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越智クリニック
 
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2010/8/30

ピロリ菌


ヘリコバクター・ピロリ菌は今や知らない人が居ないぐらい有名になった。胃、十二指腸潰瘍の原因の一つということが判明し、感染陽性者には除菌治療が保険適用されている。
さてピロリ菌は胃がんを引き起こすバクテリアとしても知られている。胃癌死が多い日本人に於いて陽性率が高いことから、がん予防の観点からも除菌を勧められている。ところが例えばタイでは日本人と同じように、50才以上で6~7割がピロリ菌に感染しているのに胃がん死亡率は低い。10万人あたりの胃癌死亡率は、日本人の38人に対してタイは3人である。このナゾに対して研究が進められた。そこでごく最近になって分かったことは、コレステロールに善玉と悪玉があるようにピロリ菌にも善玉と悪玉があることである。
大阪大学の微生物学の山本容正教授によると、日本とタイのピロリ菌が実は別物であることがわかった。日本人のピロリ菌は「東アジア型cagA」という遺伝子を持ち、この悪玉ピロリ菌は胃壁にくっついてがん化を強烈に進めることもわかった。さきほどのタイでの調査で、胃癌になった人はやはりこの悪玉ピロリ菌が居て、他の多くの人はこの遺伝子を持たない善玉であった。
近い将来、自分のピロリ菌が善玉か悪玉かが遺伝子検査で簡単に測れるようになるようだが、それまではピロリ菌陽性なら早めに除菌をした方が良いと思われます。

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— posted by 越智邦明 at 12:18 pm  

2010/8/26

30年ぶりの再会


私が結婚したのは27才。今からちょうど30年前。松山国際ホテルで挙式したのだが、東医歯大の同級生3人(青柳、勝俣、河)も出席してくれた。
我々4人組は、大学6年間、本当に仲良く過ごした。特に、長期休暇の時は決まって全国、旅をした。本屋の息子だった勝俣君が、時刻表を片手にいつも旅のスケジュールを作ってくれて、あとの3人はその行程に乗って動くだけであった。北は北海道、南は九州まで想い出は尽きない。青柳君は脳外科医、勝俣君は皮膚科医、河君は整形外科医として、みんな関東で活躍している。私は開業して23年間、いつもこの4人組の再会を夢見てきた。そして、ついにそれが実行される時がやってきた。今年の4月に3人に次のような手紙を送った。「卒業して30年以上経ったけど、みんな元気にやっているかい?出来るなら今年中に4人で一泊して旧交を温めないかい?」と。直ちに3人からyesのmailがあり、河君の発案で私の所、松山に集合することが決まった。日にちは学会のない8月のお盆明け、8月21、22日。私は旅費、宿泊費全ての費用を私が持つことを提案した。最初は躊躇した3人も私の熱意に納得してくれた。
8月21日(土)、空港に迎えに行った私はドキドキしていた。そして到着のアナウンスのあと、多くの人に混じって3人が出て来た時は本当に嬉しかった。みんな、それ相応に年を取ったが、懐かしい面々だった。早速、自宅に連れてきて家内と会った。家内も30年ぶりで話が弾んだ。30年という空白を埋めるのは、しかし容易であった。青柳君が旅行の時の写真(アルバム)を大量に持ってきていて、みんなで拡げながら歓声をあげた。私が一番印象に残った旅行は、信州は小海線の飯盛山(めしもりやま)に登った時のことである。
八ヶ岳をバックにした小海線をちょうど汽車が走り、後ろを振り返ると富士山が見えるという大パノラマであった。勝俣君は、「あんなに気象条件が揃うことはめったにないよ。旅行に天候は付き物だよ」と感想を述べてくれた。
しばしの歓談の後、城山にロープウェイで登った。天守閣まで登り、みんな「松山は広い。大都会だ。海もあっていい所だ」とほめてくれた。その後、旅館でゆっくり道後温泉を楽しんでもらい、7時より夜の街に繰り出した。積もる話が山のようにあって、時間の経つのも忘れて話し込んだ。
翌22日(日)は、今治の糸山へ行き、瀬戸内海に架かる、しまなみ大橋を見学した。昼食で今治のおすしを堪能したあと一路、空港へ向かった。時間にしてたった24時間の滞在であったが、私にとっては、かけがえのない再会であった。
友、遠方より来る、又楽しからずや。
(左上の写真、左から河、勝俣、私、青柳)

