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越智クリニック
 
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2010/8/12

睡眠学会


8月7日(土)、東京は赤坂のグランドプリンスホテル赤坂(通称赤プリ)での学会に出席した。来年、閉館が決まっている赤プリも今まで何度も訪れたが、きっとこれが最後の機会という思い入れも手伝った。学会は、日大の内山真教授はじめ5人の著名人が次々と講演を行った。会場は500人のDr.で埋めつくされた。いまなぜ「睡眠」か?
今回よく分かったのは、まず睡眠時間と総死亡の関係が明らかになったこと。つまり5時間以下の睡眠は7~8時間に比べ高血圧、糖尿病の発症リスクが2倍になるということ。更に短い睡眠は血中のレプチンレベルが低下、グレリンレベルが上がって、結局食欲亢進、ひいては肥満を引き起こすことも分った。若年者にも研究が及び、短時間睡眠(6時間半以下)を続けると、血圧の上昇を認めたデータから、睡眠時間は高血圧の成因となることから、たかが睡眠とあなどってはいけないと思われる。ナポレオンの3時間睡眠は真似してはいけない。
さて睡眠薬には従来、ベンゾジアゼピン受容体作動薬が主流であった。その鎮静、催眠効果は一定の効果があるものの、筋弛緩作用等の副作用が夜間転倒などを引き起こす危険性も指摘されてきた。
今回、従来とは全く違った作用機序で働くメラトニン受容体アゴニストが開発された。メラトニンは脳の松果体から分泌されるホルモンで、体内時計に働きかけることで自然な眠りを誘う作用があります。メラトニンは昼間はほとんど分泌されず、夕方以降暗くなると分泌量が増えて睡眠への切り替えを促します。最近の研究ではメラトニンは、深部体温を下げ眠りを促すこと、夜間の高血圧を低下させること、交感神経の活性を抑制することなども分ってきました。そしてメラトニンは入眠促進作用が主体で、持ち越し効果や反跳性不眠等も見られず、入眠潜時を短縮し禁忌対象がない夢の薬です。
最後に自治医大の苅尾教授の次の言葉が印象的でした。高血圧患者さんには必ず「よく眠れてますか」と聞くこと。睡眠の質と量は特に血圧の管理に重要な因子であり、不眠を見つけたら積極的に介入すべきであると。
さて学会のあと、外科医の長男を赤プリに呼んでラウンジで久しぶりに談笑。その昔、私が悩んだ事を(30年前の記憶を呼び起こしながら)アドバイスした。
医者は何才になってもいくつもの壁があるようです。
「今は執刀に全精力を集中しなさい」と。
 

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— posted by 越智邦明 at 04:32 pm  

2010/8/9

後悔


大病をする前には大概、予兆がある。脳梗塞になったAさん(58才)、心筋梗塞になったBさん(60才)のお話。
Aさんは去年の春、まず手足や口の周りのしびれが10分ほどあったが放置。その半年後に今度は口が回らない、片方の目の見え方がおかしい、単語が思い出せないなどの症状があったが15分で消えたためまた放置。結局、今回、脳梗塞を発症し左片まひが残った。2回の前兆は脳の細かい血管が詰まって起こる、一過性脳虚血発作(TIA)だったのです。TIAは5年以内に10~40%の人が脳梗塞を起こすというデータがあります。
Bさんは去年の夏、胸、首、腕、あごのあたりに1~2分の痛みがあった。その後何回もあったが、5分以内には消去したため放置。この狭心症の段階で処置を受ければ良かったのですが、今回心筋梗塞を起こし心臓の一部が壊死し心不全となってしまった。
AさんもBさんも前兆があったときに病院に行けば良かったといつも後悔している。
脳と心臓、要注意です。
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— posted by 越智邦明 at 09:59 am  

