以前に書いたことがあります(H.24/7/30) が、体内に入ったアルコールはアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに分解され、さらにアセトアルデヒド分解酵素(ALDH)によって酢酸に分解される。ところがこれらの酵素の働きは遺伝で決まっていて、日本人は酵素の活性度が低い人が多いのです。するとアルコールが体内に長くとどまる。これが「酒が弱い」理由です。問題はアルコールとアセトアルデヒドは発がん性の物質なので、がんのリスクを高めることです。ADHとALDHの活性度が低い人が飲酒習慣を持つと口腔、咽頭、食道がんのリスクが高くなることが研究で明らかになってきました。
お酒を飲んだ時に主に働くのはALDH2です。ALDH2には活性型の「N型」と非活性型の「D型」があります。人間は両親からひとつずつ遺伝子を受けるので、この組み合わせが問題です。
N+Nならお酒はふつうに飲める。N+Dは飲めるけど弱い。D+Dは下戸です。D+Dはそもそもお酒を飲めないがN+Dが要注意で、顔が赤くなりながらも飲んでしまう。(N+NとD+Dは日本人の4割を占めます。)こういう方は時々は上部消化管や咽・喉頭のチェックを定期的に行うことも重要です。