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— posted by 越智邦明 at 11:31 am  

2010/8/23

熱中症


とにかく暑い。連日35℃を越えて、人間も動物も草木もぐったりです。
夏バテは俗称で次の3つの症状の総称です。
(その1)
発汗が多すぎて水分不足の脱水症状だけでなく、ナトリウムやカリウムなどの微量なミネラル分も排出されてしまい、体内の電解質のバランスが崩れて体調が異常になる。
(その2)
体温調節がうまくできなくなる。温度が高いだけでなく湿度も高くなり、汗の蒸発が妨げられて熱が体内にこもってしまい疲れやすくなる。また、冷房の部屋と暑い屋外との温度差が大きすぎて、体温調整の自律神経のリズムが乱れる。
(その3)
暑さによる胃腸機能の低下。そして食欲不振を招き、消化吸収の機能も落ちてしまうため栄養を取れなくなり倦怠感を催す。冷たい水分を多く取ることで胃液が薄くなり、消化不良になって食欲が落ちるという悪循環に陥る。

連日、当院にも熱中症の患者が多く訪れ、1人の老婆は入院しています。この方は貧しくて部屋に冷房がなく扇風機だけでした。なんといっても予防が第一で、次に栄養バランスのとれた食事、特に塩分を多く摂ること、又しっかりと睡眠も取るようにして下さい。
あと夏も少し。ガリガリ君を食べて乗り切って下さい。

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— posted by 越智邦明 at 01:12 pm  

2010/8/19

バナナ


果物の中で最も寿命の短いのがバナナです。
青い未熟のバナナは輸送も可能で日もちしますが、いったん中央市場の地下の室(むろ)に入れられて、30度前後で発酵させるとあっという間に寿命が尽きてしまいます。この室の中で果肉が軟らかくなり甘みが増し、独特のアミルアルコールの芳香がついて店頭に出荷されるとみなさん御存知のように、3日で黒い斑点が現われ5日目で限界です。あとは店頭に並べておけません。
以前に、くに~ず新聞に書いたようにバナナはデンプンを主とする糖質を22%も含み、ビタミンA、カロテン、B1、B2、B6、Cといったビタミンが豊富です。又有機酸を全く含まないので酸味はなく、実に甘い滋養に富んだすばらしい果物です。
さてバナナは聖書に出てくるエデンの園の知恵の実がバナナであったといわれるほど、古くからの食物です。
バナナは多量の繊維を含み、腸の蠕動運動を促進して便秘解消に役立ちます。また気管支炎を改善し、咳を鎮める作用もあります。
毎日1本いかがですか?

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— posted by 越智邦明 at 03:59 pm  

2010/8/16

A型肝炎


開業当初、今から20年ぐらい前は多くのA型肝炎の人を診断、治療しました。ここ最近は、ほとんど見なくなっていましたが、国立感染症研究所によると最近急増していると言う。A型肝炎はA型肝炎ウイルスに汚染された水や食べ物を口にすることで発症する感染症です。上下水道の完備されていない公衆衛生の劣る国に多い病気です。
症状は微熱が出て体がだるく、嘔吐や下痢を繰り返す。お腹の風邪のように見えますが、そのうち白っぽい便が出て、白目が黄色くなる黄疸が出ます。血液検査で分りますし、1カ月ほど安静にすれば完治しますが、まれに劇症化し死ぬこともあります。潜伏期は2~6週間です。
さて何故日本に増えているのか?ひとつは50才以上の年代は既にA型肝炎の抗体を持っている人が多いのですが、若い人は抗体がないため感染しやすくなっていること。このため海外旅行で感染する。2つ目の理由はカキなどを生で食べる人が増えたことです。感染研の調べでも、3~4月の感染者の4割は生ガキを食べていました。
予防は食前やトイレ後に手を洗うこと、生ものを避け火を通すこと、不衛生な国に行く時はワクチンを打つことも重要です。