2010/8/5

足切断


糖尿病は色々な合併症を起こすのはみなさん御存知の通りです。失明、透析、神経障害等の細小血管障害と心筋梗塞、脳梗塞、下肢動脈硬化症等の大血管障害に分けられる。
今回は足壊疽についてお話をします。いくら脅かしても聞く耳をもってくれないのが足壊疽。年間1万本の足が糖尿病による壊疽で切断されている。
糖尿病は予備軍も含めて1200万人以上いて、治療を受けているのは5割ほどです。何といっても血糖コントロールに尽きますが、喫煙も壊疽を進行させます。タバコ、カロリーオーバー、運動不足で医者にも行かない生活をしていると、明日はわが身です。
足切断は比率的には定年退職した年代が現在の所多いですが、高血糖状態が5~10年続くと足壊疽に至ります。最初は足趾が1本、色が変質して黒くなっているぐらいの変化ですが、これを見逃さないことです。糖尿病の世界で今やフットケアは重要なリスク管理なのです。
さて両足切断をした芸能人では何といっても、村田英雄さんを思い出す。浪曲から演歌に転身し、戦後の日本歌謡を支えた大御所。「人生劇場」「王将」など男の世界を豪快に歌った村田さんは、持病の糖尿病との闘いでもあった。2002年、享年74才で肺炎で亡くなったが、闘病経過をひもとくと、91年、糖尿病の悪化で入院。95年、心筋梗塞で入院。96年2月、心臓バイパス手術。同年3月、糖尿病性白内障で両目手術。同年5月、右膝下の切断。97年、糖尿病性網膜症で左目を手術。2000年、今度は左膝下の切断と、60才を越えてからは糖尿病の合併症に悩まされ続けた。しかしこれは私の病院に来院する多くの糖尿病患者にも起こり得る、ごくありふれた合併症なのです。
どうか、糖尿病をバカにしないで、血糖コントロールを一生続けて下さい。

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— posted by 越智邦明 at 04:49 pm  

2010/8/3

おわびと訂正


8月2日の「スイカ」の下に、ゆうちゃんの写真が写らないパソコンがあったようです。直しましたのでごらん下さい。

— posted by 越智邦明 at 09:32 am  

2010/8/2

スイカ


西瓜の字は、シルクロードを通って西の方から渡来した瓜ということで付きました。スイカは熱帯アフリカが原産のウリ科の植物で、4000年前のエジプトの壁画に描かれている古い食べ物です。
スイカは私の幼少の頃、今は亡き親父が夏が来るたびに井戸の中で冷やして食べさせてくれた想い出があります。冷蔵庫のない時代、原始的でしたが冷たくておいしかったです。
さてスイカはミネラル、特にカリウムが多量に含まれ、尿の出をよくしてむくみを取り、含まれる果糖と共に腎臓病の改善に役立つ食効をもたらします。スイカの果汁で作ったおかしの西瓜糖も腎臓病の薬としてよく用いられていました。
また、消熱作用といって外温の熱気で亢進しすぎた体の代謝機能を正常に戻し、余分なほてりを取ってくれ暑気あたりを防ぎます。ウリ科の植物の果実には全てこの消熱作用があり、インドではキュウリが、沖縄ではヘチマの実が料理に使われています。
中国の南京や漢口では、スイカがよく食べられています。種子は強壮剤として中華料理の前菜になるそうです。
最後に、最近のゆうちゃん。宇和島の牛鬼まつりでは、全く泣かなかったそうです。

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— posted by 越智邦明 at 05:03 pm  

2010/7/29

暑気払い


恒例の当院暑気払いが7月24日に行われた。
「暑気払い」を辞書で引くと「夏の暑さで弱った体を元気づけること。」とある。前日が大暑で、一年で一番暑い頃とされている。特に今年は猛暑である。いつものように全員浴衣で勢揃い。ふだん、白衣を見慣れているせいか28人も居ると、とても壮観で美しい。男性の職場ではきっと無理と思われる華やかさである。全国的には浴衣は年々売上げが落ちてきていると言う。日本古来の伝統文化が損なわれてはならないという信念で、5年ぐらい前から全員浴衣での会としている。恒例の浴衣大賞は今年は事務員のYさんが受賞。下の写真に気持ちだけでも皆さん参加して下さい。
又来年も行いたいと思っています。
最後に一句 「浴衣地に 菊や牡丹の乱れ咲き」

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— posted by 越智邦明 at 10:26 am  

2010/7/26

あがり症


最近「あがり症」の研究が進んでいる。皆様は次のような経験はないでしょうか?
①結婚式のスピーチで頭が真っ白になる ②ゴルフは打ちっぱなしはOKなのにコースに出ると駄目 ③会議の発表のときに緊張でうまく話せない ④知らない人と接するのが苦手 ⑤面と向かって話すのが苦手だがメールなら可 ⑥上司との会話は緊張して苦痛になる
これらの症状が出る人は「社会不安障害」の可能性があります。これは「社会や人前で恥をかいたり変に見られたりすることに恐怖を感じる精神疾患」です。問題なのは社会不安障害は、放っておいて治るものではなく放っておくと場合によって、うつ病を併発することがあります。人前や本番での失敗したときの恐怖や挫折感はトラウマになり、大脳の扁桃体というところに記憶されます。いわばアラームのようなもので、同様の緊張を強いられるとアラームが鳴り出し、心臓がドキドキし緊張が高まります。以前は対症療法しかありませんでしたが、2005年にうつ病の薬、SSRIが社会不安障害の治療薬と許可されてから完治が可能になりました。SSRIは、扁桃体に直接作用し記憶を消し去るのです。3ヵ月~半年で完治することが多いようです。

