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2011/4/11

つれづれなるままに


今回の放射能の問題は、政府も東電も「想定外」だと言う。想定外の現実の恐ろしさという点で、私はイソップ物語の「かえると牛」を読み直した。しばらくお付き合い下さい。
大きい体が自慢のカエルがいた。そのカエルは村で一番大きな体をしていて、それが日頃の自慢でこの世に自分より大きな生き物はないと信じていた。ある日のこと。牛を見た子どもカエルがおとうさんに「ものすごく大きな生き物を見た」と言うと、おとうさんは空気をいっぱい吸いこみ腹を膨らませ「その生き物はこれより小さいだろう」と言った。子どもが「もっとずっと大きい」と言ったものだから、思いっきり空気を吸って腹を膨らませたところ、腹が破れてしまった。というくだりである。
自分の狭い世界で安住していると、想定外の出来事にパニックになるという教えとも取れる。「危機管理」と言うのは、いつも「想定外」に対する管理ではなかろうか。
首相はいつも「みんなで乗り切ろう」と精神論ばかりであり、そこにはリーダーシップが感じられなければ又、国民への毎日のメッセージもない。すべては枝野さんにお任せである。直近の読売新聞の世論調査で「首相は指導力を発揮していない」が69%に達した。
ここで歴史作家の加来耕三氏のコメントを引用する。
「日本には権力者が国民を守った歴史はありません。鎌倉幕府の8代将軍、足利義政は日本全土を10年間混乱させた応仁の乱のときも、政務を人に任せ酒宴に明け暮れていた。日本の指導者やエリートは昔から無責任で保身第一なのです」と。
「A級戦犯の岸信介はその後、首相になったし、戦争を主導した旧内務省も形を変えて生き残った。大本営発表の垂れ流しで、戦争の片棒を担いだ大新聞も素知らぬ顔である。」
原発推進の責任者は責任を取るのか、封じ込めに失敗した行政はどうするのか?
歴史はくり返されることを忘れてはいけない。

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— posted by 越智邦明 at 04:34 pm  

2011/4/7

唾液


唾液についてみなさん考えたことがありますか?
唾液中には、水・粘液と共に殺菌作用を有するリゾチームやペルオキシダーゼ、高濃度の上皮増殖因子(EGF)、アルカリとして重炭酸が含まれている。
唾液が色々な事で減少すると、食べ物を水と粘液で塊にまとめて食道内に送りにくくなります。
そして口腔内の洗浄、殺菌作用が低下し菌が過剰増殖するため、誤嚥性肺炎やむし歯が発症しやすくなる。また食道内へ逆流してきた胃酸の中和ができにくくなるため、逆流性食道炎が起こりやすくなる。このような唾液の生理機能を知って動物の行動をみてみると、イヌやネコが傷口をペロペロと舐めているのは、殺菌とEGFによる傷の治癒を行っているのです。昔、ケガをしたときに「つばをつけておいたら治る」と言われたのは決して理屈がない訳ではありません。
さて「唾」はことわざにも多用されています。
「天に唾す」「吐いた唾は呑めぬ」「眉に唾をつける」「唾をつける」等々。
どうか唾液に感謝して生活して下さい。

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(追伸)
3月27日に義母(後藤田艶子)の一周忌を行った。
みんな集まり、墓前に手を合わせた。ゆうちゃんも神妙な面持ちで参列した。母も天国での生活に、すっかりなじんだと思っている。会食はゆうちゃんの仕切りで楽しく終わった。
義弟(東京)家族に何とか水を送ってやれないかと案じている。

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— posted by 越智邦明 at 05:08 pm  

