今回は足壊疽についてお話をします。いくら脅かしても聞く耳をもってくれないのが足壊疽。年間1万本の足が糖尿病による壊疽で切断されている。
糖尿病は予備軍も含めて1200万人以上いて、治療を受けているのは5割ほどです。何といっても血糖コントロールに尽きますが、喫煙も壊疽を進行させます。タバコ、カロリーオーバー、運動不足で医者にも行かない生活をしていると、明日はわが身です。
足切断は比率的には定年退職した年代が現在の所多いですが、高血糖状態が5~10年続くと足壊疽に至ります。最初は足趾が1本、色が変質して黒くなっているぐらいの変化ですが、これを見逃さないことです。糖尿病の世界で今やフットケアは重要なリスク管理なのです。
さて両足切断をした芸能人では何といっても、村田英雄さんを思い出す。浪曲から演歌に転身し、戦後の日本歌謡を支えた大御所。「人生劇場」「王将」など男の世界を豪快に歌った村田さんは、持病の糖尿病との闘いでもあった。2002年、享年74才で肺炎で亡くなったが、闘病経過をひもとくと、91年、糖尿病の悪化で入院。95年、心筋梗塞で入院。96年2月、心臓バイパス手術。同年3月、糖尿病性白内障で両目手術。同年5月、右膝下の切断。97年、糖尿病性網膜症で左目を手術。2000年、今度は左膝下の切断と、60才を越えてからは糖尿病の合併症に悩まされ続けた。しかしこれは私の病院に来院する多くの糖尿病患者にも起こり得る、ごくありふれた合併症なのです。
どうか、糖尿病をバカにしないで、血糖コントロールを一生続けて下さい。