最近この病気が増えてきた。概念としては新しい。ふつう尿意は寒くなったり緊張すれば催すが、そういうことに関係なくしょっちゅうトイレに行きたくなる。タクシードライバーの患者Aさん(48才)は「最近トイレの回数が急増した」と来院。お客さんを降ろすとすぐに近くの公衆トイレへ駆け込む。しかも、さっきしたばかりなのに30分もすると急にまた行きたくなる。タクシー乗り場で列をなすのが苦痛になっていた。診断結果は「過活動膀胱」。「急に尿意をもよおす」「トイレまで我慢できず失禁する」など尿意切迫感を主な症状とする疾患である。通常、膀胱は尿がたまると大脳の指令で筋肉を収縮させ尿を排出する。ためる時はその指令がないので筋肉の収縮は行われない。しかしOABでは尿をためている途中でも大脳とは関係なく勝手に膀胱が収縮するために尿意を起こしてしまうのです。
日本には40才以上で800万人の患者がいると言われている。幸い、最近OABの特効薬が出現して、さきほどのAさんも著効。全く気にならなくなってタクシードライバーを続けている。医学の進歩のおかげである。