以前にお話した往診に行っているおばあさん(Kさん)。3月で95才になる。「いつまで生きることやら。もう長くはないよ」「いやいや、あと5年は生きて、100才のお祝いをしようよ」といつもの会話。散歩は無理だが2本足でヨロヨロ歩いて庭にも出れるので幸せである。彼女が、別れ際に「先生には何もあげるものがない。せめて庭のさざんかでも摘んで帰ってくれ」と数本のさざんかの蕾をくれた。私はこういった蕾を活けるのは大好きである。開花に向けての毎日がワクワクするのである。またさざんかは童謡「たきび」の歌詞(2番)に登場することでもよく知られている。「さざんか、さざんか、咲いた道・・・・」。他に、演歌「さざんかの宿」も私のお気に入りである。院長室でさざんかを眺めながら、「たきび」を口ずさみつつ、Kさんの長生きを楽しみにしている。