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— posted by 越智邦明 at 03:13 pm  

2010/7/23

ドジョウ


夏バテにウナギでなくてドジョウと言う人が居ます。
古来より「ウナギ一匹ドジョウ一匹」と言われてきたように、ドジョウ一匹分の栄養価はウナギ一匹分の栄養価に匹敵し、滋養強壮効果が非常に高いと言われています。まず生のドジョウは100g当たりカルシウムが1100mgも含まれており、牛乳(100g当たり110mg)の10倍です。鉄分もホウレンソウより多く含まれ、貧血の人にはうってつけです。ビタミンB2はレバーに次いで豊富で魚類ではトップです。亜鉛も豊富で100g中2.9mg含まれています。
ヨガをやっている患者のKさんによると、ヨガの世界でもドジョウは精力食として有名なんだそうです。
柳川なべ、どじょう汁、唐揚げ、などの料理があります。機会があれば是非試して下さい。

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— posted by 越智邦明 at 06:49 pm  

2010/7/20

政治に思うこと


「医師はあまり政治にかかわらない方が良い」と昔、教授に教わった。しかし、いくつかの主張をしてみたい。
今回の民主党の惨敗の原因は見かけは、消費税問題だが私はやはり鳩山さんの公約違反が相次いだことだと見ている。マニフェストで自民党には出来ない事だと、いくつもの論点を掲げ前回選挙で圧勝した。しかしどれも約束を果たさなかった。子供の教育上もよろしくない。「大人は簡単に約束を破るんだね」。
私は社会保障の充実のためには、消費税増税はしかたがないと考えている。年金、医療、福祉どれも国民の生活基盤だからである。
更に私は保険医協会の理事として、窓口負担額の減額を訴えている。サラリーマンの皆さん、その昔、サラリーマンは窓口負担0だったことを覚えていますか?いつのまにか1割→2割→3割と上ってしまった。小泉元厚相が深く関わったことを忘れている人も多い。フランス人ジャーナリストが「フランスだったらストが起きている。本当に日本人はおとなしい」と皮肉られたことが忘れられない。
そして不況の突破口として私が一番言いたいのは、雇用の確保である。当院を訪れる愛大、松大の学生達がみんな就職がない、と不安を訴えている。しようがなく大学院に進む学生も多いが、仕送りする親も大変である。ここは政府が雇用確保のため税金で国営施設を造って、働きたくても仕事場のない人達を一気に吸収すべきである。安定した仕事場に就けば当然消費も増えるし、子作りにも励める。少子化対策にもなる。
政治家達には、そこにある危機に目覚めて欲しい。

— posted by 越智邦明 at 01:44 pm  

2010/7/15

虫刺され皮膚炎


虫刺されによる被害は、森や山の中だけではありません。半そでを着る今の季節は、普通の住宅街で庭いじりをしただけで多発しています。
先日も老人(男性)が庭木を切ったあと右腕に最初発疹が出現。みるみるうちに発疹は広がり、ほぼ上半身すべてに広がった。更に猛烈な痒み。病名は「毛虫皮膚炎」です。この皮膚炎は毛虫に触れなくとも近づいただけでやられるのが特徴です。チャドクガという蛾の毛虫の毛が皮膚に刺さって起きます。4月~10月にサザンカやツバキに繁殖します。6月と9月の年2回ふ化し特にその頃、被害が増えます。チャドクガは危険を感じると、毒針毛を空中に大量発射します。その毛が風に乗って皮膚に付着し発症することもあります。
刺されたと思ったらまず、きれいな水で洗い流して下さい。また着ていた衣服はしっかり洗濯すること。市販薬は効かないので、すぐに病院に来て下さい。ステロイド剤や抗アレルギー剤を必要とします。その他、ドクガやモンシロドクガなどの毛虫もいます。
山のレジャー注意して下さい。


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— posted by 越智邦明 at 04:45 pm  

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