今後、糖尿病の治療を一変させるといわれる「インクレチン」なる薬の説明会であった。従来の薬剤は血糖降下薬と言われ、高血糖を是正することはできても糖尿病の成因そのものには関与してこなかった。ところがインクレチンは、膵臓のβ細胞保護効果を有し、糖尿病を根本から治す可能性のある薬である。特に糖尿病にかかった人なら誰もが一度は経験する「低血糖発作」がほとんど起こらないのも魅力である。
会場は700人を超えるDr.であふれた。糖尿病治療の限界をひしひしと感じているDr.達が、更なる治療の発展の為にと講演に集まった訳である。世話人はインクレチンならこの人と言う、関西電力病院の清野裕(せいのゆたか)先生。秋田大学の山田教授を始め、糖尿病の権威達の話を目のあたりにすることで、従来の糖尿病知識のおさらいが出来た事も学会の利点である。そこには書物からは入ってこない一種のワクワク感が存在するのである。Session2で、米国のDr.による「海外におけるインクレチンの治療戦略」と題して、英語の講演があったがこれも大変為になった。しかし総じて糖尿病治療は世界的にも日本が一番進んでいるように思われた。学会で得た新しい知識を基にますます糖尿病治療のレベルアップを誓って大阪を後にした。
尚、尊敬する清野先生と記念写真を撮らせていただきました。