Zがアルファベットの最後の文字であることから「この戦いに敗れれば後がない」という意味で、海戦の時に用いられることとなりました。
イギリスのネルソン提督が1805年トラファルガー海戦の時にはじめて用いました。それから100年後の1905年、5月27日、日本海海戦において日本連合艦隊旗艦「三笠」がネルソンに倣い「皇国の興廃この一戦にあり。各員奮励努力せよ」との意を込めZ旗が掲げられました。日本海海戦の大勝利の後にも日本海軍では重要な海戦の際にZ旗を掲げることを慣例化しています。真珠湾攻撃の際、奇襲部隊の空母「赤城」もZ旗を掲げています。今日ではスポーツ競技、選挙、受験、企業の開発競争など勝利を祈願する「一戦」に於いて用いられています。いくつかの例をあげましょう。
トヨタ自動車は1966年、日産サニーに対抗する新エンジンの開発を急いでいました。その時の関連書類にはすべて朱色の「Z」印が押されました。日本海海戦のZ旗に因んで「すべての作業に優先せよ」という意味が込められていました。こうして誕生した車が「初代カローラ」です。
スポーツカー開発に社運をかけた日産自動車は開発工場に「Z旗」を掲げました。誕生した車が「フェアレディZ」です。
2007年箱根駅伝で5年ぶりのシード権を獲得した古豪早稲田大学のエンジの襷には勝利を願う「Z旗の勝守」が縫いつけられていました。