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2010/6/21

鈍感力


開業医として23年も生きていると、さまざまなアカがたまってくる。大きくストレスと言ってもさまざまなものがある。外来患者をさばくこと、入院患者のケアをすること、はもちろんであるが、患者さんの性格もさまざまであり、各々への対応でも頭を悩ます。私自身も男性更年期ではないかと考え込む瞬間が増えてきた。そんな時に、仲の良い開業医のI君が「越智君のように仕事をしているとパンクするよ。患者、職員、家族・・・きりがないよ。渡辺淳一の「鈍感力」(集英社文庫)を読んでみたら」と勧めてくれた。早速、買って読んでみた。
結論を言うと、長い人生の途中、苦しいことや辛いこと、さらには失敗することなどいろいろある。そういう気が落ち込むときに、そのまま崩れずまた立ち上がって前に向かって明るく進んでいく。そういう、したたかな力を「鈍感力」といっているのである。子育て論では、子供がなにかいいことをしたときにすぐに「お母さん、あれには感心したよ」「よく頑張ったね。素晴らしかった」とたたえてやる。子供は単純な生き物だから、ほめられることで嬉しくなり、自信がつき、鈍感力を身につける。そして成長して社会に出たら、ミスを犯して叱られたとき、くよくよせず新しく前に向かって進んでゆく。このとき大切なことは失敗したりミスしたことは極力忘れるようにする。代りに上司からほめられたりしたら、そのことを頭に貯え、その時々に思い出すようにする。このいい意味での楽天主義が自分の心を前向きにし、したたかな鈍感力を培うと氏は説いている。
第2章に健康論を述べている。健康であるために最も大切なことは、いつも全身の血管がさらさらと流れることです。この血管をコントロールしているのが自律神経です。この神経を変に刺激せず、いつもリラックスさせておくことが肝心です。人生ではあまりくよくよせず、、他人に嫌なことを言われてもすぐ忘れる。このいい意味での鈍さが精神の安定と心地よさにつながり、ひいてはそれが血の流れをスムースに保つことになる、とあります。自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、血管がいつも開いていて血がさらさらと流れるためには副交感神経が支配している状態にすること、逆に言うと、交感神経が働かない状態にしておくことが必要です。それは精神的な緊張、不安、イライラ、不快感、怒り、憎しみなどをすぐに忘れ去ることです。
第17章のしめくくりに氏は次のように述べています。鋭いとかシャープであることだけが才能ではありません。それ以上に些細なことで揺るがない鈍さこそ、生きていくうえでもっとも大切で基本になる才能です。
「鈍感力」-身につけたいものです。

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— posted by 越智邦明 at 04:28 pm  

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