2011/4/4

心原性脳梗塞(新薬)のお話


心房細動という不整脈。さまざまな併害を起こすが、何といってもオシムや長嶋さんを襲った脳梗塞が恐い。心房細動で心臓内の血液がよどむと血の塊(血栓)が出来、それが脳に飛んで心原性脳梗塞を起こす。そのため心房細動の人は血を固まりにくくする、抗凝固薬を飲む必要がある。
現在、第一選択薬はワーファリンだが、これは効き目の調節が難しく定期的な採血が必要で正直、煩しい。
そこで今年1月に承認されたダビガトラン(プラザキサ)が注目を集めている。ワーファリンが、納豆はじめ色々な食品との相互作用に注意が要ったのに対し、プラザキサは圧倒的に注意点が少ない。又、定期的な血液チェックがいらない。更に言うと手術を受けるときにワーファリンは何日も前から中止の必要があったが、プラザキサは手術の前日にやめて、手術が終わったらすぐ再開できるという大きなメリットがある。ワーファリンに対する優越性が半世紀ぶりに認められたプラザキサ。もちろん両者共、血を固まりにくくするのだから、消化器管等の手術や生時検時の出血には注意が必要である。検査や通院の煩わしさからプラザキサに流れる人が多いのではと私は考えている。

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— posted by 越智邦明 at 04:00 pm  

2011/4/1

くに〜ず新聞


くに~ず新聞Link  2011年 春号 Vol.36 を掲載しました。
 
左のメニューの くに~ず新聞 をクリックするか、ここLink をクリックして御覧ください。

— posted by 管理人 at 06:16 am  

2011/3/31

福島県への思い入れ


24日、福島県須賀川市の野菜農家の男性(64才)が首をつって命を絶った。野菜摂取制限の指示が出た翌日。遺族は「原発に殺された」と悔しさを募らせている。とても痛ましい事件であるが今後、同様の事例が増えることが予想される。
私事であるが、福島県は私には特別な思いがある。あれは27才。大学の関連病院が福島県郡山市にあり(太田総合病院)、私は外科研修を1年間行ったのである。昭和55年10月に結婚して、家内も半年間郡山で生活をした。福島県はとてもいい所で農業県であり又、観光にも力を入れていた。猪苗代湖、磐梯山、五色沼、会津など見所は多く、私もよく行った。(写真左は磐梯山、右は五色沼)。冬は磐梯スキー場にナイターで先輩と何回も行ったし、職員ともよく飲んだ。特に親しかったレントゲン技師のS君は須賀川から通勤していたので、よく覚えていた市である。福島県人は東北の人らしく、多くは語らずとも誠実な県民性である。手術のお礼にと野菜や果物をよくいただいた。あの福島が放射能にやられてしまったことは本当に悲しい。あんないい人達が・・・と思うと胸が張り裂けそうである。
今、出来ることは募金しかないが、最後に募金の話。
世の中にはコツコツとコインを貯めてくれる人が居る。写真のような寄付をお2人からいただきました。私も見習いたいと思います。
感謝です。

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— posted by 越智邦明 at 01:10 pm  

2011/3/28

かすれ声


医学用語で「嗄声」(させい)。
母校、東医歯大の頭頚部外科の岸本誠司教授の論文から調べてみた。
我々開業医で診る「声がすれ」は風邪による喉頭炎で、内服や吸入で1W以内で治る。
問題は、声がすれが「2週間以上続く」「1日中声がかすれる」「大声が出ない」のどれかに該当する時は病院に行くべきです。
病気は次の3つに分かれます。①声帯そのものの病気②声帯の動きが悪くなる病気③声を出す力が衰える病気。
①は「声帯ポリープ」や」「声帯結石」「喉頭炎」。よく歌手等でポリープを切った話を耳にします。
②は脳腫瘍と上咽頚、食道、肺、甲状腺のガンの浸潤で声帯に関係する神経がマヒしたため声がかすれる。
③は肺炎やCOPDなどの肺機能障害、筋無力症等によります。
カラオケで十八番が歌えなかったらまずは耳鼻科受診がお勧めです。
(追伸)
毎日暗い話ばかりで気が滅入りそうになります。そんな時、ゆうちゃんの笑顔でも見て少しでも心が和んでくれたらと思います。赤ちゃん達はみんな放射能の事件は知りません。この子達が無事に育ちますように、みんなで原発封鎖が成功することを祈りましょう。

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— posted by 越智邦明 at 12:31 pm  

