チョウジは熱帯圏に生息するフトモモ科の常録高木で花蕾は釘に似た形をしているため、中国では釘を意味する「丁子」の文字があてられ英語のClove(クローブ)もこれを語源とします。
インドネシアのモルッカ諸島が原産。モルッカは香料諸島として知られています。ヨーロッパへは紀元前から中国人やアラビア人によって運ばれていました。
大航海時代になるとコショウ、ナツメグとともにスパイス貿易の中心的な商品となりました。日本にも5~6世紀には紹介され、奈良の正倉院には8世紀に渡来した丁子が保存されています。
チョウジは枝の先に花序を出し多数の花をつけます。花が開く前の花弁が丸く閉じている時期のものを採集して乾燥させます。丁子は強い匂いと焼けるような味があり芳香性健胃薬とされ、漢方ではしゃっくり止めのシテイトウに配合されています。また丁子油は殺菌作用と鎮痛作用があるために、歯科医で虫歯の処置に使われます。この匂いを嗅ぐと歯医者を思い出す人がいるでしょう。またこの香り(オイゲノール)を嫌うのでゴキブリ除けとしても使用されます。その他、日本刀のさび止めにも用いられます。インドネシアでは丁子油で香りをつけたタバコもあるそうです。