新潟大脳神経学教授の田中力先生の論文を読んで面白かったので紹介します。
古来「冥界への案内は犬がする」と言われてきた。世界中で犬は死の世界と大きな結びつきを持って描かれている。鼻が利くので暗闇でも間違いなく案内ができるからだと言う。盛者もやがては衰える。強者が弱者に変わった途端に「仕返し」と「裏切り」が待っているのが世の常である。それでも犬は裏切らない。最も弱い立場にある死者でさえも犬だけには、絶対的な信頼を置くことができるのである。神として有名な犬は、エジプトのアヌビスである。アヌビスは死に関わる儀式のほとんどを仕切る。ギリシャ神話で死の国の門を守るのも、ケルロベスという多頭の犬である。
さて、田中先生は「脳科学の立場から見て、賢さと謙虚さのバランスが取れている哺乳類は狼である。狼から派生した犬は、媚も売らないが主人としての人間を絶対に裏切らない。自分を犠牲にしてまでも守ろうとする」と力説している。
どのような厳しい状況になろうとも犬は、主人のそばから離れない。忠犬ハチ公を思い出す。いつでも一緒にいてくれると信じ切れる安心感は、何ごとにも変え難いものがある。どのような時にも優しさを忘れてはならない医師にとって、犬は見習わなければならない師匠なのである。
人が死を迎えるとき、医師は犬にならなければならない。
(追伸)
ゆうちゃんはパパの遅い夏休みで、軽井沢へ行ったそうです。
いつものように物おじせず、ワンワンがとても気に入ったそうです。やはりヒトは生まれながらにして、犬に親近感を覚えるようです。旅をすっかり満喫した、ゆうちゃんでした。