2011/3/26

計画停電


これは困った事態である。私の友人O君は埼玉で20年以上、整形外科の開業医(無床)をしている。先日、夜9時に電話を入れた。それは彼の地域が第3グループに属し、その日も昼間停電が行われていたことを知っていたからだ。開口一番、O君は「もう開業医をやめたいよ。毎日毎日、半日は停電で、これが来年の冬まで続くと聞いて、うつがひどくなった。」と。当然収入減で、かといって職員の給料は減らせないから、来月は赤字になりそうとの事。彼は、以前よりうつがあり、薬を飲みながらの診療であったが、今回の停電騒動は更に追い討ちをかけているようだった。「越智君、もう関西へ引っ越してのんびり開業医をしたいよ。しかし関西は身内が誰もいないからなあ」と寂しくつぶやいた。
さて関東東北が電力不足で困っているのは、(廃炉にすることが決まった福島原発を除いても)、福島と茨城にあった火力発電所がダウンしたことが大きい。東京電力の今の電力パワーは3500万KW。夏場の需要は6000万KW、冬場は5000万KW、と予測されている。
では関西から電力を供給してはどうなのか、という素朴な疑問がわく。これは調べてみると、ヘルツの変換装置建設に10年かかるそうで、全く無理との事。現在、いったん休止した火力発電所の再起動などが行われているが、計画停電は1年以上続くのは間違いなさそうである。産業、経済、教育全てが集中する首都圏。かつてない難局を菅首相がいかに乗り切るのか。その手腕にかかっている。
話は変わって、当院の薬の話。新聞報道にもありますが、甲状腺のクスリ「チラージンS」が極端な品不足です。製造元のあすか製薬の「いわき工場」がやられたためですが、甲状腺機能低下症の方にとっては、このクスリは生命線です。1日1錠の人もいれば、3~4錠必要な人もいますので深刻です。保団連は住江会長名で、チラージンSの緊急輸入を政府に要請しました。それと経鼻、経管栄養だけで生きている当院に入院中の高齢の患者さん。エンシュアリキッドが一番合っているので毎日使用していたが、この薬も販売中止に。代替品もままならず、外来で取りに来られる人の分を全部お断りして、何とか1カ月分は確保。しかしその後の見通しは立っていない。娘さんに状況を説明した。「みんなで苦労を分かち合うしかありません」との返答。医療分野にとどまらず、色々な所に支障が出てくると思われます。
頑張って乗り切るしかありません。

— posted by 越智邦明 at 04:11 pm  

2011/3/24

震災について感じること


震災のあと、当院の患者さんの意識がものすごく変わった事を感じる。いつもなら「肩が痛い、腰がいたい」と不平不満を言いながら治療に来ていた高齢の方たちが、口をそろえて「私らは、ごはんも電気もあって幸せや。腰がいたいじゃの言うてぜいたくや。本当に東北の人らはかわいそうや」と。先日も書いたが日本人の「互助の精神」。震災は確かに不幸であったが、日本人全体の「幸せに慣れた」マインドをもう1度変革するのにいい機会ではなかったかと考えている。みんなが気持ちでつながり、明治維新、戦後復興に続く「三度目の奇跡」を起こそうではありませんか。
さて、愛媛保険医協会でも募金活動を行っています。初日は12,506円集まりました。感謝です。協会会員(医師、歯科医師)にも1000円×( )口といった形で振込用紙を発送していますが、先日、ある医科開業医の先生から100万円の寄付をいただきました。医療経営はどこも厳しい折、頭が下がる思いです。是非1円でも多くの義援金をお願いしたいと思っています。

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— posted by 越智邦明 at 04:03 pm  

