私が定期往診をしているKさん(94才、女性)とは、もう20年の付き合いになる。この20年間に色々な病気をしたが、その都度、入院もしながら現在、元気で生活している。毎週、木よう日の午前、外来診療を中断してKさん宅に訪問する。このお宅は庭が広く、息子さんが高山植物をはじめ色々な樹木を植えていて楽しい。鳥のさえずりを聞きながらの診察は普段の喧噪を忘れてほっと一息つけるまたとない瞬間だ。今回も、庭の縁側に座ってもらって血圧を測る。夏は屋外、冬は室内だ。さて、いつも彼女が話すことは決まって「私はあと何才生きれるかなあ」。私はいつも「100才は楽に生きれるよ」。すると彼女は「そんなに生きよってどうするんよ。人の迷惑じゃ」と繰り返し答える。彼女は息子さん夫婦、訪問ヘルパーさん等色々の人に支えられ現在がある。何といっても2本足で歩ける長寿はすばらしいし、うらやましい。
はたして私が40年後にも彼女と同じように庭で散歩できるだろうか。いずれにしても彼女の百寿のお祝が出来ることを切に願っている。