大半の人は「大したことがないだろう」と放置して2~3日してから、ズキズキした痛みで来院するハメになる。文献的には犬咬傷では、その3~18%に感染症が起こるとされ、引き続いて骨髄膜炎、心内膜炎、化膿性関節炎、敗血症性ショックを起こすとされている。微生物学的にはPasteurella属が最も多く、レンサ球菌・ブドウ球菌等が続く。数は少ないがCapnocytophagaは重症の敗血症をきたすとされている。
犬咬傷の受傷部位として最も多いのは手で約50%を占める。次に下肢と頭頚部で16%、その次が上肢で12%を占めている。
治療ではPasteurellaは、第一世代セフェムが効かないことに注意が必要である。それ以上の詳しい治療方法は述べないが、咬傷は傷の大きさが小さいのでついつい放置しがちであるが、犬咬傷では抗菌薬の予防投与がその後の感染症を減少させることが分かっている。下の写真は犬に咬まれて3日間放置して化膿させてしまった症例です。37.2℃の発熱、手指痛がひどく全治に10日かかりました。皆さん注意して下さい。