復習してみましょう。大工が落とした3両のお金を左官が拾って届けてやる。だがそんなものを受け取るのは江戸っ子の気性に合わない。「拾ったてめえにくれてやる」大工はそうタンカを切る。プライドを傷つけられた左官が怒って大工を奉行所に訴える。越前守が登場して、問題の3両に1両を足して2で割って大工と左官に2両ずつわけてやる。「2両ずつを両人にほうびとしてつかわす。2人とも3両懐に入るところを2両となったのだから1両の損。奉行も1両出したのだから1両の損。これ呼んで三方一両損なり」で無事解決した。
さてこの話を実際に政治の場に持ち込んで成功した国がある。同志社大の浜矩子教授が以下のように言う。その国はオランダである。1980年代にオランダは大インフレに見舞われた。それを克服するために政・労・使の三者がそれぞれ少しずつ我慢した。政府は税収増を諦めて企業減税を行い、労組は賃上げ要求を取りやめ、企業は人員削減を見送った。かくしてインフレに歯止めがかかった。
トラブルの多い現代社会。みなさんも名奉行になってトラブルを解決してみませんか?