2011/3/22

大学同窓会


3月3日号と違って今回は東医歯大の四国ブロック同窓会が3月12日(土)、高知で行われた。はりまや橋の近くの「つるはら」という料亭で行われたが、出席者は7名と少なかった。9名の予定であったが、愛媛のJ先生は息子が長野で地震で被災し、娘がロンドンへ旅立つ予定がやはり地震でキャンセルになり、急遽上京のため欠席。高知のK先生は高知県庁に勤めているが、地震で東北へ派遣する医師の準備のため急遽来れなくなったと欠席。地震の被害はこんな所にも出ました。
同窓会は各先生の生きざまを見るいい機会なので、積極的に参加しています。高知のF先生は開業27年目と。上には上が居るものだと改めて感心しました。U先生は70才であるが、息子(38才)が4月に帰ってきて整形外科医院をやるということで、喜色満面であった。医院の名前は何がいいか等、みんなで話しあった。ゴルフが趣味で自分の所は黒潮カントリー、土佐カントリーが近いので是非今度一緒に回りましょうと誘われた。ゴルフと言えばU先生は昨年、黒潮カントリーでプレー中に携帯が医院より鳴り、患者が腹痛を訴えていると連絡がありました。こんな時に医師は困りますが、U先生は思い切ってプレーをやめ患者宅へ往診。すると腹膜炎を起こしており、直ちに救急搬送しました。結果は「特発性S状結腸穿孔」でopeになって一命を取り留めたとか。U先生のそんな秘話に、私も改めて身がひきしまる思いでした。M先生は高知でも有名な近森病院に勤めている。医師数100人というから本当に驚きである。S先生(女医)は40才と若い。夫も医者で10才と8才の子供を抱え、子育てと勤務医の両方をこなしているスーパーウーマンであった。幹事をしてくれたT先生(女医)は、麻酔科医として経験豊富。そろそろ定年後の人生設計が気になると話をされた。
記念写真を撮った後、2次会は有名な「赤い靴」に集まり談笑した。そして来年の香川での再会を期して散会となりました。
(追伸)
震災に対し外国メディアは「核の大惨事に備えて避難地域を広げよ」「チェルノブイリにならい施設全体をコンクリートで固めて、放射性物質を封じよ」と厳しく指摘している。これに比べて我が国菅首相のリーダシップのなさが露呈している。孤立している人達へは一刻も早く、自衛隊ヘリなどで物資をパラシュート降下していけばいいのだが、一向に動こうとしない政府に苛立ちを覚える。ヘリ視察というパフォーマンスをやっている間に初動が遅れた菅首相。東電批判の前にやる事はたくさんある。さて赤ちゃんが西へ西へと疎開ラッシュとなっている。日本人は阪神大震災の際にも見られたように、危機に直面すると他人を思いやる気持ちが強くなる。世界に誇るべき、互助の精神である。列島パニックが早く収まることを願っている。

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— posted by 越智邦明 at 08:27 am  

2011/3/19

大地震の反省


今回、仙台から3ヵ月に1回通院しているTさん。安否が心配で何度もTELするも通じず。予定の3月14日にはたして来るのか、かたずをのんで待っていたら、無事来院。抱き合いました。仙台の若林区という所はTVでも何回も取り上げられ、多数の海に呑まれた死体が300体と聞いていたのでTさんに質問しました。今回被害に遭ったのは若林区でも海岸沿いの地域だったそうです。残念だったのは「10mの津波が来るぞ」という警報が何回も鳴ったのに、無視した人はみんなやられたと言ってました。Tさん宅は内陸部だったので揺れで多くの皿が割れたが、その程度で済んだ由。
さてどうして逃げなかったのか?色々な情報を整理していると、武蔵野学院大学の島村英紀教授(地震学)の文献が気になりました。先生は「気象庁の津波警報が信頼を失ったからではないか」と指摘する。十勝沖も紀伊半島も気象庁は数mの津波が来ると予報したがこれが外れた。こうした間違った予報のせいで、住民がいつしか警報を重要視しなくなった。今回の大津波の2日前の宮城県北部の震度5弱の地震でも気象庁は津波警報を出したが、実際は石巻市で50cm、大船渡市で60cmだった。要するに警報が、オオカミ少年のように信用されなくなった。では、どうしたらいいのか?先生はもっと正確な数字を得るために、海底津波計を使うと良いと言う。現実は釜石の沖に2台しか設置されていない。
予算の見直し論議が民主党政権でよく行われているが、天下り機関に投下する予算があるのなら、こういった計測器をどんどん投入すべきだと思う。何といっても日本は地震大国なのだから。

— posted by 越智邦明 at 02:26 pm  

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