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— posted by 越智邦明 at 03:15 pm  

2010/8/12

睡眠学会


8月7日(土)、東京は赤坂のグランドプリンスホテル赤坂(通称赤プリ)での学会に出席した。来年、閉館が決まっている赤プリも今まで何度も訪れたが、きっとこれが最後の機会という思い入れも手伝った。学会は、日大の内山真教授はじめ5人の著名人が次々と講演を行った。会場は500人のDr.で埋めつくされた。いまなぜ「睡眠」か?
今回よく分かったのは、まず睡眠時間と総死亡の関係が明らかになったこと。つまり5時間以下の睡眠は7~8時間に比べ高血圧、糖尿病の発症リスクが2倍になるということ。更に短い睡眠は血中のレプチンレベルが低下、グレリンレベルが上がって、結局食欲亢進、ひいては肥満を引き起こすことも分った。若年者にも研究が及び、短時間睡眠(6時間半以下)を続けると、血圧の上昇を認めたデータから、睡眠時間は高血圧の成因となることから、たかが睡眠とあなどってはいけないと思われる。ナポレオンの3時間睡眠は真似してはいけない。
さて睡眠薬には従来、ベンゾジアゼピン受容体作動薬が主流であった。その鎮静、催眠効果は一定の効果があるものの、筋弛緩作用等の副作用が夜間転倒などを引き起こす危険性も指摘されてきた。
今回、従来とは全く違った作用機序で働くメラトニン受容体アゴニストが開発された。メラトニンは脳の松果体から分泌されるホルモンで、体内時計に働きかけることで自然な眠りを誘う作用があります。メラトニンは昼間はほとんど分泌されず、夕方以降暗くなると分泌量が増えて睡眠への切り替えを促します。最近の研究ではメラトニンは、深部体温を下げ眠りを促すこと、夜間の高血圧を低下させること、交感神経の活性を抑制することなども分ってきました。そしてメラトニンは入眠促進作用が主体で、持ち越し効果や反跳性不眠等も見られず、入眠潜時を短縮し禁忌対象がない夢の薬です。
最後に自治医大の苅尾教授の次の言葉が印象的でした。高血圧患者さんには必ず「よく眠れてますか」と聞くこと。睡眠の質と量は特に血圧の管理に重要な因子であり、不眠を見つけたら積極的に介入すべきであると。
さて学会のあと、外科医の長男を赤プリに呼んでラウンジで久しぶりに談笑。その昔、私が悩んだ事を(30年前の記憶を呼び起こしながら)アドバイスした。
医者は何才になってもいくつもの壁があるようです。
「今は執刀に全精力を集中しなさい」と。
 

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— posted by 越智邦明 at 04:32 pm  

2010/8/9

後悔


大病をする前には大概、予兆がある。脳梗塞になったAさん(58才)、心筋梗塞になったBさん(60才)のお話。
Aさんは去年の春、まず手足や口の周りのしびれが10分ほどあったが放置。その半年後に今度は口が回らない、片方の目の見え方がおかしい、単語が思い出せないなどの症状があったが15分で消えたためまた放置。結局、今回、脳梗塞を発症し左片まひが残った。2回の前兆は脳の細かい血管が詰まって起こる、一過性脳虚血発作(TIA)だったのです。TIAは5年以内に10~40%の人が脳梗塞を起こすというデータがあります。
Bさんは去年の夏、胸、首、腕、あごのあたりに1~2分の痛みがあった。その後何回もあったが、5分以内には消去したため放置。この狭心症の段階で処置を受ければ良かったのですが、今回心筋梗塞を起こし心臓の一部が壊死し心不全となってしまった。
AさんもBさんも前兆があったときに病院に行けば良かったといつも後悔している。
脳と心臓、要注意です。
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— posted by 越智邦明 at 09:59 am  

