毎年、山で痛ましい事故があっても登山客は跡を絶たないのは、山に魅力があるからだと思う。
母校の先輩S先生はヒマラヤで遭難して30才でこの世を去った。後輩のA君は入局した時から登山、特にロッククライミングが好きで街を歩いていてもよじ登れそうな所はさっと登ろうとするその仕草に同僚のDr.もあきれ返った。
さて日本山岳協会事務局長の尾形好雄氏が言う。「トムラウシ山の悲劇は雨に濡れ、風を受けたのが一番の原因。人の体は風速が1m増すごとに体感温度が1度下がります。基礎体温が下がると意識がもうろうとして幻聴や幻覚に襲われます。」
では夏の山登りでは何に注意すべきか?
①地図とコンパスは必需品
日帰りのハイキングでも地図、コンパス、ヘッドランプは必需品です。日没後や濃霧のときはヘッドランプが便利。両手があくので安全性が高まる。
②装備で体温低下を防ぐ
山は1000m登ると気温が6度下がる。濡れてもすぐに乾く新素材の肌着の上にウールのシャツとフリースの上着を着る。雨のときはゴアテックスの雨具を着て体温の低下を防いで下さい。私は昔、ゴルフ中に安いレインウェアーを着ていたら大雨でしみこんでベトベトになり風邪を引きそうになりました。それ以来、少し高価ですがゴアテックスにしました。1滴の雨水も通さないのは血管外科で人工血管に使うことからも明白です。
③寒さに備えてタンパク質
タンパク質や脂肪の豊富な食べ物を持って行く。アメやチョコなどの行動食のほか非常食としてコンデンスミルクなどもお勧めです。
④スクワットで鍛える
下山のときは膝が疲れて踏ん張りがきかず思わぬケガになります。ジョギングやウォーキングでは不十分で、スクワットで足腰を鍛えて下さい。
⑤登山計画書が命を救う
遭難したときのために登山計画書を作成し、登山口の投函箱に入れておく。そうすると救助隊が捜索ポイントを的確に把握できます。
どうか楽しい登山を心がけて下さい。