参した。しかし聞いていた通りカメラは非常に難しく、ビデオに収めて大正解であった。最後の画面は動画で供覧しましたので6分間程、熱海の花火に酔いしれて下さい。
ちなみに「花火」は英語で「fireworks」、「花火を上げる」は「display fireworks」で世界の人々を魅了してやまない花火。しかし何といっても日本の花火は世界一です。
花火が終わったあとそのまま酒を飲みながら12時近くまで昔話や現況に花が咲いた。そのあと同室のN先輩と風呂に入り、熱海の温泉を満喫した。道後とはまた違ったとても良い泉質でした。更に部屋でも話は続き1時40分になってさすがに寝ようとなった。本当にさまざまの話で盛り上がった。翌朝は朝6時に起床しN先輩と湯前神社まで散歩をし参拝した。朝食後、玄関で集合写真を撮り、私は一路、松山へ帰った。やっぱり同窓会はいいものです。

DSC01641

DSC01648


DSC01646

温泉神社


FireWorks01

FireWorks02

FireWorks03

FireWorks04











— posted by 越智邦明 at 08:53 am  

2012/4/5

朝食抜き


糖尿病の方がやせるために朝食を抜いているという。メタボの人にも多い。
一方、昔より「朝食を抜くと太りやすい」とよく言われる。調べてみた。
県立広島大学の加藤秀夫教授の論文を読んでみた。難しいですが、末梢時計遺伝子の作用から朝食を同じ時間に取るというのは生体リズムを整える最も大事な起点で、朝食を取らないと生体リズムが狂う、と言う。
生理学的にも朝食を取らないと体は飢餓を予測し、心身の働きをセーブして脂肪をため込もうとして太り、血糖値が上昇しやすくなります。また朝から糖質が不足するとそれを補うために筋肉のタンパク質が取り崩されることにより基礎代謝が下がるため血糖値が下がりにくくもなります。そして昼、夜と空腹感が強いため、ドカ食いをしてしまうのも血糖の急上昇となります。
さて朝食を取るとしたら次に大事なのは朝・昼・夕の摂取カロリー配分です。これを4:3:3にすると2型糖尿病の人は血糖値が改善されやすくなります。
最後に就寝前食事は、そのまま脂肪として体内に蓄積されることと腸が消化活動に働くため、睡眠の質が悪くなり二重の意味でよくありません。是非食べる「時間」を気にして下さい。

img111


— posted by 越智邦明 at 03:36 pm  

2012/4/2

女性の頭痛


外来では多くの「頭痛持ち」患者と接する。
頭痛には「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」がある。群発頭痛は男性に多いが、あとは女性に多い。全国疫学調査では15才以上の日本人の片頭痛の有病率をみると女性が12.9%と男性の3.6%の3.6倍、緊張型頭痛は女性が26.4%で男性の18.1%の1.5倍となっている。
中でも片頭痛はWHOによる健康寿命を短縮する疾患の上位となっており、日常生活への支障が大きい。北里大学神経内科の小川果林先生の論文を読んでみた。
興味深かったのは、片頭痛と月経の関係である。これは200年以上前から報告されている常識だそうです。月経時の片頭痛発作はエストロゲンの減少によって引き起こされる可能性がある。これはピルを使用している女性が休薬期間になると片頭痛が増加することからも示唆される。「月経時片頭痛」の言葉は2004年の国際頭痛分類第2版に登場する。小川先生は「日常生活に支障のあるような頭痛や月経時の頭痛を訴える女性患者が来院した場合は、片頭痛の可能性と頭痛と月経の関連を念頭に診療を進めて下さい」と書いている。
そして「頭痛ダイアリー」を月経3週期以上作成してもらうそうです。
現在では片頭痛も特効薬としてイミグラン、マクサルト、ゾーミッグ、アマージ、レルパックスと数多く登場している。
片頭痛であることを自覚しておらず適切な治療を受けてない患者も多く、この方たちは薬物乱用になっていることが多い。私も的確な診療を心がけたいと思っている。

img104


— posted by 越智邦明 at 04:07 pm  

Copyright 2007 越智クリニック. All rights reserved.  ppBlog is Free & wonderful Software.