2010/8/5

足切断


糖尿病は色々な合併症を起こすのはみなさん御存知の通りです。失明、透析、神経障害等の細小血管障害と心筋梗塞、脳梗塞、下肢動脈硬化症等の大血管障害に分けられる。
今回は足壊疽についてお話をします。いくら脅かしても聞く耳をもってくれないのが足壊疽。年間1万本の足が糖尿病による壊疽で切断されている。
糖尿病は予備軍も含めて1200万人以上いて、治療を受けているのは5割ほどです。何といっても血糖コントロールに尽きますが、喫煙も壊疽を進行させます。タバコ、カロリーオーバー、運動不足で医者にも行かない生活をしていると、明日はわが身です。
足切断は比率的には定年退職した年代が現在の所多いですが、高血糖状態が5~10年続くと足壊疽に至ります。最初は足趾が1本、色が変質して黒くなっているぐらいの変化ですが、これを見逃さないことです。糖尿病の世界で今やフットケアは重要なリスク管理なのです。
さて両足切断をした芸能人では何といっても、村田英雄さんを思い出す。浪曲から演歌に転身し、戦後の日本歌謡を支えた大御所。「人生劇場」「王将」など男の世界を豪快に歌った村田さんは、持病の糖尿病との闘いでもあった。2002年、享年74才で肺炎で亡くなったが、闘病経過をひもとくと、91年、糖尿病の悪化で入院。95年、心筋梗塞で入院。96年2月、心臓バイパス手術。同年3月、糖尿病性白内障で両目手術。同年5月、右膝下の切断。97年、糖尿病性網膜症で左目を手術。2000年、今度は左膝下の切断と、60才を越えてからは糖尿病の合併症に悩まされ続けた。しかしこれは私の病院に来院する多くの糖尿病患者にも起こり得る、ごくありふれた合併症なのです。
どうか、糖尿病をバカにしないで、血糖コントロールを一生続けて下さい。

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— posted by 越智邦明 at 04:49 pm  

2010/8/3

おわびと訂正


8月2日の「スイカ」の下に、ゆうちゃんの写真が写らないパソコンがあったようです。直しましたのでごらん下さい。

— posted by 越智邦明 at 09:32 am  

2010/8/2

スイカ


西瓜の字は、シルクロードを通って西の方から渡来した瓜ということで付きました。スイカは熱帯アフリカが原産のウリ科の植物で、4000年前のエジプトの壁画に描かれている古い食べ物です。
スイカは私の幼少の頃、今は亡き親父が夏が来るたびに井戸の中で冷やして食べさせてくれた想い出があります。冷蔵庫のない時代、原始的でしたが冷たくておいしかったです。
さてスイカはミネラル、特にカリウムが多量に含まれ、尿の出をよくしてむくみを取り、含まれる果糖と共に腎臓病の改善に役立つ食効をもたらします。スイカの果汁で作ったおかしの西瓜糖も腎臓病の薬としてよく用いられていました。
また、消熱作用といって外温の熱気で亢進しすぎた体の代謝機能を正常に戻し、余分なほてりを取ってくれ暑気あたりを防ぎます。ウリ科の植物の果実には全てこの消熱作用があり、インドではキュウリが、沖縄ではヘチマの実が料理に使われています。
中国の南京や漢口では、スイカがよく食べられています。種子は強壮剤として中華料理の前菜になるそうです。
最後に、最近のゆうちゃん。宇和島の牛鬼まつりでは、全く泣かなかったそうです。

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— posted by 越智邦明 at 05:03 pm  

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